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概要

サイオン(Scion)とは、トヨタが北米向けに展開していた、若者をターゲットとしたブランドである。


設立の背景

設立の経緯を一言でいうのなら、北米でのトヨタの若者ウケが悪かったからである。

実際下記にもあるように、サイオン車は日本のトヨタ車でも若者をターゲットとした車両である場合が多い。


それまで高品質を武器にトヨタ/レクサス両ブランドで戦ってきたトヨタだったが、若者には「感性に訴えかけるもののない、退屈なブランド」であると見なされてきた。

英国ならTopGearで散々言われ、日本でもネガティブな意味合いで「80点主義」という言葉が使われるなどという例があるが、古今東西トヨタ車のイメージは同じということか。

その上、米国は先進国としては珍しく少子高齢化とは無縁で、若者のトヨタ支持率が低いというのは今後消費者のトヨタ離れを引き起こしかねない重大なリスクであった。そこで、それを打破するために設立されたのである。


ちなみに別ブランドとは言ってもレクサスとは性質が異なり、サイオン専用のディーラー網も存在せず既存のトヨタディーラーで販売される。これは前者が「壊れないが、安物の大衆車」と言う日本車のイメージを払拭し、最終的に高級ドイツ車のお株を奪うべく設立され、後者は若者のトヨタ離れを食い止め、将来的にトヨタブランド車に乗ってもらうべく設立されたという経緯の違いもあるだろう。


日本導入の可能性は?

サイオン日本導入の可能性は、まずない。

その理由として考えられるものには以下のモノがある。


1.客層・車種を同じくするネッツ店(特に旧トヨタオート店)の存在。


まず、サイオンの販売車種と日本名、日本での取扱い店を見てみよう。

(横一列で太文字はネッツ店で購入可能な車種)

北米名日本名取り扱い店舗
FR-S86トヨタブランド全店舗
xB(初代)bBネッツ店
xB(2代目)カローラ・ルミオンカローラ店
xA初代istネッツ店、トヨペット店
xD2代目istネッツ店
iQiQネッツ店
tC日本未発売N/A
iA(ヤリスiM)日本未発売N/A(ヤリス=ヴィッツ自体はネッツ店)
iM(カローラiM)2代目オーリスネッツ店、トヨペット店(ハイブリッド導入以降)

※iAはMAZDA2(デミオ)セダンのOEM。


そう。日本でも「ネッツ店取扱い」の、それも「若者向けの車種」が多いのがわかるだろう。


そもそもネッツ店(特に旧オート)自体が若者・女性をターゲットにしている店舗である。よって他のトヨタブランド販売店(あるいは兄弟車種)と比べると、歴代の販売車種を見ても・・・

スプリンター系(特にカリブ、トレノ、シエロ)、スターレット、MR2/MR-S、RAV4、チェイサー、アリスト、ヴィッツ、iQ、bB、オーリス、スペイド、ヴォクシー、ヴェルファイア・・・

・・・と、「若々しさ」「個性」「ちょいワル」と言ったワードを感じさせる車種が多い。


あれ? これってサイオンのコンセプトそのものだよね?


さらに、2016年現在ではビスタ店も吸収してしまったので店舗数も抜かりはない。

そう、サイオンのポジションは既にネッツが補完しているのである。


2.tC以外の車種については、既に日本仕様車が販売されていた。

仮にtCを売るとしても、日本では新型セリカとしてカローラ店で売った方が市場にも販売サイドにも受け入れられやすいであろう。

・そもそもtCはセリカ等「T型系列車」のアベンシスのプラットフォームを使っている。

・あのサイズのFFクーペというポジションもセリカそのもの。北米でもセリカ後継機と見なされている。

・ブランド力・知名度で言えば、日本におけるサイオンとセリカの差は言うまでもない。

・セリカの名前を安易に使うのがイヤだというのであれば、中東・中国名の「ゼラス(ZELAS)」を使う手もある。こちらはトヨタブランド車なので、商標権の問題さえクリアできれば使えるしエンブレムやロゴも流用できる。


3.唯一のサイオンブランド専用車、tcの微妙な立ち位置

200万円台で買えたミッドシップのMR-Sが絶版となったように、日本ではそもそも若者の興味はクーペから、実用性の高い軽トールワゴンやミニバン、SUVに移行し始めていた時期でもある。加えて「なるほど北米」というデザインである為日本でウケるかは不透明であった。


2012年には86(サイオン・FR-S)が登場したことにより、ただでさえ少なかった日本でのtcの居場所は完全に無くなった。

そして後述のブランド廃止に伴いtCも廃止されている。


4.海外ブランドの国内導入自体がハードルが高い

国産の海外ブランドを国内導入して成功と言える事例はレクサスくらいなものである。そのレクサスさえ、導入当初は「トヨタ車の値段を変えただけ」みたいな叩かれ方をしてコケまくっていた。


サイオンの場合は先述のように既にキャラが近い販売チャンネル(ネッツ店)がある、ほとんどの車種が既に販売されていると言う状況はそれこそレクサス店導入直前の状況と似ている。


が、富裕層をターゲットに価格を吊り上げることの出来る高級車ブランドとは違い、サイオンはそもそもが若者向けなので値上げは市場に許されない。


5.そもそも若者がトヨタ離れしていない

トヨタの市場シェアは10年以上前から全く衰えておらず、未だに登録車の半数近くはトヨタブランド車が占めるという圧倒的な状態である。


ネッツ店を用意している以上確かに若者を取り込む必要はあったが、新規ブランドの導入というリスクを負う必要がない。


6.決定打、アメリカでのブランド廃止が決定。

(後述)


・・・が、「マイノリティ=カッコ良い」という層やUSDMフリークにはそれなりに人気があるのか逆輸入されたものを極稀に見かけることがある。これは結局、何らかの形で「日本仕様車とは違う存在」であることを楽しんでいる部分があるのである。


これらの背景を考えると、やはり今後もサイオンは「日本仕様車とはひと味違う、希少な逆輸入モノ」というポジションでいさせて、日本販売戦略においてはそっとしておいた方がいいのではないかと思われる。


そしてブランド廃止、トヨタブランドへの統合へ

ピークである2006年には17万台超と好調であったサイオンブランドであったが次第にかげりが見え始め、2015年には5.6万台と10万台以上のマイナスになってしまった。

そこでトヨタは2016年2月3日にサイオンの廃止(事実上のトヨタブランドへの統合)を発表。2017年モデル(16年8月~)からは順次トヨタブランドに切り替わり、車名が変更することもあるとのことだが、tCに関してはモデル廃止となる。


とはいえサイオンは「平均年齢36歳」「7割がトヨタ車は初めて」などと当初の目標である「若者のトヨタ離れの阻止」を十分に達成したと言え、ジム・レンツ米国トヨタCEOは、「これはサイオンにとって、後退ではない。トヨタにとって、前進だ」と述べている


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