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フリーウェイの戦士

ふりーうぇいのせんし

ゲームブック「ファイティングファンタジー」シリーズの第13弾。著者はイアン・リビングストン。
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「フリーウェイの戦士」とは、イギリスの出版社「ペンギン・ブックス」から出版されていたゲームブック「ファイティングファンタジー」シリーズの第13弾「FREEWAY FIGHTER」の日本語版タイトルである。出版社は社会思想社。

作品解説

 2022年8月21日。

 いきなり発生した疫病は、瞬く間に世界中に蔓延。その後四日間で、世界の全人口の85パーセントが死に絶えた。通信、交通、政治、全てのサービスは完全に機能を停止。全世界の文明は崩壊した。

 疫病の原因など、どうでもよくなっていた。宇宙からの細菌だろうが、どこかの国の化学兵器のウイルスだろうがどうでもいい。生き残る事そのものが、人間たちの最大にして唯一の関心ごとになっていた。

 そして生き延びた人々は、なぜ自分たちが生き残れたのかが分からないまま、生き延びる事に必死になっていた。文明崩壊後、世界には暴力が再びはびこり、略奪と暴力と破壊、それらが日常茶飯事に。缶詰一個を取り合って殺し合う事は、珍しくもなくなった。

 食料の不足から、都市は間もなく見捨てられた。


 そして、半年後。

 世界は二種類の人間に分かれていた。

 片方は、秩序を求め、文明の再興を図る者たち。

 片方は、暴力と破壊を好む者たち。

 秩序側の人間は、小さな町に集まり、自給自足の生活を始めていた。町は襲撃者から守るため、外周部に防御壁を築き、要塞化。

 暴力側の人間たちは、小さなグループを作り、世界中を徘徊。そしてバイクや車で、町を襲撃し、無防備な旅人から略奪を行っていた。


 主人公=君は、疫病を生き残り、「ニュー・ホープ」で生活している。襲撃者の探知装置の開発を仕事としている君は、ある日、町の評議会に遠くの町「サン・アングロ」からの通信が入った事を知る。

 そこは、元製油所で、大量の石油がある。が、食糧生産が不足で、穀物の種を欲していた。もしも種を運んでくれたら、一万リットルの石油と交換してくれるという。

 ニュー・ホープには、十分な小麦のストックがあり、なおかつ燃料が無いため動かせない発電機や農業機械が放置されていた。

 評議会は、サン・アングロに通信して、この申し出を受ける。しかし、誰が小麦を届け、石油運搬車を運転し戻ってくるのか?

 ニュー・ホープの評議会は、検討した結果、君がこの任務に最適だと結論を出した。

 この任務を受けた君には、装甲や機関銃を搭載したダッジ・インターセプターが与えられ、ニュー・ホープへと旅立つ事に。

 一年ぶりに、町の防御壁の外へと車を出し、そのまま君は、サン・アングロへと走り出した。


 シリーズ13弾。

 今回のジャンルは、「マッドマックス」に極めて近い、ポストアポカリプスものである。

 文明崩壊後に、暴力がはびこるようになった世界で、秩序と文明再興を夢見る人々のために、武装された車を駆って冒険を繰り広げる、という世界観である。

 戦闘ルールは、三種類……主人公の、ナイフを用いる肉弾戦、リボルバーで撃ち合う射撃戦、そして車両に乗って戦う「車両戦」ルールが追加されている。

 パラグラフは380で、普通の作品より若干短め。ストーリーもほぼ一直線。

 しかし、主人公の乗る車両がインターセプターである事、選択次第でスーパーチャージャーを搭載可能な事、「マッドマックス」に登場した「ヒューマンガス」に酷似したキャラの登場、石油を搭載したタンクローリーを運転する主人公とそれを襲うバイクの盗賊たちなど、モチーフ元となった「マッドマックス」シリーズの魅力を、ファイティングファンタジーのゲームブックに落とし込み再現しようとした節が、あちこちにみられる。

 つまり、失礼な言い方をすれば本作は「『マッドマックス』の良くできたパチモン」である。

 スティーブ・ジャクソン(米)も、自社のゲームで似た世界観のボードゲーム「カー・ウォーズ」を出しており、本作に極めて似た雰囲気を有している、

※なお、「カー・ウォーズ」にはゲームブック版が存在し、日本でも三作ほど邦訳されてホビージャパンから発売されている。

 ファイティングファンタジーシリーズでは、このジャンルはこれ一作のみだが、今までのジャンルには出せなかった魅力を感じさせ、楽しめる一作だと言える。

※なお、ゲームブックマガジン「ウォーロック」誌には、本作の世界観による短編小説「サムと車とカッコーと」が掲載されている(著者:ガース・ニックス)。日本語版でも二号にて邦訳され掲載された。


主な登場人物

主人公=君

 ニュー・ホープで、襲撃者を素早く探知する装置開発の仕事に就いている。

 サン・アングロへ赴く任務を聞いた時、町が得られる利益、二つの町での交流などを鑑みて、迷うことなく受けた。

 車の運転のみならず、ナイフやブラスナックルによる格闘術、リボルバーによる射撃もこなせる。ニュー・ホープにて、改造されたダッジ・インターセプターを与えられ、穀物の種を持ち旅立った。


シンクレア

 ニュー・ホープ評議会委員長。

 主人公がインターセプターで旅立った直後に、バイクの一団がニュー・ホープを襲撃し、その際に捕まって連れ去られてしまった。選択次第では、彼女を助ける事が可能。


アンバー

 サン・アングロの住民である女性。サン・アングロ評議会の命令で、ニュー・ホープからのインターセプターを迎えに来たが、車両を無法者グループに破壊されてしまった。立往生している際に、インターセプターに乗った主人公に偶然拾われる。

 小型爆弾を有しており、無法者グループに主人公とともに戦い、サン・アングロに戻ろうと試みる。


アニマル

 サン・アングロを襲撃した無法者グループ、「呪いの野犬」のリーダー(モデルはヒューマンガス)。

 筋骨たくましい、熊のような大男。上半身は裸で、顔はすっぽりと黒の覆面に覆われ、鋲を打った皮手袋をはめ、膝まで届くブーツのつま先には金属を打っている。

 選択次第で、主人公との一騎打ちをする事になった場合、彼と戦わねばならない。


火の玉ピート

 整備場を営む老人。

 油まみれの青いつなぎに、野球帽をかぶっている。石造りの建物にトタン屋根の作業場を有し、現金や物々交換と引き換えにエンジン整備を受け持っている。彼の整備場に赴いたら、スーパーチャージャーを搭載する事が出来る。


レオナルド

 とある峡谷で、レース勝負を挑むレーサー。元はメッツの内野手。スーパーチャージャーを搭載したE型ジャガーで、主人公のインターセプターとレースを行う。勝ては通してくれるが、負けたら引き返さねばならない。


登場車両・地名・その他

ダッジ・インターセプター

 主人公が乗る車。装甲を溶接し、機関銃とロケットランチャーで武装、まきびしやオイルのカプセル投下装置などを搭載するように改造した。主人公は対車両戦ではこの車を駆り、機関銃で撃って戦ったり、追いすがる車両をまきびしやオイルで走行不能にしたりしてやり過ごす。

 ロケットランチャーは、四回しか使えないが、一撃で車両を破壊したり、バリケードや建物を破壊したりできる。ガソリンを燃料にするが、消費が激しく、途中で見つけて給油しなければならない。

 モチーフ元の「マッドマックス」1作目および2作目にて、マックスの愛車「V8インターセプター」を踏襲しているものと思われる。ただし、元ネタと異なり、

:装甲版で覆い、防御力を強化。

:機関銃を内蔵し、運転席から発射できる。

 といった改造が施されている。これらは、スティーブ・ジャクソン(米)がデザインし販売した「カー・ウォーズ」からの影響と思われる。

 また、選択次第では元ネタ同様にスーパーチャージャーも搭載できる。


タンクローリー

 サン・アングロからの帰り道に、主人公が運転する車両。大量の石油を積載しており、取り付けられた回転式の機関銃座で自衛する事が可能。


※なお、この世界においては、車やバイクに機関銃などの武器を搭載し、路上で出会ったら問答無用で撃ち合う事が日常茶飯事。勝った方が負けた方から、所有している品物や燃料などを横取りする事は、ごく当たり前に行われている。数は少ないが、ヘリコプターも存在する。


ニュー・ホープ

 主人公が属する町。周辺を防御壁で覆っており、侵入者に対して警戒している。

 小麦のストックが十分にあるが、燃料が枯渇しており、もとからある農業用機械や発電機を動かす事が出来ない。そのため、サン・アングロからの申し出を受け、提供された石油で機械を動かして農業を再開しようと考えている。

サン・アングロ

 主人公が向かう町。元は製油所で、石油は豊富にあるものの、食料が不足している。石油を「呪いの野犬」に狙われている。

「呪いの野犬」

 サン・アングロの石油を狙う無法者グループ。

 リーダーのアニマルの命令で、容赦のない攻撃を仕掛けてくる。人員および車両も相当数を揃えており、サン・アングロとそこにある石油を独占する事で、更なる略奪をせんと企んでいる。

クレジット(クレッド)

 この世界で用いられている通貨。しかし通貨の信用は下落しているため、多くの人間は物々交換を好んでいる。特に好まれるのは、傷を回復させる治療薬。



関連項目

マッドマックス モチーフ元。

ポストアポカリプス

改造車両

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