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概要

元素記号はAm。アクチノイド元素の1種であり、ランタノイドユウロピウムに対応する。単体は常温で銀白色の金属固体だが、空気中で徐々に酸化され表面は曇る。ただしその反応性はユウロピウムより劣る。


元素名の由来はアメリカ合衆国…というのはよくある間違いである。実際には南北アメリカ大陸及び周辺の島々を含めたアメリカ州 (Americas)に因んでいる。これは直上にあるユウロピウムがヨーロッパ (州) に因んで命名された事に対応するもので、そういう意味では厳密には国名元素ではない。


アメリシウムは全ての同位体が放射性同位体であり、半減期は最大でもアメリシウム243の7370年である。この為地球誕生時に存在したアメリシウムは現在では全て崩壊しきっている。またアメリシウムを天然環境で生成する条件は現在の地球にはない。アメリシウムは天然には存在しない最も軽い元素であり、環境中で見つかるアメリシウムは全て大気内核実験及び原子力事故で放出されたものの残存物である。


用途

アメリシウムは一般的にはイオン式の煙感知器で使用される。仕組みを簡単に説明すると、アメリシウムの崩壊で放出されるα線は、空気中の原子をイオン化し、これにより微弱な電流が流れる。しかしアメリシウムと電流センサーの間に煙が入り込めば、α線が煙の粒子に吸収され、電離される空気が減少する。これにより電流が少なくなるため、煙発生=火事を検知する事ができる。

アメリシウムを用いた煙感知器は、光学式よりも安価であり、動作に電源は不要、更に光学式より微量の煙でも検出可能 (その代わり誤検知も多い) と、利点も多いため、アメリカを始め諸外国では一般的な形式である。これにより、アメリシウムは一般人が特別な資格や施設を有する事無く、目に見える量を所有する事が可能な最も重い元素である。ただし、放射性物質に対する規制が厳しい日本では、所持が違法な訳ではないが、流通でのデメリットが多く、ほとんど存在しない。

近年製造されたイオン式煙感知器では、非常に微量なアメリシウムでも動作する。1個に含まれているアメリシウム (二酸化アメリシウムの形態) の量は典型的には0.29μgである。


その他の用途としては、工業用でのガラスの厚さ測定器、ベリリウムと混ぜる事で携帯用中性子源としての用途がある。原子力電池としての用途は検討されているがまだ目途は立っていない。

また、理論上は原子力発電所や核兵器に使用可能だが、合成コストが非常に高く、濃縮ウランやプルトニウムの利点を上回る事がない為、現状では見向きもされていない。


歴史

アメリシウムが合成・発見されたのは、1944年にグレン・シーボーグらによってであり、カリフォルニア大学バークレー校でサイクロトロンを用いてネプツニウムプルトニウムキュリウムと共に発見された。この合成実験は原子爆弾開発のマンハッタン計画と密接であるため、第二次世界大戦中の間は機密扱いだった。

初めてアメリシウム (及びキュリウム) の合成が公表されたのは1945年11月11日であるが、これはアメリカ科学会による公式発表の5日前である。どういう事かと言えば、シーボークがゲストとして招かれた、アメリカの子供向けのラジオ番組 "Quiz Kids" において、戦争中にプルトニウムより重い元素が合成されたかを質問された際に、厳密にはまだ機密解除されていない情報をちゃっかり答えてしまったのである。


毒性

アメリシウムは全ての同位体が放射性同位体であり、一般的に使用されているアメリシウム241は半減期が432.2年と比較的短い。この為放射性物質に一般的にみられる毒性が懸念されているが、現状ではごくわずかにしか触れる機会がなく、リスクは低いと見做されている。アメリカではほとんどの州でアメリシウムを含む煙感知器を一般ごみとして廃棄できる (日本は放射性物質として廃棄の基準が厳格である) 。また、万が一の誤飲で胃酸によって融解し体内に吸収されるのを防ぐため、煙感知器のアメリシウムは金箔によって覆われている。

アメリシウムの大量暴露はわずかな例しか知られていない。最悪のケースでは基準値の500倍を超えるアメリシウムに暴露したケースがあるが、暴露者はそれとは無関係な持病で死亡し、体内から新たながんは発見されていない。


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