概要
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』のエピソードの一つ。TC40巻収録。
ストーリー
雲の上での昼寝を終えて部屋に戻って来たのび太。するとドラえもんがしまい忘れた「タイムテレビ」を見つけ、起動すると未来のしずかが映し出されたのだが、彼女は息子のことを「ヒデヨ」と呼び、のび太は「あれ？息子の名前はノビスケじゃないの？」と動揺する。
そこにママが現れ、「私が帰って未るまでに家事を済ませておいて」と言われてしまい、のび太は仕方なく家事をすることになる。しかしのび太は慣れない家事に苦戦していた。
ちょうど帰宅したドラえもんはのび太から事情を聴き、誰でも家事が上手くなる「家庭科エプロン」を取り出す。しかしのび太は「家事ならお嫁さんにやってもらう」と言いながら、タイムテレビで未来のしずかの様子を見ることにする。
しかしそこに映し出されていたのは出木杉そっくりの少年であり、のび太は「そんな馬鹿な！僕はしずかちゃんと結婚して、ノビスケが生まれるはずなのに！」と混乱する。
後ろから映像を覗いていたドラえもんも、この事態に動揺しながら「もしかすると未来が変わったのかもしれない。例えば君がしずかちゃんに嫌われたか、しずかちゃんが出木杉君を好きになったとか」と言う。
信じられないのび太はしずかの家に行くが、彼女の母親から「しずかは出木杉君の家に行ってますよ？」と伝えられる。のび太を追いかけて来たドラえもんは「とにかく出木杉の家に行ってみよう」と言いながら彼を落ち着かせる。
ドラえもん達が出木杉家に向かうと、ちょうど出木杉が手料理を作っていたところだった。彼はしずかだけでなくドラえもん達にも料理の批評を聞かせて欲しいと言い、3人に料理を振舞う。
ドラえもん達は出木杉の料理を食べて「美味しい！」と絶賛する。出木杉が言うには「これからは女性も社会に出て仕事をするようになるし、女性が家事の専門という訳にはいかなくなる」という理由で料理を始めたらしく、その話を聞いたのび太はショックを受けてしまう。
割と本気で「生きているのが嫌になった」と落ち込むのび太を見たドラえもんは「諦めるのは早いよ。この家庭科エプロンを使って、出木杉君に負けない家事の名人になればいい」と言い、続けて「毎日の努力に積み重ねが歴史を作っていくんだよ！」と言いながら励ます。
その後、のび太は家庭科エプロンを使用し、ママから頼まれた家事を完璧にこなしていく。その間にドラえもんはタイムテレビで先程の未来の映像を見ていたのだが、そこには未来ののび太とノビスケが映し出される。同時に未来の出木杉と、彼の妻も映し出され、ヒデヨはあくまでも出木杉の出張中にのび太としずかが預かっていただけだったことが判明する。のび太としずかが結婚する未来は変わっていなかったのだ。
それを知ったドラえもんは一安心するが、家事にやる気を出したのび太を眺めながら「当分は黙っておいた方が良いかな？」と思いながら微笑むのだった。
余談
出木杉の妻とヒデヨは、少なくとも原作ではこのエピソードのみ登場している。
上記のエピソードは大山のぶ代版及び水田わさび版アニメで映像化されている。前者はサブタイトルが「家庭科エプロン」に変更されており、後者は前後編と2週に分けて放送されている。また、どちらの作品も原作では未登場だったジャイアンとスネ夫が登場している。
水田版に関しては、ドラえもんは「のび太に自力で家事を身に付けてほしい」と考え、あえて普通のエプロンを渡している。しかしその後、原作では登場していなかったドラミが現れ、ドラえもんの意図を知らなかった彼女はのび太に本物の「家庭科エプロン」を渡す。
その後、エプロンの力で自信を付けたのび太は出木杉とチャーハンの腕前を競うことにしたのだが、無茶をした為に家庭科エプロンが故障してしまい（あくまでも水田版アニメ限定の描写であり、原作では家庭科エプロンが故障してしまう描写は一切存在しない）、のび太が作ったチャーハンは失敗してしまう。
ドラえもん達が「不味い！」と言う中、しずかだけは「確かに美味しいとは言えないけど、のび太さんが作ってくれたから」と言いながら完食する。その様子を見たのび太は感動し、ひみつ道具の力に頼らず自力で家事を頑張ろうと決意する展開にアレンジされている。
