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概要

ダマスカス鋼」とは本来、シリア・ダマスカスで作られる刃の素材を指す言葉。発祥はインドであるらしく、そちらの名をとった「ウーツ鋼」の名でも知られる。これはインドのウーツ地方で精製された鋼をシリアのダマスカス地方の工房が刀剣などに加工して世に送り出していたためである。

伝承で散見されるウーツ鋼の特徴は、折れず曲がらず錆知らずという刀剣に使う鋼としては理想的な性質を持っていたという所である。これはウーツ鋼の精製時に木くずや藁クズといった不純物が混じる際に、結果として現れた特徴と言える。

優れた切れ味と靭性で知られ、表面に油紋のような模様が現れるのが特徴。現在、本来のダマスカス鋼の製法は失伝しているが、この外観を再現したナイフや鋼材が出回っている。


銃夢」に登場するものは、巨大なバタフライナイフのようにな折りたたみ機構を備えた薙刀のような形状をしているのが特徴。

本来は主人公・ガリィが「モーターボール」競技に用いていたボディの両腕部に固定されていたもので、後に一本に打ち直された後に携行武器としてあつらえ直された。(LastOrderにて教授により新たなボディであるイマジノス体の材料とされたため失われているが、ボディを変化させることでモーターボール編のブレードを再現している)


銃夢の実写映画版「アリータ:バトル・エンジェル」ではハンターウォーリアの一人ザパンの得物として登場し、終盤でアリータに奪われる。アリータが持つとバーサーカーボディが発するプラズマを纏って青い光を放つ。


ダマスカス鋼のひみつ

ダマスカス鋼=ウーツ鋼は極めて粗末な、不純物の多い鉄から作られる。逆に製鉄技術の進歩がダマスカス鋼を滅ぼしたとも言える。そこで科学者は鉄にわざと不純物を大量に添加してダマスカス鋼の再現を試みた。るつぼに高炭素鋼を入れて溶かし、砂、ガラス、木の枝など思いつく限りの不純物を投じて煮込み、火を消してゆっくりと鋳固めた。できた塊の表面の不純物を落としてから垂直に切断するとダマスカス鋼特有の銀と黒の縞模様が現れたのである。これを叩いては折り返しを繰り返して縞模様を緻密にしてからナイフ状に加工して叩き、最後は酸で洗浄して縞模様を浮き立たせればダマスカスブレードの出来上がりである。


では、わざと不純物を増やしたるつぼの中では何が起こっているのか? 実は不純物(特にバナジウム)は銑鉄に含まれる炭素を集める働きをしていたのである。炭素が集中した部分は鉄との化合物セメンタイトになる。これは焼入れを施すことで硬くて緻密だが折れやすいマルテンサイト相に変性する。炭素を奪われたセメンタイト周囲の鉄は柔軟で伸びのあるフェライト相になる。その後も不純物を含んだセメンタイトはなおも炭素を求めて縞状に成長する。化学の得意な方はチューリングパターンを思い出していただきたい。こうして炭素分の濃い黒の縞と炭素分の少ない銀色の縞を持つダマスカス鋼独特の構造が生まれるのである。そして折り返しを繰り返して縞を緻密にする事で硬さと柔軟さを持ち合わせた刀に最適な鉄が出来上がるのだ。


注意

通信販売等でダマスカス鋼のナイフや包丁として売られている縞入りの刃物のほとんどはあらかじめ低炭素鋼と高炭素鋼を重ね合わせて溶接したものを叩いて作ったものなので厳密には「ダマスカス鋼」ではない。


実は…

ダマスカスブレードをX線回折にかけたところ、なんとカーボンナノチューブのパターンが見つかったという! 理論的には考えられなくもない。カーボンナノチューブはナノサイズのセメンタイトを熱処理して表面に析出した炭素が結晶化して作られるのだ。ただこの結果には異論も多く、再現実験が待たれるところである。



関連タグ

  • ナイフ
  • [[M1911]:鍛造材からの削り出しでフレーム及びスライドが製作されているカスタムモデルがある
  • 日本刀江戸時代の刀鍛冶が再現を目指していた「古刀」に関しても「後の時代の基準からすると質の悪い材料を用いて素朴な製法で鍛えたら、結果として高品質な刀が出来てしまった」とする説も有る。

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