ピクシブ百科事典は2023年6月13日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴

パノラマカー

ぱのらまかー

名古屋鉄道(名鉄)がかつて保有していた7000系電車・7500系電車の愛称。日本で初めて屋上運転台方式の前面展望構造を取り入れた車両で、名鉄を代表する名車として親しまれた。
目次 [非表示]

概要

名古屋鉄道(名鉄)が保有していた特急車両7000系7500系の愛称。


1961年(昭和36年)6月に運行を開始。当時進行していたモータリゼーションへ対抗するための切り札として製作された。

イタリア国鉄の車両ETR300「セッテベッロ」を参考に、日本で初めて運転席を前面屋上に上げて展望席を配置するという屋上運転台式の前面展望構造を取り入れたことが最大の特徴であり、「パノラマカー」の愛称の所以となっている。

車両設計においては、例外的な認可箇所を減らすべく監督官庁の指導を仰いだ上で検討が行われたが、なにぶん日本初ということもあり、当の監督官庁も扱いに困ったという。


また、名鉄の車両で初めてミュージックホーンを搭載し、豊橋駅~平井信号場間(飯田線との共用区間の為)を除く全線で使用された。この装備は、今日でも名鉄の特急専用車に受け継がれている。


徹底した事故対策

登場当時は名鉄沿線ではダンプカーの踏切冒進による列車事故が非常に多く、乗客乗員が死傷する事例も少なくなかった。

そんな状況下で展望席を列車前頭部に設けるとなれば、従来の構造では乗客保護には不足と考えられ、社内からは企画に反対する声が相次いだ。そこで、事故対策として標識灯横、ダンプカーのバンパー(更にはダンプの台枠主構造)に高さを合わせて大容量の油圧緩衝器(バンパー)を配置した。エアコンユニットの一部も緩衝材の意図を持って油圧緩衝器近くに置かれている。これらの対策をとり、名鉄は「10トンのダンプカーが80キロのスピードでぶつかっても大丈夫」としていた。


その対策の真価が問われる事故が、運転開始後すぐに訪れる。


運転開始から約半年後、実際にダンプカーとの衝突事故が発生した。ところが、車両への被害は展望席窓ガラスのひび割れ程度で(展望席に座っていた乗客は無傷)、それどころかダンプを跳ね飛ばし大破させている。乗客への被害は、跳ね飛ばされたダンプカーが側面にぶつかった際に側面窓ガラスが割れたことによる破片で8人が軽傷を負っただけだった。この一件は地元紙に「ダンプキラー」として取り上げられている(事故後、この結果を受けた名鉄部内ではダンプカーとの衝突以上に当時残っていた半鋼製車および木造車との衝突を恐れていたという)。


派生型の登場、そして運行終了まで

1963年には車体を低床化し、走行性能を改良した7500系が登場。最盛期には7000系116両、7500系72両の陣容であった。


1973年、支線区増結用として「セミパノラマカー」7700系が登場。計24両が製造された。客室は7000系と同様であるが前面貫通式となっており、展望は確保されていない。1984年には7000系最終増備グループの中間車に運転台を取り付けた改造車の7100系も登場したが、こちらも前面貫通式。


2005年、ホームのかさ上げの都合から床が低く空港線(名鉄空港線)へ乗り入れられない7500系が全廃。2009年には7000系・7100系が全廃された。2010年には7700系も全廃され、こうして7000系列「パノラマカー」は名鉄より消滅し、延べ40年以上にわたる歴史を終えた。


特急仕様車

7000系と7700系には座席指定特急としての運用を目的とした改装車がいた(7000系についてはメイン画像参照)。外観上は白帯が入っていることで区別される。


改装は1982年と1986年の2回行われているが、すべて同じ車両が工事を受けたわけではなく、第1次改装が行われた後一般車に復元されたものや一般車から直接第2次改装を行った車両など経歴はバラバラ(外観上はどちらの改装もほとんど同じ)。さらに7700系では改装メニューが簡略化されている。改装メニューは以下の通り。


第1次改装(1982年)

東海道線に117系が登場したことに伴い対抗するために行われた。

  • 座席表皮の張り替え
  • ヘッドカバーの1席独立化
  • 通路にカーペットを設置
  • 壁面にゴミ箱を設置

第2次改装(1986年)

JR東海発足と東海道線の増発に対抗するために行われた。7700系もこの改装を受けている(※は7700系には行われていない)。1999年に1600系が登場するまで運用されたが、同一料金にもかかわらず新型車両との間のサービスレベルの差は大きかった。

  • シート交換、ヘッドレスト独立化。ロングシート部も交換
  • カード式公衆電話設置
  • 貫通扉の山吹色塗装(晩年は省略)
  • 案内放送チャイムの新設
  • ※荷物棚の交換(5700系と同じもの)
  • ※化粧板・蛍光灯カバーの交換
  • ※展望席にスピードメーター復活(5700系と同じもの)
  • ※ゴミ箱の壁面埋め込み

保存車

7000系のトップナンバーである7001編成の両先頭車(モ7001・モ7002)が名鉄の舞木検査場に、2002年に廃車された7027編成のうちの3両(モ7027・モ7092・モ7028)が中京競馬場に保存されている。

舞木検査場の保存車は、モ7001は前頭部がデビュー当時の原形に近い外観に復元されており、イベント時に公開されている。

中京競馬場の保存車は「パノラマステーション」とされており、競馬開催日・場外馬券発売日には車内と運転台を公開している他、場外馬券発売日はミュージックホーンの演奏も可能である。また、モ7092は座席をすべて取り外しており、ビュッフェとして営業している。


余談

  • なお7700系と似たような車体を持ち、足回りをAL車から流用したツリカケ駆動7300系もパノラマカー一族に含まれる事がある。
  • 引退後10年以上を経た現在でも、駅の案内板や名鉄杯をPRする系統板には7000系のイラストが使われ続けている。それほどまでに、パノラマカーが名鉄の顔として果たした役割は大きかったと言える。

関連項目

名古屋鉄道 名鉄 名鉄特急 展望席 展望車 パノラマ


  • パノラマDX8800系は7000系の余剰車からの機器流用で登場。2005年に退役。
  • パノラマSuper:車両更新計画の一環で1030・1230系および1850系は7500系からの機器流用とされた。

  • 70000形 2017年に登場した新型パノラm・・・ではなく小田急ロマンスカー。形状、色合いと形式名からして、どうみてもパn( 。製造は豊川の日本車両で、甲種輸送の際は小田急線より早く名鉄線(実際は飯田線との共用区間だが)を走行。


  • 名鉄スカーレット:7000系導入を機に採用された、名古屋鉄道現行の塗色。警戒色としての意味合いを持って採用された。

関連記事

親記事

名古屋鉄道 なごやてつどう

子記事

兄弟記事

pixivに投稿されたイラスト pixivでイラストを見る

pixivに投稿された小説 pixivで小説を見る

このタグがついたpixivの作品閲覧データ 総閲覧数: 192172

コメント

問題を報告

0/3000

編集可能な部分に問題がある場合について 記事本文などに問題がある場合、ご自身での調整をお願いいたします。
問題のある行動が繰り返される場合、対象ユーザーのプロフィールページ内の「問題を報告」からご連絡ください。

報告を送信しました