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概要

哲学者ジョン・サールが提唱した理論。

中国語の部屋にて奇妙な交流を行う人物を指して、人と人が理解し合う事に関する疑問を呈示している。


ある部屋に、中国語を見た事も聞いた事も無い男が居るとする。

時折部屋の外からは中国語で書かれた手紙が届くが、当然ながら男には意味も読み方も分からない。

しかし部屋の中には『この文字で書かれた手紙が届いたら以下の文字を書いて返せ』という『マニュアル』が置かれている為、それに男は従う事で手紙に返信を行える。

あくまでマニュアルに書かれているのは『文字の書き方』に過ぎず、彼は相変わらず意味も読み方も分からないまま外へ返事を返し続ける。

しかしマニュアル及び男の行動には一つのミスも存在しない為、中国語の手紙で交わされる会話は完璧に『成立』しているのである。


さて、この男は中国語を理解していると言えるのだろうか?


日本語でおk

現代においては、人工知能分野に関する議論にて中国語の部屋が持ち出される事がある。

曰く『完全な人工知能は制作不可能』という物である。


中国語の部屋に手紙を送っている外の人は、如何なる手紙にも完璧な中国語の返事が来る為「中の人は中国語を理解している」と思うかも知れない。

しかし前述の通り、中の人物はマニュアルに従っているだけであり、概念として中国語を知らないまま返信しているに過ぎない。

これは即ち『こちらの発信に相手が正しい返信をしているからといって、相手自身が発信を理解しているとは限らない』事を意味する。

そしてこれを人工知能に置き換えた場合『人工知能は自身のプログラム(マニュアル)に従って返信しているだけであり、外からの着信に何かを感じたり考えたりしている訳では無い』『よって完全な人工知能は作れない』という主張を行えるのである。


人は必ずしも、自分で意識して考えた反応のみを相手に返している訳では無い。

意識が機能に影響を与えるという考え方に反論する理論。それが中国語の部屋なのである。


チューリングテスト

元々、中国語の部屋とは数学者チューリングが考えた試験である「チューリングテスト」を発展させたものであると同時に、チューリングテストに対する反論でもある。


チューリングテストとは「その機械に知能があるか?」を判断するための試験方法であり、人間と機械を比較して合格した機械には知能があると言えるというものである。


中国語の部屋とは上記の試験方法に対して「機械的作業の結果にすぎず、知能の判定には使えない」という思考実験となる。


ただし、この批判には大きな欠陥があり、人間の言語理解について明確な答えが出ていない以上、「そちらも機械的な結果にすぎないのではないか?」という反論に否定できる根拠がないのである。

人間の言語理解をつかさどる脳も役割としてはニューロンという神経細胞によってできた「機械」にすぎないため、人間の脳自体にも「中国語の部屋」も適用できてしまう。


チューリングテストにおいて「本当に知能があること」と「知能があると人間に認めてもらうこと」が別物である以上、明確な意味での答えは今も出ていない。



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