「戦え！心ゆくまで、戦いに酔いしれるがいい！」
「お前達に、ワタクシの邪魔ができるかな？」
CV：吉田淳
登場話数：第10話「あァ復讐の女神」
概要
肩書きに「爵位」を含むだけあって、燕尾服のようなジャケットを着用しているが、そちらにも木の幹のようなディテールが施されていたりもする。
自らの身体から咲いている桜の花びらには、その香りを嗅いだ人間を凶暴化させる働きが備わっており、この特性を活かして人間を凶暴化させ、自滅させようと目論む。後述の気質もあって基本的には高みの見物を決め込むことが多いが、持ち前の戦闘能力も決して低い方ではなく、大量の桜の花びらを相手へとぶつける「桜満開花吹雪」という技を持つ他、格闘戦でもシシレンジャーと相対し、これを一時苦戦に追い込むほどの実力を有する。
物腰柔らかな立居振舞とは裏腹に、自らの特性によって争い合う人々を煽り立てたり、ガラとクジャクとの因縁の死闘も「戦うしか能のない愚か者共」と嘲ってみせる等、本質的には冷笑的な気質の持ち主であることが窺える。
作中での動向
人々が満開の桜を楽しむ中、サクラ子爵は自らの花びらをそれに紛れさせることで、その香りによって人々を無差別に凶暴化させ、彼らが相争う様を密かに煽ってみせた。
騒ぎを聞きつけ、これを止めようとした亮達の手にも余るほどの阿鼻叫喚の光景が展開される中、その様子を窺っていたクジャクは舞い込んできた花びらから、この騒ぎがサクラ子爵の仕業によるものと察知。羽手裏剣を人々に見舞って容赦なくこれを制止してみせると、これをかばおうとした大五に対しても情けを持ち過ぎると指摘し、「戦士なら、情けは早く捨てるがいい」とその甘さを喝破してみせたのであった。
そんな彼等の主義のぶつかり合いを後目に、その後も場を変えなおも人々を凶暴化させていたサクラ子爵は、クジャクからガラの居場所を教えるよう迫られるが、その必要もないと言わんばかりに当のガラが出現。
前述の通り、両者が決闘に及ぶ様さえも嘲笑混じりに傍観していたサクラ子爵であったが、そこにダイレンジャーが駆けつけると、ダイレンロッドによる打突を喰らいながらも「桜満開花吹雪」で反撃に及び、さらに相対したシシレンジャーと一騎打ちを演じ、その流れの中で相手のダイレンロッドを奪い取って攻勢を仕掛け、一時的にではあるが優位に立ってみせた。
が、追い込まれたシシレンジャーは、心を無にして相手からの攻撃の勢いに逆らわず戦う「獅子拳・無明無心」でこれに対抗。サクラ子爵の怒涛の攻勢もこの極意の前にはまるで意味をなさず、一瞬の隙を突かれてロッドを取り戻された末に、スターソードとの二刀流で繰り出した「ダイレンロッド・孔雀斬り」で敗北を喫してしまう。
巨大化後も、桜満開花吹雪で大連王に挑むものの歯が立たず、大王剣・疾風怒濤の前に文字通り散華したのであった。
備考
デザインはマイケル原腸が担当。花びらだけでなく木そのものをモチーフとした一体で、マイケル自身も「ダイレクトに桜・・・というか花見ですね（笑）」と後に評している。また造形の段階で、上半身の桜がデザイン画稿で描かれている以上にサイズアップが図られてもいる。
CV担当の吉田は、1980年代から1990年代を中心に東映特撮に多数出演経験を持ち、スーパー戦隊シリーズは本作が初めてかつ2023年現在唯一の出演となる。
『宇宙刑事シャイダー』（神官ポー役）や『仮面ライダーBLACK』（剣聖ビルゲニア役）など、東映特撮においては顔出しでの出演を基本としている吉田であるが、このサクラ子爵に関しては物語の展開上人間態としての出番はなく、あくまでCVのみの担当に留まっている。こうしたケースは人間態を演じる俳優が、（本職の声優でなくとも）そのまま怪人態のCVも兼ねることが多い『ダイレンジャー』において稀有なものでもある。
スーパー戦隊シリーズの英語版ローカライズ作品『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』にも、第2シーズンの第23・24話（通算第83・84話）に「ブローブロッサム」の名で登場。同作では、自らの種をばらまくことで同種の存在を無限に誕生させたり、右手から放つ光線で相手を凍結させるなど独自の能力を備えており、その作戦の時間稼ぎとして、第1シーズンに登場したハチャソーラス（ドーラアンタイオス）を復活させてもいる。
