「先に逝く、せいぜい頑張れ」
CV:中務貴幸
概要
歴代十種影法術師の中でこれを調伏できた者は一人もいないという最強の式神。
基本的に影絵の動物を召喚する十種影法術において、筋肉質な人型で猫背ぎみだが身長は伏黒の2倍以上(約3～4m)、目に当たる部分には左右2対の翼が生えており、また背には八握剣の紋章のパーツが、右手には剣が備わっている、という他の式神とは一線を画す異様な風体をしている。アニメ版では召喚時は繭のような物に包まれており、その中から姿を現す演出が加わっている。
他の式神とは異なり手で影絵を描くのではなく、左腕内側に右手拳を押し当てた上で「布瑠部由良由良(ふるべゆらゆら)」の祓詞を唱えることで召喚する。
調伏できていなくとも「術者の力量に関係なくどんなタイミングでも調伏の儀式は開始できる」「調伏は複数人でも可能」という十種影法術の式神調伏の儀のルールを利用し、相手を巻き込んで魔虚羅を召喚することで相手を自分もろとも魔虚羅に倒させる実質的な自爆技。
言い換えれば自分の命と引き換えにどんな相手も倒せるため、当初から伏黒は強敵に追い詰められた際の奥の手として使用を考慮していた。
それは同時に奥の手に甘んじていたことも意味し、「戦いの最中に強くなった少し未来の自分」を信じられず、五条が言うところの「本気」になれない原因でもあった。
作中では二度使用を試みる場面があったがいずれも中断。
その後渋谷事変にて伏黒が重面春太と対峙した際に重面を道連れにする形でついに使用。
（元々重傷ではあったが）伏黒を一撃で倒し重面を殺そうとするが、異変を感じ取った両面宿儺が介入。渋谷の広範囲を壊滅させんばかりの激しい戦いを繰り広げた後に宿儺が「開（フーガ）」を発動したことでようやく撃破し、調伏の儀は白紙に戻された。この際、宿儺の領域展開によって半径140m圏内の建造物と人間が消滅し、クレーターと化した。
能力
基本性能
- かつて江戸時代頃に存在した五条悟と同じ六眼持ち無下限呪術使いの当時の五条家当主の死因になったとされている。しかし、あまりにも強い式神である摩虎羅を調伏（支配）出来ず自爆技として使用したため、戦った当時の禪院家当主も死亡している。
- 受肉し指15本分の力を取り戻した宿儺に攻撃を当て(宿儺の指8~9本分と見積もられた漏瑚が一度も触れられない実力差)、ただのグーパンで数百ｍ以上吹っ飛ばしたうえ即座に追撃する（アニメ版では更に壮絶な殴り合いと破壊の応酬を行う）など、作中2トップの実力者にも比肩しうる絶大な強さを誇る。攻撃は全て格闘・白兵戦になるが、攻撃面に関してはその怪物的なフィジカルの高さによりほとんど不利にならない。（ドコモタワーの上層部を約3km先まで投げ飛ばすほどの腕力やタワークレーンのワイヤーが体に絡まった際には辺りにあったビル群の残骸ごと巻き込みながらも動ける脚力）加えて下記の反則的なまでに強力な能力をも有していてそれにより攻撃手段が増える。また、アニメ版で追加された戦闘シーンでは電車やビル程の大きさまで巨大化しているが、アニメ的に誇張した描き方なのか、実際にサイズ変化の能力があるかは不明。
退魔の剣
右腕に備わる対呪霊用に特化した剣。反転術式と同じ正のエネルギーを纏っている。
その威力は宿儺ですら「自分が呪霊だったら一撃で消し飛んでいた」と認めるほど。
また正のエネルギーの通りが悪い相手に対しては呪力（負のエネルギー）を籠めることも可能。
あらゆる事象への適応
「布留の言とあの方陣は完全な循環と調和を意味する」
「推し量るに、この式神の能力は」
"ガコン"
「あらゆる事象への適応！！最強の後出し虫拳！！」
魔虚羅の反則的な強さの最大の所以。
それは一度食らった攻撃、阻まれた防御に対する耐性を獲得し、相手の状態・性質に合わせて、より有効な攻撃を見舞えるように変化するというもの。
攻撃を喰らうと背部の方陣が1/8回転し、攻撃に適応すると同時にそれまで受けていた肉体へのダメージを全回復する(ダメージの回復については「その事象による自身の損傷への適応」だと思われる)。適応対象が複雑な術式の場合は適応に複数回の方陣の回転を要する場合もある。
より具体的に適応する条件を述べると一度受けた攻撃に対して時間経過で適応が完成するが、その間に更に攻撃を喰らえば適応にかかる時間が加速するというもの。
だが厄介なのは、この適応は完成した後も常に解析をしており、完結することはなく更なる適応を続けるため、時間が経てば経つほどその攻撃が通りにくくなるばかりか魔虚羅が相手に対して有利になっていくというもの。
作中では適応により、正のエネルギーの通りが悪い宿儺に対して呪力で攻めるように立ち回りを変更したり、宿儺の不可視の速度の斬撃「解」を見切って弾いたりできるようになる。
さらにアニメ版では描写の追加で適応が多くなっている。
・ドラッグストアに撒き散らされた化学薬品を吸った影響で嘔吐するが適応後克服。
・紐が絡まり（建物の残骸に一体化した状態）身動きが取れない状態だったが適応後は紐に繋がっている建物の残骸を動かす。
・発電所の貯水槽に落とされた際、エラを生み出して呼吸。それどころか水を過剰に吸入して吹き飛ばし身動きを取れるようにする。
さらにこの適応は受けた攻撃に対して技か攻撃方法かのどちらかをとるかで厄介さが決まる。
作中で宿儺が「解」を何度か浴びせ、領域展開使用時に「解」に加え「㭭」も加えて絶え間ない攻撃を浴びせたが、適応対象が解という技ではなく斬撃そのものだったため初見の捌も余り効果が無かった。
ただし、一度喰らった攻撃が以降無効になる訳ではなく、効きにくくなったり、対応できるようになるだけである。ダメージはゼロにならないため、適応した攻撃であっても反応できないゼロ距離・飽和攻撃等は有効である（ただし適応により致命傷にはならない）。
また、魔虚羅自身が攻撃を受けずとも魔虚羅を調伏した術者、または術者と繋がりのある人物の頭上に方陣のみを部分顕現させ、攻撃を代わりに受けることでも適応可能。ただし、適応するのはあくまで魔虚羅であり、適応の過程を肩代わりするだけである。
以上を総括しての魔虚羅戦での最適解としては「初見の技にて適応前に屠る」という初手即死攻撃以外存在しない。
攻撃の威力が高ければ攻撃の種類が少なくても構わないが、宿儺に引けを取らないパワーとスピードとタフネスを誇る魔虚羅に一撃で致命傷を与えられる攻撃は少ない。
万が一倒せなかった場合、回復されその技また手段で倒すことは非常に困難になる。
仮に威力の低い攻撃をしても上記の適応条件の事もあり意味が無く結局の所、上記の通り初見の一撃必殺の攻撃でしか倒す以外に方法は無い。
そして魔虚羅を調伏し、使役するには（術式の複数持ちというイレギュラーでもなければ）他の九種の式神で、かつ単騎で魔虚羅を倒さなければならない。
十種影法術は一人の術者でありながら複数の攻撃手段を備えつつ、容易に複数の呪具を携帯可能な強力な術式であり、魔虚羅攻略の道筋もある程度準備されていると考えられるが、魔虚羅の基本性能と装備、能力の無法さを考えれば相当な無理ゲーである。
さらに、「魔虚羅を他の九種で倒す実力があるのなら魔虚羅を使わなくても倒せない敵なんて普通はいないだろうし本末転倒では」「"無理ゲーをこなす"という不可能な縛りを敢えて結ぶことで能力を盛りまくった、調伏することを端から考慮に入れてない自爆用の式神」とすら言われる始末である。
余談
モデルは十種神宝の八握剣と、仏教の守護神である十二神将の摩虎羅大将（摩睺羅伽）と思われる。英訳版の表記が「Mahoraga」であることから、ほぼ確定的。
また、モデルとなったであろう摩虎羅大将は「摩虎」の文字を使っているが、この式神の方は「魔虚」である。編集の際に誤記の無いよう注意したい。
関連イラスト
あらゆる事象への適応能力を活かしたネタ絵も存在する。
「方陣が回転する」という分かりやすい描写があるからだろうか。
