音子が黄昏ホテルにやってきた理由は通り魔にナイフで刺されたからだった。しかもその通り魔とは担当客の大外だった。当初大外の対象は背の高いモデル体型のような女性と思われていたが、大外の隠し部屋で見つけた日記を見て、無差別に襲っていることが分かった。調べ続けると大外の１番の狙いは阿鳥だということが判明。しかも現世で阿鳥を殺害していることも発覚。音子は阿鳥を守るため、自らの手で大外を地獄に堕とそうとするが、そこに待ち受けていた結末は、非常に残酷なものだった...。

従業員

塚原音子 (つかはらねこ)

CV:桃河りか

本作の主人公。高校３年生。目が死んでいると言われるが、行動力が半端ない。

３６５シスターQのチームAUTUMNのアイドルオタク。

名前を忘れた状態で黄昏ホテルにやって来たが、学生証を見て名前を思い出した。

暇潰しの娯楽が無かったため、黄昏ホテルの従業員になった。

電話対応の時に客室番号を聞き出さなかったり、暇だと思って仕事を探さなかったり、接客中にカネコノからサインをもらったり、フロント当番を途中でサボったりしたことで阿鳥から注意されることも。

６章で、黄昏ホテルに来た理由は、ナイフで刺されたからだと判明。その後大外の部屋掃除をしている最中に隠し部屋を見つけ、自分を襲ったのが大外だと分かった。阿鳥が大外に殺されていると知ったとき、黄昏ホテルの世界で阿鳥に何かしようとしてると考えた音子は、大外を地獄に堕とそうとした。切子から支配人の部屋に地獄に堕とすための銃があると聞いた音子は、支配人を眠らせて支配人の部屋の鍵を奪い、銃を盗み出し、大外と対抗することに。しかし、銃を持ってることで優越感に浸って調子に乗ってしまい、いつの間にか大外とのバトルを知らず知らずのうちに楽しんでしまう。その結果大外に反撃されてしまい銃を奪われ、助けに来た阿鳥が銃の暴発によって大外を殺してしまい、地獄に堕ちる要因を作ってしまった。このとき初めて切子に騙されたことを知った。

この一件があって支配人からクビを告げられ、絶望の淵に立たされた。

しかし、これまで働いた分の給与である懐中時計で、ルリの給与と阿鳥の給与で現世に戻って阿鳥が大外に殺害される２週間前に戻り、阿鳥をもう一度救おうとする。切子から本当の地獄に送るための道具を差し出され、阿鳥が殺される前の現世に帰る。大外の目の前で地獄の門の鍵を開け、大外を地獄に堕とすが、またしても優位に立って調子に乗ってしまい、自らも巻き添えを喰らう。激しい決闘の末大外を倒したが、身長が低いことによって陸に上がれなかった。しかし手を差しのべた阿鳥によって引き上げられた。

１年後短大に進学し、ホテルでアルバイトを始め、交換研修で来た阿鳥と再会し、共に働くことになる。黄昏ホテルでの阿鳥が如何に手を抜いているか、現世の阿鳥がどれだけ仕事が出来るか、自分は接客業に向いてないことを実感した。

阿鳥が地獄の夢を１年間見てると知ったときは、釘バットを持って地獄に入り込み、阿鳥を救出した。このようなこともあるので、瑪瑙からは気に入られていた。

全てが終わった後は防犯意識の無さすぎる阿鳥に影響され、警察官になる夢を持った。

黄昏ホテルにやって来たときはそのままの顔でやって来たため、地獄に堕とされる前の阿鳥からは「どんな人よりも自分の意志をしっかり持ってる」と言われた。

阿鳥遥斗（あとりはると）

CV:酒井広大

本作のヒロイン。音子の先輩。音子が黄昏ホテルにやってきたときは彼が接客した。音子が従業員になった途端にフランクなしゃべり方になった。とても真面目で仕事も有能な出来る男だ。大外が犯罪者だと分かっても接し方を変えなかった。

現世では子供のころからプロのサックス奏者を夢見ていたが挫折してしまい、以後一流ホテルのコンシェルジュとして働き、もうサックスには触れたくないと目を背けた。そのため黄昏ホテルでカネコノのミニライブの時、一時はサックスでの演奏を拒んだが、音子の気持ちが伝わり、サックスを吹くことに。プロになりたいという気持ちが無くなったため、楽しんで吹くことが出来た。

容姿がイケメンなので女性からもモテるのだが、前述の挫折の経験から自分が容姿しか取り柄がない空っぽの男だと思っている。女性と付き合うこともあるのだが、交際期間は最短で３時間。最長は３か月しかもたない。続かないことを前提で女性と付き合うため長続きしない。（次に付き合う女性に対して不誠実だから形として残るプレゼントは貰わないという発言）しかも当の本人はそれに気づいておらず、支配人も対応に困っていたほど。さらに自分の生死などどうでも良かったため、とても闇の深い人物とも言える。恐らくウーユリーフの処方箋の世界に吸い込まれてもおかしくなさそうなイケメンである。

さらに大外にストーカーされていたことにも気づかず、「俺がストーカーなんてされるわけない」と自信たっぷりに言っており、危機意識が皆無だった。

そのこともあり、黄昏ホテルにやって来たときは、目隠しの状態でやって来た。

６章で駅のホームで大外に線路に突き落とされ通過電車に撥ねられて死亡していることがわかる。その後音子が阿鳥のために動いていたのだが、阿鳥は気づかないままだった。

音子と大外が地平線の真ん中で議論していたところ、阿鳥が大外の両親と繋がっていることが分かる。大外の両親が阿鳥をとても気に入り、プライベートでも親交があるほどだった。大外の母親からも「自分と似ている」という手紙までもらっていた。大外の両親が息子と阿鳥を比較することを言ったのが大外の逆鱗に触れ、ストーカーされることに。ついには殺される。

音子を襲っている大外を見て助けに向かい、大外が音子から取り上げた銃を奪おうとするが、銃が暴発、大外を殺すことに。さらに追い討ちをかけるように切子から、大外に殺されたと伝えられてしまった。地獄に堕ちる直前、音子にどんな顔で黄昏ホテルにやって来たか、無限の可能性がある高校生は死ぬな、と思いを告げた。

音子が現世に戻って大外を倒した後、音子を地上に引き上げたが、地獄を見てしまったため１年間夢の中で地獄を見続けることになるが、音子が自ら地獄に出向いて阿鳥を救出した。

支配人 (しはいにん)

CV:山本兼平

黄昏ホテルの支配人。頭部が燃えている。感情によって炎の色が変わる。バーのママの瑪瑙に弱い。

一応支配人ではあるが、誰にも見つからないようにバーで酒を飲んだり、仕事中に寝たり(地平線の真ん中で大の字になってたこともあった)で仕事の中での人望は無い。でも考え方はとても人間らしく、従業員が現世に帰ると寂しくなって泣きながらバーでビールを飲んだり、給与において、現世で死んでいる阿鳥の分も帳簿をつけていたり、大外が黄昏ホテルにいる間は記憶を持ったまま現世に帰れる方法を黙っているなどしっかりした面もある。ルリが黄昏ホテルに来たときは、死のうとしたルリを生かすため、部屋で見つけた料理本から厨房で働くように説得した。

生まれたときから生と死の狭間におり、その世界に迷いこんだ人たちに、「旅立つ覚悟」を持たせるために黄昏ホテルを建設した。

先代の父と会話が出来、それによって、ルリや阿鳥の生死、阿鳥と大外の関係を把握していた。

瑪瑙 (めのう)

CV:笹本菜津枝

黄昏ホテルのバーのママ。ツノが生えていて人間ではない。いつもニコニコしているが怒ると怖いらしい。というより、笑顔で恐ろしいことを言うことも。支配人や音子はそれに恐れている。

麻雀が得意で、宿泊客のギャンブラー、安藤淳宏を煽ったり、カネコノのミニライブが阿鳥のサックス不在によって開催できない危機に陥ったときはカネコノを脅迫してでも歌わせようとした。(未遂に終わった)

音子と大外が「こちら側の」生き物みたいだったので、切子同様とても気に入っていた。反対にルリのようなまっとうな人間には興味がなく、現世に帰ったときも感慨を覚えなかった。

音子が２回も地獄に行って戻ったと知ったときは、切子曰く、優しそうな目で笑っていた。

ルリ

CV:長野佑紀

黄昏ホテルの厨房を担当している従業員。いつも怒った顔をしている。音子に当たりが強いが可愛がられている。

現世では大型トラックに轢かれて植物状態。

黄昏ホテルに来たばかりの頃は生気のない顔で壊れたメリーゴーランドの姿だった。

母親がギャンブルにハマったことで若い男と蒸発、貧乏になった。友達もいなかったため、

黄昏ホテルに来たばかりの頃は自殺しようとしたこともあったが、支配人によって止められ、働くよう説得される。そこで支配人が給与が時戻しだと口にしたことで、従業員で給与のことを知る唯一の人間となる。

そのあとも生気のない顔をして働いていたが、阿鳥と出会ったことで生気のある表情に変わり、テーブルマナーも知らなかったので、コンシェルジュだった阿鳥から学び、以降阿鳥に好意を持つ。

自身の境遇を阿鳥にも話すと、「一歩外に踏み出せば知らない世界が山ほどある」と言われ、現世で阿鳥に元気な姿を見せることを目標に黄昏ホテルで働き続けた。そのため阿鳥が地獄に堕ちた時は大外を地獄に堕とすことしか考えていなかった音子を責め、音子の立場なら真っ先にあの世へ逝くように勧めたと話した。

そのあと黄昏ホテルをクビになった音子が音子の給与と阿鳥の給与で現世で阿鳥が大外に殺される前に戻ろうとするが給与が足りないことを知り、３ヶ月貯めた給与を音子に与え、支配人に土下座してでも阿鳥を助けようとした。

音子が現世に帰る前、連絡先を差し出され、３人で現世で会おうと言われる。自分も現世に帰るが、音子が阿鳥を救えたかどうかが分からなかったため、タイムパラドックスを起こす可能性があると考え、行動を起こせなかった。音子から阿鳥を救って大外を地獄に堕としたことを伝えられると阿鳥の無事に涙を流した。

それからは友達を作るために積極的に話しかけ、たくさん友達ができるようになった。

音子のバイト先で３人で会うことになり、「ホテル業に憧れのある女性」という設定で阿鳥に会うことに。その際阿鳥と会ったときの姿をシミュレーションしながら音子のバイト先までやって来る。阿鳥を見た瞬間、本来なら死んでいた阿鳥が生きていたこと、現世で阿鳥に会えたことなどさまざまな思いが込み上げ、人目をはばからず大号泣した。

そのあと音子から給与のことでお礼を告げられ、まっすぐ感情表現する音子と抱き合い、お互いが生きてることを実感した。

お客様

大外聖生 (おおそとまさき)

CV:白井悠介

３章のお客様だが、相当重要人物。探偵だと言っていたが、探偵ではない。本当の姿は医大生で、履修科目の全てがＳランク。しかし裏では通り魔を起こしていることが発覚。現世に戻ろうとしたが戻れなかったため、しばらく黄昏ホテルに留まることに。パンジーの姿で黄昏ホテルにやって来た。

有名な外科医の両親の息子で、幼少期から褒められたことがなく、自分に自信がない。必死に頑張っても褒めてもらえなかったため、両親が期待している「医者になる」ことを目標にして生きてきた。

その事がストレスになったため、飼っていたペットの鳥を殺した。それからは万能感を得るために人間を、ステータスの高い人を次々と殺していった。彼女もいるが５股しており、そちらもステータスで選んでいる。阿鳥よりウーユリーフの処方箋の世界に連れ込まれてもおかしくない存在である。

さらに両親の会話で阿鳥の存在を知り、「阿鳥くんみたいな息子が欲しかった」という言葉から阿鳥がどんな人物なのかを知るため尾行や盗聴、盗撮、ストーカーした。阿鳥の個人情報を手に入れ、経歴を知った。サックスで挫折してもコンシェルジュとして輝く阿鳥を超えるため、駅のホームに立つ阿鳥を線路に突き落とし死亡させた。しかしその時の阿鳥の無惨な姿に絶望し、他人のステータスに関係なく襲い続けた。それに音子も巻き込まれた。

そして雨の中、ターゲットを追いかけている最中、濡れた鉄板に足を滑らせ鉄柵の上に落ち、黄昏ホテルにやって来て、阿鳥と再会。阿鳥になるため生きたまま食べようとした。

一連の出来事を音子に教え、銃を向けた音子を返り討ちにするが、阿鳥と銃の取り合いになり、暴発して阿鳥に撃たれ、阿鳥と一緒に地獄に堕ちた。

音子が、阿鳥が殺される前の現世に行った時に会い、地獄の鍵を見せられたとき魂が思いだし、地獄の住人によって地獄に引きずられたが、音子も巻き添えにする。激しい決闘の末、音子にスチール棒で刺され、その衝撃で両親の名前を断末魔の悲鳴で叫びながら地獄に堕ちた。

切子 (きりこ)

CV:鳴海崇志

４章からの登場だが、宿泊客ではなく、バーの常連である。「いい景色」を見るためにいつも望遠鏡で窓の外を覗いている。

元々は地獄の住人で、さまよう魂を地獄に堕とすために黄昏ホテルの世界にやって来た。地獄に堕とし続けたことによって地獄から追放されてしまい、以降は黄昏ホテルの世界で生きている。

自分で地獄に堕とせなくなり、他人を殺害するように唆すことで地獄に堕とさせるよう画策する。大外を地獄に堕としたい音子に地獄に堕とすための銃があると嘘をつき、音子を地獄に堕とそうとするが、阿鳥が誤って大外を銃で撃ってしまい、阿鳥が地獄に堕ちることに。

その謝礼として、かつて地獄に堕とすための道具を現世に帰る音子に差し出した。

そのあとかつての地獄の住人が会いに来て、音子が大外を地獄に堕とし、阿鳥までも救い、２度帰っていったと聞き大興奮したが、同時に地獄に対しての感情がなくなってしまい、他の宿泊客ともっと関わることにした。

ギャンブラー

CV:喜多田悠

２章のお客様。阿鳥の担当客。麻雀が好き。頭が巨大なパチンコ玉だった。フルネームは安藤淳宏。

２００５年の就職氷河期時代に就活するが、内定が貰えないまま卒業する。その後も大企業ばかり受け続けるが１００社以上落選。それがきっかけでギャンブルにはまる。その結果ギャンブルに失敗し、闇金からの借金地獄に陥る。１０日１割の利子がついてしまい、母親が持っていたお金を勝手に全額返済に使ってしまう。それでも今度は１日５割の利子がついており、返済するために闇金からサンゴの密漁の仕事を依頼される。しかし母親の声が聞きたくなり逃げ出すが、電話ボックスにいるところを見つかり、山奥に連れていかれ、穴の中に埋められて生き埋め状態になり、黄昏ホテルの世界にやって来た。

そのあと金を持ち出したことが母親にばれていたことが分かり、それでも優しく帰りを待っていたことに気づき、涙を流し現世に帰っていった。

キョーコ

４章のお客様。トオルとカップルでやって来た。

しかし本当はカップルではなくトオルのストーカーで本名は高橋京子だった。

高校の文化祭の劇ででトオルと夫婦役を演じたことからトオルに想いを寄せるが、それは一方通行のもの。恋愛感覚が非常に歪んでおり、劇での恋愛を真実の恋愛だと思い込んだり、トオルが会社の同僚とゴルフに出掛けたときは後をつけており、それをデートと言ったりしたことも。さらにはトオルと婚約者の松本今日子が結婚してトオルと今日子との間に出来た娘、明日美が誕生したと知ると明日美を人質にとり、プロポーズさせようと脅迫する。飛びかかってきたトオルと共にオーシャンビューホテルの部屋から海へと転落し、黄昏ホテルにやって来た。

自分が死んでいてトオルが生きていると知ったとき、果物ナイフで殺害しようとするが、人を殺したら地獄に堕ちると知り、さらに大外から自殺してトオルの頭から離れられないようにするように唆され、飛び降り自殺した。

トオル

４章のお客様。キョーコとカップルでやって来た。本名は永井徹。

当初はカップルだと思っていたが、カップルではないと分かった途端、他人として接する。

若干恋愛感情が重く、今日子だと思い込んでいたときの京子が別れるなら死ぬと言ったりするほど。

高校の文化祭の劇で京子と夫婦役を演じたことから、好意を持たれてしまう。

今日子と結婚し、明日美が誕生するも、それを知った京子が明日美を誘拐し、人質にとる。かっとなって京子に飛びかかり、海に転落。黄昏ホテルにやって来た。

京子が大外に自殺するよう唆され、本当に自殺したときはひどく動揺したが、現世に帰ったら黄昏ホテルでの出来事は忘れてしまうと聞き安心し、切り替えて笑顔で現世へと帰っていった。

金子このみ

５章のお客様。通称カネコノ。国民的アイドルグループ３６５シスターＱのセンター。

ゆりりんこと黒森百合亜とツートップで順風満帆なアイドル人生と思われがちだが、センターだからこその苦悩があり、ファンが多い一方アンチからの誹謗中傷も受けている。元々は百合亜とは仲が良かったが、百合亜のファンと自分のファンの仲の悪さからキャラを転換し、仲が悪いという設定を作ったが、その内本当に仲が悪くなってしまうことに。ストレスから過食したり抗うつ剤やビタミン剤を大量に飲み続け、ついに人気投票でのトップから転がり落ちた消耗品になることを恐れ、睡眠薬を大量に飲んでしまい、その結果吐瀉物が喉に詰まり死亡。黄昏ホテルにやって来た。

自らが芸能人ということで強固たるアイデンティティーを確立していたため、名前も顔も覚えていた。

現世で自ら作った曲「酩酊」がイメージに合わないからという理由で歌えなかったことから、音子に歌わせるよう依頼し、黄昏ホテルでそれが実現した。

その後現世で追悼ライブがあり、メンバーの悲しむ声を演技と思い、百合亜が追悼ライブをドタキャンしたことなどから何を信じればいいのか分からなくなるが、サンキューの追いかけた音子を見てファンという身勝手な消費者がいることで助けられたところもあったと話し、アイドルをやっていてよかったと打ち明けた。最後は音子と握手をし、睡眠薬のポーチを捨てて、あの世へ旅立った。