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ファイトフィーバー

ふぁいとふぃーばー

ファイトフィーバーとは、1994年に韓国のビッコム社が製作、販売した格闘ゲームのことである。
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概要

SNKがアジア圏にNEO-GEO筐体を普及させるべく提携したビッコム社(後に社名をウノテクノロジーと改めた)より放たれた2D格闘ゲーム。

「100メガショック」級タイトルの1本としてリリースされたが(100メガショックのロゴもデモ画面に出てくる)、実際には100メガは使っておらず98メガであり、微妙に詐称している(そのことから「100M未満ショック」とも揶揄される。)。


SNKのゲーム(特に龍虎の拳)に酷似している部分が多く、事情を知らない人に

パクリゲーや海賊版ゲームと勘違いされる事があるが、元々SNKとビッコム社が上記の提携に際して、研修生としてスタッフを日本に送り込んでいたり(『餓狼伝説2』及び『龍虎の拳』などの開発に参加したと言われている)、逆に本作の開発に際してSNKが協力したため、SNK臭というか龍虎臭全開の作りとなっており、龍虎の拳特有のオーバーな効果音や一部スプライトが流用されている(SNKからは効果音のライブラリデータやグラフィックパーツの提供を正式に受けている)。


NEO-GEO筐体と共にアジア圏に広くリリースされ、日本もその例外ではなかったが

バグなのか仕様なのか微妙なラインの独特過ぎる挙動が多く、操作感も今ひとつである。

その割にCPUはやたらと強く、攻略しようとすると難易度は非常に高い。

1994年というと、様々なメーカーが意欲的な格ゲーを出していた時期である事もあり

(当のSNKですらKOF94、龍虎の拳2、サムスピ覇王丸地獄変などを出していた)

日本のプレイヤーにはCPU戦・対戦とも人気が出ず、ひっそりと消えていった一作となった。

本国である韓国でのみ、『The Eye of Typhoon 極超豪拳』という続編が3DOとMS-DOSで発売されている(後述)。


システム

SNKゲーでよくある1レバー+4ボタン制。通常技は距離に応じて近・中・遠の3種類が自動で出る。


必勝技

他ゲームで言う必殺技。殺の文字が嫌だったからか、本作では

「必勝技」「超必勝技」と、一貫して「必勝」である。

全キャラクターが必ず1つは飛び道具必勝技を持っているのが特徴。


超必勝技の使用条件は『餓狼伝説2』と全く同じで、体力が低下して

体力ゲージが赤く点滅している時に特定のコマンドを入力する事で繰り出せる。

何故か一部を除き、大半が乱舞技である。


必勝技は繰り出すと画面に技名が表示されるが、超必勝技は隠し技のような扱いで表示されず、技名などは不明。


謎仕様

  • 必勝技が異常に出しにくい。というか、何回やっても出ない事すらある。これは後の研究で「何らかの動作(プレイヤーが必勝技を出す直前に相手が必勝技を出そうとするなど)の処理が終了しない限り、コマンド入力自体が無効となってしまう」といういわば「1P側と2P側で入力処理を共有している」のが原因とされている。
  • のけぞり中は完全無敵で、基本的にコンボという概念が無い。ここまでは『餓狼伝説2』と同じ仕様だが、本作では行動可能になる直前に一瞬だけガードをすることができず、無敵でもない空白時間が存在しており、そこを狙えばコンボになる。
  • 攻撃の強さに関係なく、4回連続ヒットで気絶する。間に割り込まれたりガードをされるとリセットされる。
  • 一度ガードした後、レバーを後ろに倒しているとそのまま同じ方向でガードし続けてしまう。そのため、上下ガードの切り替えができず、上段→下段と攻撃を仕掛けられたりすると絶対食らってしまう。
  • 攻撃判定・ダメージ補正ともに不可解な点が多い。打撃技のダメージは謎の条件で激減~激増し、当ててもノーダメだったかと思えば弱パンチ1発で大ダメージを受ける事もある。
  • 各技の属性設定がおかしく、しゃがみ強キックでダウンが取れなかったり、逆に立ち強キックでダウンしたりする。
  • 昇り中段を当てると、なぜか当てたほうがその場でもう一度ジャンプする。逆に降り中段の場合はその場で急速に降下する。

登場キャラクター

1人を除く全員が「最強のテコン王を目指すテコンドー使い」という設定なのだが、

明らかにテコンドーどころか、普通の格闘技からも逸脱しているキャラクターも見受けられる。

深く突っ込んではいけない。

以下に登場キャラクターを挙げる。


ハン・ベーダル

本作の主人公。胴着に鉢巻というテンプレ的な格闘家。

必勝技も波動拳っぽいのを使うあたり、王道すぎる設定であるが、

本業はサラリーマンで、エンディングではセットした髪にスーツ姿で、オフィスで働いているカットがあるというとっても堅実な人間である。

勝利ポーズではにこやかな笑顔で「ヘタクソー!」と相手を励ましてくれる。

(空耳の本来の発音は「へネッター!」で、「やったぞ!」くらいの意味合い)

他の必勝技には飛燕疾風脚(に似たような何か)や斬烈拳(の皮を被った物)などもある。


キム・フーン

ハンのライバルという設定だが、何故か金髪であり、メキシコ代表である。


ミユキ

作品唯一の女性キャラで、日本代表である。

舞台はどこかの在来線の駅(多分大阪?)のホームだが、そこを5両編成の新幹線が通過する。

「あひゃひゃひゃひゃ」と叫びながら掴んで引っかくというあんまりな技を使う。

因みにチャムチャムよりもこちらの方がひっかき技が先に出ていたりする。

勝利ポーズは「ヤッター(↓)」とやけにカタコトだが一応日本語で喋る。

対戦画面でのアナウンスは「ミ↓ユ↑キ↓(ユにアクセント)」。


ロッペンハイマー

ドイツ代表。頭にバンダナを巻いており、その下は見事な禿頭である。本業はバーテンダーであり、彼との対戦ステージも「勤務しているホールのスペースを借りている」というシチュエーション。

勝利台詞では「テコンドーをヨーロッパに広めるまで負けるわけるわけにはいかん!」

というステキな誤植をやらかしている。


ゴルリオ

ブラジル代表の原住民っぽい人。半裸で民族衣装を纏っている……ように見えるが、実際は半袖の服を着ている(エンディングに同じ柄で色違いのタンクトップを着ている画像が存在する)。

彼もまた勝利時のセリフで「ガハハ・・・まったく勝負ならんわ!」と豪快な誤植をかましている。

ちなみに彼の超必勝技は「腹ばいで上下に高速回転しながら突っ込んでいく」という唯一の非乱舞技である。


チンタオ

中国代表。見た目は少林寺拳法の拳士だが、テコンドー使いである。

勝ち台詞から師匠がいることも分かるが、EDでは映画俳優になっている。

使う技から見て、モデルはおそらくリー・リンチェイ(ジェット・リー)と思われる。


マジック・ダンカー

アメリカ出身のテコンドー使い。

バスケットボールを飛び道具にしたり、本来は反則のはずの体当たりも使ったりするが、今更突っ込むのは無粋である。


ニック・コマンドー

同じくアメリカ代表の軍人テコンドー使い。ホッケーマスクと緑の軍服を着ている。

仮面をしているという事は、重要な任務を任されているのかと思いきや、敗北すると呆気なく仮面を外す。

必勝技では手榴弾をアンダースローで投げ付ける物もある(それも画面中に同時に2発まで放つことが可能)

お前のようなテコンドー使いがいるか

そして勝利台詞で

俺がNO 1.

だ!次は誰が相手だ!

と、誤植に加えて謎の改行を披露してくれる。


マスター・タエクック

本作の中ボスであり、VSモードのみ使用可能。

英語表記では「Master taekuk」であり、本来の読みは「マスター・テクゥ」である。

日本発売にともない、英語表記をそのまま読んでしまった事でこの名前になってしまったと思われる。

名前の意味は「テコンドー・マスター」であり、言わば目標とする「テコン王」こそ、彼のことである

しかし、テコンドーマスターにもかかわらず、腕や脚を伸ばして攻撃する

ヨガマスターだろと突っ込んではいけない。

OPデモでは崖の上で風を受けており、仙人っぽい風貌で腕を開いたり閉じたりしているが、

EDではジェットコースターに乗ってはしゃぐ一面も。

何気に必勝技の一つにガード不能技があるのがズルい。


空手健児

本作のラスボス。テコン王になったプレイヤーに挑戦状を変な軌道で送って来る。素肌に緑のサスペンダー袴の男。


後世におけるネタ的な人気

稼働当初は鳴かず飛ばずで消えていったマイナーゲーの1本であったが、

後に動画投稿サイトなどが普及するとそのプレイ動画等から「カオスすぎる格ゲー」として話題となった。


本作はバグじみた仕様以外にも、コンセプトの時点でツッコミどころが満載で、

「腹ばいになって回転しながら敵に突っ込むテコンドー使い」や、

「試合中にグレネード(爆発しない)を投げるテコンドー使い」など、

お前のテコンドーはおかしいというようなファイターが多数登場する事からニッチな人気を獲得した。


また、サーキットモード(アーケードモード)でラスボス戦まで行った際に

空手健児が送りつけてくる

「おめでとう、ついにきみは跆拳王だ!。だが、真の王者になるには、まだKARATEというFIGHTERがきみの前に立ちはだかっているぞ!」という

微妙に第三者目線な謎の挑戦状からの

「ウルトラバックドロップ!」と叫びつつネックハンギングツリーを繰り出すなどの

シュールな技の数々…など、本作の独特過ぎる世界観は語り草となっている

(格ゲーのラスボスというと有無を言わさず戦いになるか、あるいは世界規模の被害を及ぼしうる

ヤバイやつというのがお約束であるが、わざわざ挑戦状を送りつけた上で勝負を挑んでくる

空手健児の礼儀正しさとスポーツマンシップを評価する向きもある。)


全体的に技名の発音が微妙で空耳案件も多いが、上記の空手健児の声だけは

いやにはっきりとした発音の日本語なのも印象に残る点である。

というのは、空手健児の声は龍虎シリーズでリョウ・サカザキの声を担当していた臼井雅基氏が当てているからで、

本作における唯一の日本人声優付きのキャラクターとなっている。


このような事情から、ネット上や動画サイト上ではカルト的な人気を獲得しているほか、

MUGEN用キャラクターとして移植されており、中でもゴルリオや空手健児はネタ要素が強い事から人気が高かった。


続編『The Eye of Typhoon 極超豪拳』(『ファイトフィーバー2』)

ビッコム社が本作の次回作として開発したゲーム。

当初はMVS用の『ファイトフィーバー2』というタイトルであったが、後に『The Eye of Typhoon 極超豪拳』というタイトルに変更された。

1996年には日本で開催されたAOUショーにも出展され、マスターアップはしていたものの

何故か発売中止になり、正式に日本国内でリリースされる事はなかった。


その後、韓国では3DO用ソフトとして同年内に販売されたものの、その3DO自体が

バカ高い本体価格であまり普及せず、巷ではお手頃なPlayStationNintendo64が圧倒的人気だったため

親会社である3DO社が既に見切りをつけていたという末期的な段階にあり

(松下電器が3DOと次世代機の「M2」の権利を引き継ぎ、LG電子と組んで展開する予定であったが、当時の圧倒的なプレステ人気の前に撤退を選択した)、97年内には市場から撤退してしまっている。

当時韓国国内でも3DOは40万ウォンというかなりの割高価格で販売されていたが、

持っているのは一部のマニアや金持ちだけ、というような位置づけにとどまり、

3DO用ソフトとして発売された同作もそれほどのヒット作品とはならなかった。

そのため、韓国国内でもレアゲー枠にあり、更にそれを輸入しないといけない日本では輪をかけてレアである。


垢抜けない感が強かった前作と比べると、緻密になったグラフィックや

変身キャラが居るなど進歩した部分がある一方で、妙にカクついているモーションがあったりと微妙に未完成感もある。


ちなみに韓国内では3DO版と同年にMS-DOS版も発売された。3DO版は韓国内での3DO本体の製造販売元であるLGから発売されたが、MS-DOS版はビッコム自身から発売された)。


世界観としては1800年代の末~1900年代初頭が舞台となっており、

「『極超豪拳』の秘伝書を狙い英国軍人達が武術家を襲撃する事件が相次いでいた。そんな中開催された武術大会、果たして『極超豪拳』の使い手とは…」

という、昔の香港映画を意識したようなストーリーとなっている。


その後、2022年にLimited Run Gamesから3DO/PC版を同梱した豪華特典付きの限定復刻版がパッケージソフトとして発売された。

また、社名がウノテクノロジーとなってからの動向がかねてより不明だったが。2021年に設立された同名企業であるビッコム(旧会社との区別のため「新ビッコム」と呼ばれることもある。)が旧ビッコムの諸権利を継承しており、旧ビッコムの社長を務めていたキム・ジェイフン氏もこちらに合流している。


余談

キム・カッファンは元々「キム・ハイフォン」という名前になる予定だったが、

上記のような事情で出入りしていた韓国のスタッフから

「韓国人の名前としては『ハイフォン』は二重母音でおかしい」と指摘が入り、このビッコム社の社長であった

キム・カッファン(金甲煥)氏から名前を貰い、漢字を少し変えてキム・カッファン(金甲喚)となったという背景があったりもする。

(その所為か、KOF2003以降のSNK系列作品では「キム・カッファン」という名前が使えなくなったようで「キム」とだけ表記されている)。

『餓狼MOW』のプレイヤーキャラとして登場するキムの次男であるキム・ジェイフンも上記のキム・カッファン社長の次男の名前から取っている。


また、KOFシリーズに登場したジョン・フーン(全勲)は本作のキム・フーンをモデルとしており、

技名は「満月斬」「排気撃」など、空手健児の技から取っている(性能は全く別物だが)。

韓国語では「キム(金)」から点を抜くと「ジョン(全)」になる。


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