概要
ネコ科に属するトラの一亜種で、現存する5つの亜種でも大型の体躯を持ち、ネコ科の中でも最大の種である。
雄の個体では全長3m、体重350kgを超えた例も報告されている。
本亜種はロシア沿海州から中国東北部、朝鮮半島の広範囲に渡って生息しており、その地域ごとに
ロシア沿海州:シベリアトラ、シベリアンタイガー、アムールトラ、ウスリートラ
中国東北部:華北トラ
朝鮮半島:チョウセントラ
と異なる呼び方をされている。
また、カフカスに生息していたカスピトラやタクラマカン砂漠に生息していたロプノールトラ(両種とも既に絶滅)は、最近の遺伝子調査の結果シベリアトラだった事が判明しており、この事から本亜種はユーラシア大陸の広範囲に渡って生息していた事が窺える。しかし、人間の生活圏の拡大に伴い、シベリアトラの生息圏の縮小・隔絶が進んでいき、今ではユーラシア大陸の北東部にのみでしか生息していない。
(北朝鮮の一部でも目撃されているが南部(韓国)での目撃例はないもよう。加藤清正の虎退治はこのシベリアトラを倒したものと思われる。)
野生では鹿や猪を主に捕食するが、時には鴨や雉等の大型の鳥を襲う。ブラウンベアー(主にこども)を襲うこともあるが、反対に成獣の個体に返り討ちにあったり、自身の獲物を奪われたりすることもある。
寿命は13~20年ほど。単独生活で、繁殖可能年齢は3歳ごろからだが、メスの場合5歳くらいまでに初産をしておかないと後の妊娠が難しくなるとも言われている。
産む子供は2、3頭から7頭という記録があるが、多く出産しても衰弱して育たない子がいる場合もあり繁殖効率はあまり良くない生き物である。
人間とのかかわり
前述したようにかつては広範囲に生息していたが、多くの亜種と同様に棲息地の開発や乱獲により激減し、現在の野生の生息数は500頭ほどと推察されている。
現在では絶滅危惧種に指定され保護されたことにより回復傾向にあるが、未だに密猟や地元住民との衝突といった問題が多々ある。
日本国内では24の動物園で飼育されており、飼育下では馬肉や鶏肉、牛骨などを食べさせており、ロシアの動物園ではモルモットやウサギも食べさせている。
上記の事情により、ドイツのライプチヒ動物園が国際血統登録を行なっており、全世界で飼育されている個体に番号を振って血が濃くなりすぎないように繁殖計画を行なっている。
日本の動物園もこれに協力しており、そのため時折トラが園を移動することもある。
関連タグ
ヒグマ(ライバル)