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≪ホルムス・オブジェクト≫

ほるむすおぶじぇくと

≪ホルムス・オブジェクト≫とは、惑星ホルムス…かつて命の在る唯一の星として 「地球」とのたまっていた惑星のコア付近、最深地下鉱脈で発見された謎の鉱物である。 この物質により、ホルムスは困窮したエネルギー状況から脱し、行ける筈の無かった 外宇宙までのフロンティアを築き上げる事に成功した。だが…
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この物質を知る事は、一つの宇宙の始まりと終わりの歴史を知る事と同義である――*



未だホルムスが地球と名乗っていた頃、様々な敵性異星人の侵略を各国は受けていた…


この事態を重く見た国連は、世界中から非合法問わず、選りすぐりの技術屋を集め

新技術開発・探索チームを結成。

チームリーダーであり、人一倍世界を愛する科学、哲学、活動者のアントニオを筆頭とした

一大プロジェクトが発足。地球のコアに現状打開の希望を求めて最新試作掘削列車に乗り込み

最深部へと突き進んでいく。試作型と言う事と、非合法者まで集めたという事が重なり

様々なアクシデントに見舞われながらアントニオ達が辿り着いたのは、地下と言うよりも

まるで宇宙のような空間と、星々の様にきらめく鉱脈だった。そのうちの一つ、緑色に爛々と

輝く鉱物にアントニオが触れた瞬間、総ての鉱物が巨大なエネルギーを発する。それは

地球全土のエネルギー問題をあっと言う間に解決出来るほどのものであった。

これにより、地球全土が真に差別無く結束できる日が来たと確信したアントニオは活動家として

国連に物質供与を世界中に広め、今こそ世界統合国家を作ろうと進言。こうして、世界は

新たなる惑星名、統一国家「ホルムス」として首相をアントニオに据えた輝かしい一歩を

歩み始めようとした…だが、突然アントニオの功績は、チームの一人であった

ヴォルフガングの功績であり、彼を毒殺して手柄を横取りしたとして、官邸前ででっちあげ

アントニオを首相の座から引き摺り下ろし総ての地位を奪った。

これを画策したのは、権力主義者と世界監視機関のシェファとプシキンの二人であった。

かくして彼等による新たな強権、上下主義社会という極めて歪んだ体制が生まれる。

その最中、惑星トロフォーニオに落ち延びたアントニオは家族に最期の言葉を告げる。


「私は今でもお前達の父か!?お前の妻か!?」


無言と言う名の見捨てられ振りに、アントニオは自らの首を搔き切る。


これが本当のホルムスの血と呪詛と怨嗟の歴史の始まりであった――――*


アントニオ自殺から約数千年…ホルムスは敵性異星人を撃退し、太陽系惑星全てを

テラフォーミング出来るほどのテクノロジーを手に入れ、宇宙時代の惑星間抑止交渉まで

こぎつけていた。だが、かつての支配階級と貧困階級の差にばっさりと分かれ、

それを象徴する、ホルムス中央政府区に作られた成層圏まで届く血の色をした塔状都市

通称「テラ東京」をシンボルとしていた。


反対勢力は為す術も無く瞬く間に排除され、誰も彼もが口をつぐみ、或いは恵まれた環境に

酔い潰れていた。


《ホルムスの力》と、いつしか称された物質は、外部にエネルギーを与えるだけでなく、

それぞれの物質の「適合者」が触れると、融合、記憶共有と、あらゆる環境に適応できる

身体になる現象が起きる特性が明らかにされる。それは何故かアントニオが触れた物質を

中心として作用する現象であるらしく、何故そうなったのか、そして、何故

アントニオの物質だけ適合者が現れないのか、在る事件まで不明であった。


上層階級のみが触れる事を許された《ホルムスの力》独占と言う事実に、遂に下層階級の

カリスマ的存在「リナルド」が叛逆と言う名のテロを引き起こす。


テラ東京、「成層圏フロア特秘エリア51」に保管されていた《ホルムスの力》を全て奪取、

惑星ホルムス全土に無償で提供するという行為に走る。だが、上層階級でも真っ当な信念を

持つ研究者「イワン・カーシ」が、リナルドに警告を発する。



「《ホルムスの力》は、誰にでも適合する物ではない!不適合者が触れれば思考無き捕食者と化す!」



その言葉は遠く、遅く、ホルムス全体をアウトブレイク現象が襲う。


不適合者は、両腕の爪から、エネルギーの刃を発し、顔はゾンビのように爛れ、触れていない

人間を襲い始めた。その血は、伝染病のように同じ影響を、触れてもいない人間にまで与えた。


リナルドは、己の為した罪に苦悩し、妻の「アタール」は皮肉にも適合する。


この壮絶なバイオテロを取材しようと、売れないジャーナリストの「ノーラン」

乗り出す。その過程で、偶然アントニオの物質に触れ、何と適合する。


だが、適合者の共有能力が仇となり、ノーランに不適合者が群がるように襲い掛かる。

半ば発狂しながら逃げ惑うノーランは、避難民が立て篭もる巨大装甲列車に身を隠す。


しかし、どんな装甲でも瞬く間に切り裂く両腕のエネルギー刃、呼称「エーテルネイル」

深海底の水深にも耐えうる列車の装甲を、ドアを両断し、不適合者達は生存者達に襲い掛かる。


阿鼻叫喚の悲鳴が木霊し、呪いと怨嗟の言葉が生存者達の口々から発せられる。まるで

死なばこの世もろとも、と言う程の憤りと共に。それは、記憶を、爪で斬られる苦痛を介して

ノーランの耳に次々と響く。それに耐えられなくなったノーランは、目玉を抉られ嗤いながら

現状を、持っていたホルムス全土通信システム内蔵カメラで世界に向けて実況する。


「皆さんご注目あれ!これが社会の歪みの結果、《ホルムス・パンデミックイベント》ですよ!」


世界に向けられたその映像は、その言葉を最期に途切れた。



奇跡の誕生*


《ホルムス・パンデミックイベント》は何十年も続き、テラ東京の最上層まで汚染していた。


上層階級の親子であり、《ホルムスの力》ワードネーム《アクスール》の適合者である

母親「安藤 夏子」と、<普通の>娘の「安藤 なつめ」の二人は、警告者だった

「イワン・カーシ」と共に不適合者達を狩る危険な任務に就いていた。


イワンと夏子は、本来なら惑星開拓作業用強化装甲端末になる予定であった

対不適合者狩猟兵器パワードソルジャー(略称 P.S)にそれぞれ乗り込み、

いつ終わるとも知れない不適合者狩りを続けていた。


夏子は《アクスール》の最大的特徴能力である

《適合、不適合者と物質の認識、観測、ハッキング能力》を、フルに活用し

世界の誰よりも愛する娘、なつめを守る為、不適合者だけでなく、まだ息のある感染者

そして、テロに加担した者達までをも情け容赦なく次々に見つけ出しては始末していく。


なつめは、何も出来ない自分のもどかしさと、殺戮を続ける母の後ろ姿と、

散っていく人達の為にとめどなく涙を流していた。


その旅の途中、全ての物質に影響を及ぼす、アントニオの《オリジナル》…

今は亡きノーランに受け継がれた《ホルムスの力》ワードネーム《タラール》が、

ノーランの死体と共に見つかる。夏子の警告を無視し、再び緑色に輝く結晶に戻ったそれを

なつめが触れた時、アントニオの記憶、想い、願い、ノーランの呪詛、狂気、そして

生存者、不適合者達の絶望、哀しみ、恨みを知ると共に、なつめは適合する。


更に、信じられないことに、テロの首謀者、夫のリナルドの死を看取り、適合者としての力で

沢山の親を亡くした子供たちを匿い、世話をし、身体が限界を迎え、死に至ろうとしていた

アタールから物質(彼女の献身にちなみ、《アタール》と名付けられる)を託された時

それすらも適合し、二つの物質が、様々な人の意思が、とてつもないプラスのエネルギーと

化し、なつめの背中から、それぞれ色の違う水晶状の羽根がせり出し、彼女の願いが

ホルムスの全ての人々の身体と心を浄化する。


それはまさしく、アントニオが真に望んでいた世界の安寧をもたらしたのだ。


だが、このプラスエネルギーの相対圏突破現象、絶対性発動力をもたらす《翼化》

なつめを、この世に留めずに宇宙でも次元でも無い《彼方》へシフトさせる。


ホルムスの平和と引き換えに、この世から永遠に消えてしまった愛娘を想い、嘆き、もがき、

苦しむ、母の夏子を残して。



終局へと*


夏子はそれ以来、戦友のイワンに無理矢理協力させ、再びホルムスを元の歪んだ体制国家へと

戻していた。自らが首相となり。これまで以上の上下社会の悪化と技術の先鋭化と共に。


それは、彼女の目的達成―なつめを現世に戻す―為の、周りを省みない下地作りであった。


《ホルムスの力》は、《ホルムス・オブジェクト》と改名され、更なる研究が進められる


適合の為に、上層、下層、あらゆる土地から10にも満たない子供達が《保育園》

呼ばれる実験施設へと集められ、あらゆる非人道的なテストが行われていた。


適合すれば、ホルムスの対敵性異星人鎮圧・攻性組織「オラース兄弟」に入れられ、

適合できなければ焼き捨て、強権の証として中央区のセントラルにある晒し台に並べられた。


外道な実験が続く中、新たな特質も明らかになる。《ホルムス・オブジェクト》が

プラスではなく、マイナスのエネルギーと感情に極化した時、

モンスターブラックホールに変異するという恐るべき事実。それを別の適合者達の

プラスエネルギーの輪(リンク)で中和、消滅できる事。

そして、エーテルスレイヤーと呼ばれる、この宇宙のあらゆる物質を切り裂く武器を

適合者が作り出せる事も。


夏子は万一の叛逆と、ある目的の為に、《オリジナルの適合者》の死と言う始まりが起きた

惑星トロフォーニオにて、ダナオス博士と共に《ホルムス・オブジェクト》で身体を

構成した人形、《プリマドール》を作りだす。



時が満ちたように、退廃と支配の一途を辿った世界の終わりを告げるように、


二人の少年少女が、なつめの残していった《タラール》と《アタール》に適合する。



ジャン・メイヤー


ロレミナ・ミュシャル



「宇宙の終焉」という名前の一夜限りのシンフォニエが始まろうとしていた。



これ以上の復元は、相当な時間を要します。~アーカイブリカバー~




他の世界での適合者―為さしめたのは、人の願いか、神の救いか、悪の誘いか*


《ホルムス・オブジェクト》に、様々な形でアプローチし、適合した者。

或いは擬似的に解析、生み出されたものもある。



関係する技術、関係者を最後に表示します。 ~アーカイブリカバー~ ログアウト


名前立ち位置
エトル・フランシアアークインダストリー社所属部隊スカルヘッド小隊隊長
菫(スミレ)アークインダストリー社所属部隊スカルヘッド小隊隊員
レティクルス・アルミーダアークインダストリー社・惑星ルーア支部、復元、ジャン・メイヤーとの接続…現存する《オリジナル・ホルムス》の一つ《タラール》を共有するシステムを搭載したレティクルス
アークインダストリー社《ホルムス・オブジェクト》の解析、試作段階ではあるが、同物質の製造化に成功、各機体への搭載を開始。目的は不明
ルルミス元々はコピーした者の命に取って代わろうとする、泡の造り出した擬似生命だったが、ロレミナ・ミュシャルに救われ、融合する事で、もう一つの《オリジナル・ホルムス》、《アタール》の共有適合者としての《個》となる
オオゾラ・カイ(エレルィ・セァン)辺境の軍人であり、バンドメンバーの一人であったが、《プリマドール》イペルムメストルとの出会いが彼の運命を、適合者としての道へ歩ませる



惑星ホルムスのアントニオの祈りと絶望から端を発したこの物質が、

異なる宇宙の数々で、いかなる役割をもたらすのか…?



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