スマホゲーム「魔法使いの約束」に登場する、レノックス×ファウストのBLカップリング。二人とも、一年に一度災いをもたらす〈大いなる厄災〉と戦う運命を背負った賢者の魔法使いである。東の国の陰気な呪い屋を自称するファウストと、南の国でのんびりと羊飼いをするレノックスに一見接点はなさそうだが...？

プロフィール

	レノックス	ファウスト
誕生日	5月16日	1月13日
身長	190cm	174cm
年齢	400歳以上(ファウストよりも若干年上)	400歳前後
所属	南の国(出身は中央の国の炭鉱)	東の国(出身は中央の国)
魔法道具	鍵（昔はメイス）	大鏡
特技	体術	幸運の操作、薬草の調合
好きなもの	体を動かすこと、自然を感じるようなこと、釣り、大工仕事、家事全般	猫、読書、自分の部屋
得意なこと/もの	待つこと	呪いをかけること
嫌いなもの	侮辱	中央の国、弱い者、騙される者、過去の自分
苦手なこと/もの	たくさん喋ること	弱者
呪文	フォーセタオ・メユーヴァ	サティルクナート・ムルクリード
大いなる厄災の傷	なし	見ている夢が溢れる
得意な魔法	炎や水の勢いを抑える魔法	幸運の操作
お互いの呼び方	ファウスト様、あの方、あなた	レノ、レノックス、お前、きみ
CV	帆世雄一	伊東健人

二人の再会

以下、メインストーリー序盤のネタバレ注意

本編開始時点で、東の国の魔法使い・ファウストは賢者の魔法使いを務めており、前年度に召喚された同じく東の魔法使いであるヒースクリフ(魔法使いの約束)に目をかけるなど、他の国の魔法使いからの信頼も厚かった。本人は「僕は一人がいいんだ」「先生なんて柄じゃない」と言ってはいるが、根は真面目で面倒見が良い男だということは周知の事実だった。〈大いなる厄災〉との戦いでも、未熟な仲間を庇って生死をさまようなど、いざという時は自分を犠牲にしてでも仲間のために尽くす、信頼には信頼に応えるという誠実な魔法使いである。

一方、南の国の魔法使い・レノックスは、本編開始時点では賢者の魔法使いではない。まず、本編開始時点で、前年度の〈大いなる厄災〉との戦いで南の魔法使い四人は石になっている。そのため、亡くなった人数分の賢者の魔法使いを新たに召喚しなければならず、そこで賢者＝プレイヤーが召喚した新たな賢者の魔法使いの一人がレノックスである。賢者の魔法使いに選ばれたことを誇りに思いつつも、命懸けの使命に不安を覚えるミチルを、フィガロは優しく諭す。ミチルとルチルは偉大な魔女チレッタの息子で、彼女か見守ってくれている、それに、いざという時は自分が守るから、と。加えて、「レノックスは今は羊飼いだが、歴戦の勇者だ」と諭す。南の魔法使い四人は以前から交流があったが、レノックスが歴戦の勇者であることを、兄弟は知らなかったのだ。歓喜する兄弟に対してレノックスは「長い間さまよっていた。それだけだ」と返す。羊飼いが歴戦の勇者とはどういうことか。その疑問を残したまま、メインストーリーは進行していく。

南の魔法使いたちが魔法舎に着くと、そこは火の海だった。魔法使いに不信感を抱く人々が、兵士を連れて魔法舎に乗りこんできたのだ。賢者はまだこちらの世界に来たばかり、最強の魔法使いオズ(魔法使いの約束)を始めとした強力な北の魔法使いは不在、戦いに慣れているカイン(魔法使いの約束)やシャイロック(魔法使いの約束)も不調......と絶体絶命の時に彼らは召喚される。新たに召喚された賢者の魔法使いたちが困惑する中、一人冷静なフィガロはレノックスにこう呼びかける。

フィガロ「(魔法使いを恐れている)軍隊相手だと後が面倒だ。魔法を使って応戦しない方がいい。レノ、頼んでもいいかい？」

何と、レノックスは魔法を使うことなく、魔法使いとは思えない武闘派な立ち回りを見せ、見事兵士たちの撃退に成功する。ルチル達兄弟が「格好いい！」と見とれる中、レノックスは一人の魔法使いをじっと見据える。その相手とは、東の魔法使いのファウストだった。

ファウスト「お前......」

レノックス「......ファウスト様」

実は、レノックスが羊飼いになったのはほんの数十年前のことで、それまでの彼は恩人であるファウストを探して、各地を放浪していたのだ。およそ四百年前、レノックスは「人間と魔法使いが手を取り合える理想の国作り」を掲げた革命軍の兵士をしていた。その時に、魔法使い側の軍勢を率いていたのがファウストである。つまり、革命軍のリーダーであるファウストとその兵士だったレノックスは主従関係なのだ。ファウストの面倒見の良さや、時折見せるリーダーシップは、この頃の経験に起因する。

レノックスが「ファウスト様」と呼んでも「人違いだ」と頑なに関係を拒むファウストと、ファウストの傍においてくれと頼むレノックス。建国したての頃、中央の国の城......グランヴェル城に来たことがあるというレノックスと、中央の国が大嫌いだというファウスト。実は、レノックスの魔道具である銀色の鍵には、ファウストへの特別な思いが込められていて...。二人の関係には、まだまだ謎が多い。

再会、そして...

以下、メインストーリー後半及び親愛ストーリーのネタバレ注意

前述のように、ファウストは「人間と魔法使いが手を取り合える理想の国作り」を掲げていた革命軍の魔法使い側のリーダーを務めていた。では、人間側のリーダーは誰だったのか？ファウストの幼馴染である、アレク・グランヴェルという男が務めていた。グランヴェル、という言葉でお気づきかもしれないが、彼は中央の国の初代国王である(グランヴェル城の背景に彼らしき肖像画がある)。アレクは人間だが、ファウストを魔法使いだからといって虐げることはせず、むしろ幼少期から「人間と魔法使いはもっと仲良くするべきだ」という考えを持っていた。ちょうどその頃、オズが世界征服の半ばで姿を消し、戦乱の世が訪れようとしていた。そこで、アレクとファウストは理想の国を作るために立ち上がったのである。

一方、レノックスは中央の国の炭鉱で生まれ育った。労働環境は劣悪だったが、レノックスはひっそりと魔法の力を使い、仲間を助けながら身を寄せあって生きてきた。そんな時、革命軍の噂を聞きつけた労働者たちは一致団結して立ち上がり、支配者たちとの戦いを決意する。そして、犠牲を乗り越えながら、生き残った一部の労働者が、革命軍に合流したのだ。

無鉄砲なところもあるが、勇気があり、魔法使いを虐げず対等に接するアレクと、控えめだが誠実で、頭の回るファウスト。彼ら二人の存在が、革命軍の希望になる。その時、確かにファウストは英雄だった。

だが、革命の成功からあと一歩というところで、アレクは魔法使いを裏切った。

彼は親友であるファウストを拘束し、牢獄に送ったのだ。なぜ、アレクがそんなことをしたのかというと、レノックス曰く「側近に唆されたから」とのこと。革命軍が大きくなっていくにつれ、リーダーであるアレクに取りいろうとする者、陥れようとする者が次々と現れ、彼は精神的に不安定になっていく。加えて、アレクは戦いで自身の右腕を失ってしまう。アレクは革命軍に入る前は、画家志望の絵が得意な少年だった。その彼にとって、利き腕である右腕を失う苦しみは、筆舌に尽くしがたい。2020年9月現在、回想シーンやサブエピソードでアレク本人が登場したことがないので、彼の真意は不明だが、彼が疑心暗鬼に陥るのも仕方なかったのかもしれない。

一方、ファウストは牢獄に送られた後もアレクのことを信じ続けていた。アレクが処刑を実行するはずがない。きっと、助けに来るはずだと。そんな時、ファウストが閉じこめられていた牢獄に、一人の青年がやってくる。その青年こそ、牢獄の鍵を持った従者のレノックスである。彼は処刑の前にファウストを助け出すつもりだったのだ。逃げましょう、というレノックスに対してファウストは「魔法を使えば、逃げることはできるだろう。でも、逃げたら尚更アレクの信用を失うことになる」「だから、逃げる必要はない」と返す。

だが、そのファウストの思いも虚しく、ファウストは火炙りの刑に処されることになる。火がつけられる最後の最後まで、ファウストはアレクを信じ続けていた。このことがファウストの心に深い傷をつけており、彼は今でも毎晩火炙りにされる夢を見ている。しかも、ただ火炙りにされるだけではなく、実際にそうはならなかったが、彼がこうなればいいと望んでいた夢(願望夢)や幸せだった頃の思い出も共に夢に見ており、より深い苦しみを味わうことになっている。

ファウストが処刑された後、レノックスはたった一つ、あの牢獄の鍵を除いて彼との繋がりを失ってしまう。鍵は捨てられないまま「ファウストを助けられなかった」というレノックスの思いが染みついていく内に、そのまま彼の魔道具になっていた。本作では「魔法は心で使うもの」とされており、彼の思い(心)が染みついた牢獄の鍵が魔道具になるのも、原理的にはおかしなことではないのかもしれない。

前述の再会から暫くしても二人のすれ違いは続くが、メインストーリー19章で、止まっていた時が大きく動きだす。前年度から戦っている賢者の魔法使いたちは〈大いなる厄災〉によって、魂に傷を負っている。例えば、スノウとホワイトは夜になると絵画の中に閉じこめられて出られない、ブラッドリーはくしゃみをすると瞬間移動する、ミスラは不眠になる、など何かしらの症状が出ている。ファウストの症状は長らく明らかになっていなかったが、なんと彼の厄災の傷は「夢が溢れ出す」というものだった。簡単に言うと、ファウストが見ている夢が実体化する、というものである。ファウストが願望夢を見ている時は、幸せな夢が、火炙りの時は炎が彼を取り囲むのだ。

彼の厄災の傷に気づいたフィガロは「あの子(ファウスト)が最も嫌がりそうな症状だ」「このことを知ったら、あの子は魔法舎から出ていくだろう」「だから、ファウストには告げるべきではない。黙っていれば、夢の中のことなのだから」 と賢者に言う。一方のレノックスは「俺は伝えてほしいです」「これ以上あの方から、信頼出来るものを奪いたくない」 と言う。悩みに悩んだ結果、賢者は「ファウストに嘘を吐きながら、彼の知恵や力を借りるのは良くない」と真実を告げる。自分の夢が溢れていることに気づいたファウストは、賢者の真摯な態度に「ここに残ろう」と魔法舎に残ることを決める。だが、夢が溢れ出したままでは困るので、より強力な結界を貼るために一度東の国へ帰るというファウストに、レノックスはお供させてください、と立候補する。この時、メインストーリーで初めて二人は面と向かって会話をする。

ファウストが「お前にしてやれることはもう何もない」「僕のことは忘れろ」と言う旨を告げるとレノックスは「何をおっしゃいますか。こうしてもう一度お会いすることが出来ました。今度こそ、地の果てまで付き合います」と返し、二人は和解。それ以降、二人の関係は少しずつ昔のように近づいていっている。

これはメインストーリーの話だけに過ぎず、お互いのカードストーリー・親愛ストーリーや各育成スポットのストーリーにはもっと掘り下げた内容が書かれている。

革命時代の詳細は未だ不明な点も多く、イベントストーリーを含め今後が期待される。永遠に幸せであれ。