概要
その名の通りハエをかたどった星座で、みなみじゅうじ座(南十字星)の下にある。
はえ座単体では3~4等星程度の地味な星座だが見当はつけやすい。歪んだ台形のような形が目印。
ただし、その南十字星が12月〜6月に沖縄県先島諸島でようやく観測できるため、必然的にはえ座もそうなる(北限は南大東島)。
学名はムスカ(Musca)。ラテン語で「ハエ」を意味するが、元々はミツバチの星座になる予定だったようで、その後も「ハエ、もしくはミツバチ座」or「ミツバチ、もしくはハエ座」とまどろっこしいネーミングを経て「はえ座」になったのだが、なぜこうなったのかというと・・・
歴史
由来
16世紀末にオランダの航海士が天文学者プランシウスと協力して昆虫の星座を設定し、ホンティウスという学者が天球儀に記したのだが、このときプランシウスが名前をつけ忘れてしまった。
その後、ブラウという天文学者が1603年にカメレオンに襲われるハエとして設定したものの、同年バイエルという学者が出版した星図に「Apis(ミツバチ)」と記してしまった。
プランシウスが1612年にようやくギリシャ語でハエを意味するMuiaと名付けたのは良かったが、おひつじ座の横にあった星を使って「Apes(ミツバチ座)」を設定したことでさらなる混乱を生むことに・・・
きたばえ座
今はなき星座のひとつ。位置はさんかく座とペルセウス座のアルゴル星を結んだ下辺り。
南半球のはえ座に対して北半球にあるのでそのまま「きたばえ座」という名前が与えられたが、こっちもこっちで星表にはApes(ミツバチ)なのに星図にはスズメバチ(Vespa)と混乱が生まれ、へヴェリウスという学者が南北の昆虫をどちらもハエとみなしたことで決着がついたかに見えたが・・・
再燃
1801年ボーデという学者が星図で北天の昆虫をMusca、南天の昆虫をApisと記したことで再び混乱が発生。その後、1822年にイギリスで出版された星図で北天の昆虫に「北のハエ」を意味するMusca Borealisと記されたものの南天の昆虫には名前がつかなかった。一方1835年にアメリカで出版された星図には南天の昆虫に「インドのハエ」を意味するMusca Indicaと記され北天の昆虫がMuscaとつけられてしまった。
決着
1845年に刊行された星表で星座が整理された際に北天の昆虫が削除され、南天の昆虫がMuscaと名付けられたことで名前を巡る混乱がようやく収拾。その後1922年のIAU設立総会で正式に決定。
関連タグ
ふうちょう座:こっちは「Apus」だが、「Apis(ミツバチ)」と間違えられた事がある。