概要
英:Mahoutokoro
J・K・ローリングの小説シリーズを原作とする『ハリー・ポッターシリーズ』などの世界観の中において、設定上存在する日本の魔法魔術学校。
漢字表記は、『魔法処』。
英語の公式表記は2通りに揺れている(頭にSchool of Magicが付くか否か)。JKRの記述上ではワガドゥーやカステロブルーシュー、Koldovstoretzと同様単に“マホウトコロ”であるのでとりあえずこれに従っておけば良いだろう。
日本語 | 魔法処(マホウトコロ) |
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英語 | Mahoutokoro |
地理
国際魔法使い連盟教育局に登録された11の名門魔法学校の中で現在判明している8校の内、唯一アジアにある。また、イギリスのホグワーツ同様包括範囲があまり大きくなく、学校所在国のみを担当している。
日本の小笠原諸島における火山列島のひとつである南硫黄島に所在し、世界各地の魔法学校の中で最も学生数が少ないが、由緒ある学校でかなり古い歴史を持つとされる。
入寮前の下級生たちは通学の際は巨大なウミツバメの背に乗って登下校する。
このウミツバメがフクロウやディリコールのような魔法鳥なのか、なにかしらの呪文をかけられたふつうのウミツバメなのかは不明。
仮に生徒の「登校」の出発地を東京としても、南硫黄島までの飛行距離は約1290キロメートル。旅客機で同程度の距離を飛ぶ東京-奄美大島間(1240キロメートル)の所要時間は片道約2時間40分、時速800キロ。生身で耐えられるスピードを遥かに超えているため、なんらかの仕掛けがあると見込まれる。(ちなみにホグワーツ特急は約9時間半かけてロンドンからスコットランドに到着する。)
近くの島にはマグルの航空部隊の基地があるため、飛行時には一定の注意が必要。
マホウトコロ御殿
最上質の軟玉翡翠である羊脂白玉から成る華麗で精巧な造りのマホウトコロの校舎は、マグル(非魔法族)が無人島と思っている火山島、南硫黄島の最高地点に建てられている。
南硫黄島の最高標高は916メートル、その上に建造されているとなると、高所恐怖症には辛いものがあるだろう。
入学時期および入寮制度
ハリー・ポッターらが通うホグワーツ魔法魔術学校は満11歳以上の魔法力を有する者たちが寮生活を送り、クリスマス休暇、イースター休暇、夏休みの時期は帰省するが、希望者は夏休み以外はホグワーツ城に滞在できる。
対してマホウトコロの入学年齢は7歳、マグルならば小学校へ入学する頃からと低く、入寮が可能となるのは11歳以上つまり五年生以上になってから。
下級生の頃は親元で生活を送りながらマホウトコロに登校している点から、マホウトコロの学生数が少ないにもかかわらず優秀な生徒が多いのも幼少期からの家庭教育と学校教育を受けていたためと思われる。
制服と杖
マホウトコロの生徒たちは学校に入学すると、身体の成長に伴ってサイズが自動的に変化し、着用者の実力によって色が変わる魔法のローブが贈られる。
最初は仄かなピンク色から始まり、全ての科目で最優秀の成績をとると黄金色へと変化する。
しかし、着用者が日本の魔法界の規定を破ってヨーロッパでいうところの闇の魔術に相当する違法な魔法を使う、あるいは国際魔法使い機密保持法を漏らすような行為をするとローブは白に変わる。
『ローブが白になった』ということは大変不名誉なことであり、即刻退学処分にされた後、日本の魔法省で裁判にかけられる。
制服か否かは不明だが、公式サイト「ウィザーディング・ワールド」の魔法学校分布図に載っている魔法処の生徒は原作におけるホグワーツ生のようにトラディショナルな形の三角帽を着用している。
この学校では、桜の木の杖を所持していることが最高の栄誉とされている。桜の杖というとネビル・ロングボトムが父親の形見の杖の次に使った杖としても知られている。桜はどんな芯との組み合わせであれ、しばしば真に致命的な力を持つ杖となる。並外れた自制心と精神力を持つもの以外が桜にドラゴンの心臓の琴線を合わせた杖を所持することは推奨されない。
クィディッチ
マホウトコロの評判は学術のみならず、クィディッチでも優秀な人材を育成している。
クィディッチは数世紀前に、ある無謀なホグワーツ生の集団がまったくもって不具合のある箒で世界一周をしようとしては風に吹き飛ばされていたところを日本の魔法使いに助けられたという伝説を通して導入された。
その魔法使いはマホウトコロの職員で、当時、惑星の動きを観測していた。
ホグワーツ生たちは客として長く滞在し、その間に日本の生徒にクィディッチの基礎を教えたが、マホウトコロの生徒たちの習得具合の速さから後に彼らは一生後悔することになる。
アジアでは箒よりも魔法の絨毯などが主流であるためクィディッチはあまりメジャー競技ではないが、日本ではメジャー。
日本のクイディッチチーム全ての選手と、今のチャンピオンズリーグの勝者である『トヨハシ・テング(豊橋天狗)』の優れた技術は、荒れ狂う嵐の中でブラッジャーだけではなく、近隣の島に駐留するマグルの航空部隊の飛行機にも目を配らなくてはならないという厳しいマホウトコロでの訓練による賜物である。
スピンオフゲームにおいて
『ホグワーツの謎』
マホウトコロに関わる人物、カズヒロ・シラトリが登場する。
白いローブを着たカズヒロはその衣装通りマホウトコロで退学に処されており、主人公を殺すために送られた刺客として物語に深く関わっていく。
前述した通りマホウトコロは闇の魔術に厳格な姿勢を取っているはずだが、この時代のマホウトコロの校長のお気に入りの呪文はプロテゴ・ディアボリカらしい。
『ホグワーツ・レガシー』
本作のホグワーツで主人公に箒飛行のすべを教えてくれるのはマダムコガワことチヨ・コガワ先生。規律と誠実さを重んじる少々厳格だが、心優しい彼女はマホウトコロ出身の優れた箒乗りで、一度は豊橋天狗の入団も検討していたという。
諸事情ありそれは実現されなかったが、彼女はその後魔法省職員(具体的な業務内容は退職後も機密にしている)として働き始め、あるときは呪い破り時代のマチルダ・ウィーズリーと共に横浜で仕事をしていた。
彼女がホグワーツの飛行訓練講師として招かれたのはこのとき得たマチルダとの友誼に由来する。
『魔法の覚醒』
1:25~
4年目のメインストーリーでホグワーツはあの三大魔法学校対抗試合にも似た大々的なイベントを催すようだ。
しかし今回招かれるのはボーバトンでもダームストラングでもなく、なんとマホウトコロとイルヴァーモーニー。
雨天を海燕でつきぬけるマホウトコロ生は着物に似た衣装に袖なし羽織らしきものを纏い、魔法学校分布図の絵と同様おおきな三角帽を被っている。『陰陽師』を手掛けた中国ゲームメーカーNetEaseがどのようなマホウトコロのデザインを提示してくるのか、今後の展開に期待が膨らむところである。
二次創作・日本人の反応
日本のファンたちは自国に存在する魔法魔術学校とあってファンアートが多く投稿している。
作品の傾向としては和風を基調としたデザインが多くみられ、制服もセーラー服と学ラン、又は大正浪漫風に女子は袴、男子は学ランに学帽といったスタイルも見られる。
中には上述の設定を掘り下げたオリジナル設定なども見られ、創設者にあの陰陽師の名前を挙げるファンもいる。
ちなみに史実における陰陽師の学校は『うらら迷路帖』や『おひめさまナビゲーション』のそれに近いものであり、アカデミアというより僧侶の養成機関である檀林のほうに近い。
二次創作の小説では「純血主義が存在せず、マグル生まれに対する差別が無い」と言う設定が多い。
2023年12月現在Pixiv上に89作品ある小説のうち、差別が無い設定は19件、本編と同じようにある設定なのが僅か6件である。ちなみに残りの64件は不明である。「純血主義やマグル生まれ差別が無い」と言う設定は本編が描こうとしたテーマを軽視してしまうのではなかろうかと一部のファンには懸念されることもあるようだ。まあこのように自国の魔法界をある種の理想郷に仕立て上げ英国や米国の魔法界を気兼ねなくsageまくりご満足するという自慰行為めいた二次創作は日本以外でも普及しているハリー・ポッターファンダムのお家芸のようなものである。
作品の多くはマホウトコロ出身の主人公がホグワーツに留学するもので、マホウトコロ単体のストーリーは少ない。
また、2ちゃんねるが発祥のきさらぎ駅やコトリバコが存在する設定もあり、きさらぎ駅はマホウトコロへ繋がる駅として書かれる場合が散見され、コトリバコは本編における分霊箱のような魔法具として描かれることもある。
他にも生徒会や風紀委員と言った学園ものではお馴染みの委員会活動が登場し、学校行事では文化祭や体育祭と言ったホグワーツでは見られない日本ならではの行事が描かれることも。(逆を言えば本編に登場したダンスパーティーがマホウトコロでは無い可能性がある)
部活動としては運動部であるクィディッチよりも文化部である漫画研究部などの方が多く書かれる事が多い。
正史において、マホウトコロにホグワーツやイルヴァーモーニーのように組み分けがあるかどうかはまったく不明である。
注目すべきなのは、マホウトコロが魔法使い連盟登録済の11の魔法学校の中でもっとも小規模であるということだろう。
二次創作ではしばしば独自の寮の設定が組まれる。多くは四神(とくにこれは非公式なりきりアカウントの影響もあって公式と誤解されることもあるようだ)、日本特有の草花や花鳥風月をモチーフにしたものである。ただあくまで公式設定として、組み分けの存在が言及されたことはないことに留意。
また、2023年に『ホグワーツレガシー』をきっかっけに発生したネットミームの1つ薩摩ホグワーツのインパクトが強すぎて日本人ファンの間でもマホウトコロの印象が薄くなっている模様。