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シベリア送り

すいびーりおくり

シベリア送りとは、ソビエト共産党から下される田舎暮らしのありがたい指示である。
目次 [非表示]

概要

シベリア送りとは、長くて忙しい党員生活に疲れた同志諸君に、田舎での悠々自適な生活を斡旋してくれる指導者からのとてもありがたい福利厚生事業である。


解説

シベリア(Сибирь)では、都会の喧騒を離れて静かで綺麗な空気のもと、原生林の見事な木の数を数えたり、美しいオーロラ星空を眺めながら党や社会主義に関する理解や教養を深めたり、純白の大地に鉄道を敷いたりと、非常に風情に富んだ生活が約束されている。


党指導部の慈悲深い判断によって家族も同時に移住することが認められることが殆どである。

また、移住先では移動の為に運転手付きのが用意されているほか、特に気候が良いときの散歩は格別であるとの評判である。

殆どの場合は、福利厚生の一環として専門の護衛や、ジャーマンシェパードシベリアンハスキーと言った高価賢い犬が充てがわれる。

西側でもほんの一握りの特権階級のみが実現し得る生活を、ソビエト連邦では誰もが享受しうる可能性を持っていると言えよう。


シベリアから帰ってきた者は、このありがたい指令に報いるために党と指導部に一層の忠誠を誓うと言われているが、多くの者はシベリアから離れることは無いという。














実際は…

帝政ロシア時代から存在する懲罰(流刑)と言われている。

上級貴族や軽微な過失を犯した党幹部に関しては、一応管理職という立場で送られる事もあったというが、もちろんシベリアには生産的な産業など無いので、やる事も無く文字通り「木を数えて過ごす」しかないくらいであったという。当然、産業が殆ど無いので功績など上げられるはずも無く、一度送り込まれると政治の表舞台には戻れる見込みのない約束された左遷の地である。(そもそもロシア人の間では「木を数える仕事」なる言い回しは通じないらしい。誰が言い出したんだソレ…)


重大な政治犯罪者や、不正を働いた下級官吏、脱走兵捕虜などは、労働力として、鉱山炭鉱鉄道港湾施設、秘密都市などの建設や運営などの重労働に従事させられた。

こちらにも、森林伐採という文字通り「木を数える仕事」が存在したが、その過酷さたるや前述の比喩表現とは天と地ほどに意味合いが違うといえる。


労働環境は頗る劣悪で、労働災害で多くの犠牲者を出し、また多くの者が再び故郷の土を踏むことが叶わなかったと言われている。


また、逃亡を防ぐ為に刑務所強制収容所がシベリアに建てられ、そこに政治犯罪者やスパイなどを監禁する場合も多かった。

特に肉体労働に耐えられない高齢の者や政治的影響力が強過ぎる為に封じ込めを図る必要がある者、名誉回復の見込みがあったり、やんごとなき立場であった者などは監禁という手段が取られた。


尤も専門機関などにおいてやむ終えないと判断された場合は、シベリアに辿り着くことすら無かったが…


左遷先として、或いは強制労働の為の労働力として、また単に監禁される場合であっても、その政治的影響力を懸念したり見せしめの意味から、家族やごく親しい者を同時にシベリア送りとされる事が日常茶飯事であった。


主な事例

罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』で知られるロシア帝国の作家フョードル・ドストエフスキーは、空想的社会主義を標榜する団体に所属していたとして流刑となった。

もともと死刑であったところ、執行直前になって「皇帝の慈悲により」助命され流刑になった。(この一件は最初から流刑と決まっていたというのが定説である)


この他にも共産主義などを通じてロシア皇帝に叛意を持った人物はシベリアに流刑となっており、ソ連の最高指導者のレーニンスターリンや、首相、外相を務めたモロトフなどもシベリアへの流刑を経験している。


共産党の下では、銃器設計者のミハエル・カラシニコフの生家が党から富農と認定されてシベリアに追放されている。

また、ロケット技術者のセルゲイ・コロリョフも先に逮捕されていた同僚の密告(冤罪だった)によって、件の同僚共々シベリアの鉱山へ送られた。


第二次世界大戦中には、ドイツなど枢軸国側の捕虜の多くが労働力としてシベリアに送り込まれた。

大戦終結後は、これに加えて日本軍捕虜や民間人などが、シベリア各地や中央アジア、ロシア共和国より西のウクライナやベラルーシなどに運ばれて、強制労働などを課された。


2022年に始まったロシアによるウクライナへの全面侵攻でも、ロシア軍占領地域のウクライナ人をシベリアや北極圏、極東などに強制的に移送させており、その規模は数万人にのぼるという。


元ネタ

「などと言っております、同志スターリン」

「なるほどシベリア送りだ」

というやり取りがネット上では流布しており、トップ画像もこのパロディ。

都合の悪い人間をすぐ粛清したスターリンの冷酷さ、狭量さを揶揄するものとして扱われる。

元ネタは小林源文の漫画『ブラウ作戦』であるが、実際にはこれはコラであり、元の台詞は――

「以上です、同志スターリン」

「なるほど許可しよう」

――である。

つまり元ネタとは正反対の台詞になっている。

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