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「桜の勇士」の由来

ラグビー日本代表チームの愛称。ニュージーランド代表「オールブラックス」、オーストラリア代表「ワラビーズ」などと同じ呼称である。

主に海外で使われる呼称であり、長ったらしいせいか日本ではあまり使われていない。


日本では一般的には「日本代表」あるいはサッカーなどにならい監督の名前を冠した「◯◯ジャパン」、ラグビー関係者からは「ジャパン」という愛称が一般的。元代表監督の大西鐡之祐がラグビーの書籍を翻訳するほど英語に堪能な国際人であったこともあり「君たちは世界を相手に戦うのだから、これからはジャパンと呼ぶことにする!」と発言したのが始まりとされる。


2003年ラグビーW杯オーストラリア大会で、初戦のスコットランド戦において後半9分に4点差まで詰め寄る健闘を見せ、地元ファンから賞賛をもってこの名前を与えられた。ジャージの左胸に描かれた3輪の桜のエンブレムにちなんだものである。


「え?そんなんで?」と思われる方も多いかもしれない。しかしながら、ラグビーはこれでもかというくらい実力差が露骨に現れるスポーツである。世界4位3位に勝っても番狂わせ、W杯での試合がいわゆる「公開処刑」となるケースも決して珍しくない。また、「7点差以内の負け」に対し勝ち点1が与えられるというルールがあるくらい惜敗が評価される。2015年W杯開催時点における日本代表の通算成績は1勝21敗2分。対カナダ戦で2度引き分けるなど、惜しい試合は幾つかあるものの、ほとんどお客さん扱いだったのである。


しかし転じてこの愛称を「弱いけど頑張るよね」という一種の上から目線の評価であると苦々しく感じていた関係者も少なからず存在していた。


ところが、その2015年W杯において、誰もが予想だにしなかった事態が起こったのである……


史上最大の番狂わせ

2015年W杯予選リーグ初戦、南アフリカスプリングボクス)戦。キッカー・五郎丸歩のペナルティゴールで先制した日本代表は、南アの猛攻に対し巧みなパス回しとスピード、丁寧なペナルティゴールの積み重ねで食い下がる。15人中13人が参加してのドライビングモールトライも見せ、残り5分で29対32(繰り返すが、世界ランキング3位の南アに対してこのスコアは大健闘なんてものではない。)、相手のハイパントをキャッチした日本はここから怒涛の攻撃を見せる。倒されてもラックからボールを繋ぎ、相手のシンビン(悪質な反則や反則の繰り返しに対する10分間の退場)を誘い、13人参加のモールで押し込む押し込むもトライは認められず、相手陣地5mラインからのスクラムで南アが反則。

ここでの選択肢は3つ。ラインアウトかスクラムか(どちらも逆転が見込めるがワンミスで試合終了)それともペナルティゴールか(ほぼ確実だが同点止まり)。日本主将・リーチ・マイケルの選択は……スクラム!敗戦のリスクを飲み込んであくまでも勝利を目指す日本に観客席は沸騰した。

2度の仕切り直しの後、日本は左のデッドスペースに圧力を掛けてからボールを右に、そして再び左に展開、最後はヘスケスが左隅に逆転のトライをし、続くコンバージョンキックを五郎丸が外した瞬間ノーサイド(試合終了)。ここに史上最大のジャイアントキリングが成った。


世界の反応 ネットの反応

この結果を受け、各国のメディアは一様に「ラグビーW杯史上最大の衝撃」と報道。一方、ネットでは「どのくらい凄いことなのか教えてくれ」という質問が飛び交い、「県大会ベスト4クラスの高校野球チームがソフトバンクに勝つくらい」「幕下横綱に勝つくらい」「ヤムチャベジータに勝つくらい」「ジェガンアクシズを墜とすレベル」と(半ばジョークも交えた)様々な答えが。


ともあれ2015年、ようやく日本代表はその愛称にふさわしい活躍が出来たと言っていいだろう。一方で、3勝1敗の好成績ながらも「1試合4トライ以上」または「7点差以内の敗戦」で得られるボーナスポイントがゼロだった日本は勝ち点でグループ2位のスコットランドを上回ることは出来ず、悲願の決勝トーナメント進出は残念ながら次回に持ち越しとなった。


番狂わせ、再び

2019年9月

ラグビーW杯の開催国となっていた日本は競技場の設備や国内での盛り上がり具合について世間から多少不安視されながらも何とか予定通り開催にこぎつけることができた。


しかしながら日本が入ったプールAにはアイルランドという優勝候補、同じく伝統国であるスコットランドの2カ国がいた。

特にアイルランドは長年の強化策が実り、2018年にはオールブラックスにトライを許さずに完勝するなど実力は北半球最強の一角であると見なされていた。

また大会直前のテストマッチとなった南アフリカとの再戦も7-41と改めて圧倒的な実力差を思い知らされ、暗雲立ち込める状況のまま大会に挑まなければならなかった。


W杯第一戦であるロシア戦では格下相手であったこともあって勝利をつかみ、次のアイルランド戦に臨む日本。しかし、国内の新聞やワイドショーですらも日本がアイルランドに勝てることはまずないと予想。わずかな希望と選手たちの健闘を祈って彼らの試合を見守ろうとしていた。


前半13分、大方の予想通り日本はアイルランドに華麗なキックからトライを決められ先制を許してしまう。田村優のペナルティキックで何とか3点を返し希望をつなぐもまたすぐにトライとコンバージョンを決められ3-12と大差をつけられてしまう。それでも日本は粘り強く、田村のペナルティキックで少しずつ点差を縮め、何とか9-12で前半を折り返した。


後半58分、日本は後半から加わった福岡堅樹のトライ、更に田村のコンバージョンで2点追加し16-12と遂にアイルランドを逆転、71分には田村優のペナルティキックが華麗に決まり19-12と誰もが予想だにしなかった大逆転劇が始まったのである。

また、前評判からスタミナに定評のあった日本に対し、慣れない日本の暑さに体力を奪われたアイルランドは徐々に動きが鈍り始め、最後は自陣からボールを高く蹴り上げ(※これは8点差以上に広げられて勝ち点が0になるのを防ぐ=「予選プールが終わるまで決してあきらめない」という意思表示でもあった)自ら試合の幕を引いたのであった。


BRAVED THE SHAMROCK


終わってみると、ブレイブブロッサムズが19-12で当初の予想を覆し、2015年と同じくジャイアントキリングを成し遂げてしまったのである


この二度目の大番狂わせは世界中を驚かせるニュースとなり、先ほどまで戦っていたアイルランドからもその素晴らしいプレーと勝利を称えられた(当然日本中も大変な騒ぎになり、まだ決勝トーナメント進出が決まっていないにもかかわらずニュース速報が流されたり、試合後に花火まで打ち上げられたりもした。あまり日本ではなじみのないノーサイドの精神もまるでスポーツ漫画の世界をそのまま現実世界に持ち込んできたような美しさがあり、目頭が熱くなった国民も多かっただろう)。

一方、アイルランドはワールドカップのグループリーグで開催国に勝てないジンクスを持っているが、勝ち点4+ボーナスポイント1を簡単に取れると高を括っていた格下の日本を相手にしてもなお、それを打ち破ることが出来なかった。


翌週この歴史的快挙の勢いに乗じつつも油断せず、体格に勝るサモアとの激戦を繰り広げ、こちらもトライ4回で勝ち点追加というリードしながらも最後まで気が抜けない名勝負を演じた。

互いにトーナメント出場をかけたスコットランド戦でも、終盤にスコットランドの猛烈な追い上げに遭いながらも28-21と辛くも勝利し、予選全勝で初の8強入りを決めた。


4戦全勝で勢いに乗って決勝トーナメントに臨んだ日本だったが、トーナメント1回戦(準々決勝)で因縁の相手である南アフリカに3-26で完敗を喫し、ベスト4進出は果たされなかった(ちなみに、試合の行われた10月20日は、奇しくも故・平尾誠二氏の命日でもあった)。


八百長/審判の買収疑惑

2019年大会の対アイルランド戦にて少なくとも3回・識者によると14回(参照)、対サモア戦でのボーナスポイント判定を含め、日本に有利な疑惑の判定がなされてきたという指摘もあり、日本国内のニュースや新聞ではスルーされているがBBC日本語版でも二度も報道され、日本語に翻訳されていないがサモアの監督と代表も不満を述べている (「Samoa Referee Japan」とググれば複数ヒットする)。スコットランドHCも「見たことがない不正」だと不満を表明している(参照)。


また、対アイルランド戦でのレフェリー2人は、共にアイルランドと因縁があったことも疑惑を読んでおり、これも日本に対して有利な判定が行われた原因になったのではないかという指摘もある。


これらとは別に開催国特権なる有利な中日の設定も指摘されており、それが2019年大会の歴史的快挙の達成に一役買ったという声もある。

もちろんこれに関しても一理あるだろうが、開催国特権は今回に限ったわけではない。実際、前回の南アフリカ大会では日本側が不利な日程の中で試合を行わなければならなかった。


余談

  • 日本代表は1987年の初回大会から連続出場しているが、主だった単色のジャージは古くからの強豪国で占められており日本らしいと呼べる色が見つからず、やむなく代表ユニフォームを赤白の横ストライプのジャージに決めた、という裏話がある。
  • 選手の鍛え上げられた肉体は、TVレポーターを務めた真壁刀義も手放しで称賛するほど(真壁自身も日本を代表するパワーファイターの一人である)。それでもまともに力で勝負したら敵わないというのだから、各国代表の鍛えっぷりの凄まじさが窺える。
  • 7人制ラグビー男子日本代表の愛称は「セブンズジャパン」と呼ばれ、15人制の代表「ブレイブブロッサムズ」と両方選抜または掛け持ちした選手もいる。

主な歴代選手

草津正武(後のプロレスラー、初代・グレート草津。)

山口良治(『スクール☆ウォーズ』の主人公のモデル。)

原進(後のプロレスラー、阿修羅・原

松尾雄治

平尾誠二

大八木淳史

大畑大介

五郎丸歩

廣瀬俊朗(ドラマ『ノーサイド・ゲーム』に出演。)

齊藤祐也(同上)

田沼広之(同上)


以下、2019ラグビーワールドカップ日本代表。

稲垣啓太 リーチ・マイケル 中島イシレリ レメキロマノラヴァ 堀江翔太

松島幸太朗 福岡堅樹 田中史朗 具智元 松田力也

姫野和樹 松田力也 田村優 流大 ラファエレ・ティモシー

トンプソン・ルーク ピーター・ラブスカフニ


因みに大畑、廣瀬、田沼、リーチ、レメキ、福岡は「セブンズジャパン」にも選ばれたことがある。

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