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概要

地下を主として走る鉄道の一形態。莫大な建設費がかかるかわりに輸送力が非常に大きく、都市部における交通アクセスに絶大な効果がある。さらに郊外と接続することで、多くの通勤列車を郊外から都心へ直通運転させることも可能。日本やフランスの一部の地下鉄は普通鉄道と規格を揃えている。


建設が済んでしまえば地上を占有せず、陸上交通に影響はなく、騒音や美観を損ねることもない。一方で建設費の高さ、地下の改修工事の難しさ、駅が深いと不便、景色がつまらない、目立たないためにランドマークにならないことなどが欠点。


分類

建設に莫大な費用がかかるためほぼ全てが国または地方自治体が運営する公営企業である。ただし、日本では東京都大阪市の政策により「民営化」された東京メトロOsakaMetroが(いずれも行政が出資しているものの)民営企業(私鉄)として扱われている。


黎明期の東京の地下鉄(現在の銀座線)は純民間資本(東京地下鉄道と東京高速鉄道)によって建設されたのが世界的にみても特異であり、これを引き継いだ帝都高速度交通営団(東京メトロの前身)も公法人でありながら「私鉄」として扱われていた。


この関係で、東京の地下鉄は「法律上の鉄道線(フツー日本人が鉄道と聞いてイメージするもの、旧鉄道省→運輸省)」の管轄であり、大阪の地下鉄は「法律上の軌道線(本来は路面電車の仲間、旧内務省→建設省)」となっていた。


東京の場合、東京地下鉄道が根津財閥(東武鉄道の創業家)の支援を受け、一方の東京高速鉄道が五島慶太(東急電鉄の実質的な元オーナー)の企画であったことから、鉄道省とのやり取りの方が都合が良かった(従って、銀座線の両端はそれぞれ東武と東急の中核路線の起点駅となっている)。


大阪の場合、まず軌道法の窓口が市町村自身であったため、従って大阪市自身が建設するに当たって軌道線の方が都合が良かった。


ただ、軌道法では特例を受けない限り高速運転をするのは本来違法(現存する大手私鉄も戦前は都合よくこの2者を使い分けた上でこの規則をガンガン破っていた(前科がないのは戦後も2005年になって開業したつくばエクスプレスぐらい)が)である為、戦後日本国憲法体制が整ってから建設された公営地下鉄はほとんど「法律上の鉄道線」とされている(ただし、福岡市は建設に当たって邪魔な西鉄の軌道線の免許を更新させず取り上げて潰したが、激怒した西鉄は運輸省管轄のバスで反撃するという事象が起きている)。


同じことはモノレールでも起きている(ほとんどが公営・公社であることに加え大した速度も出ないので大半は軌道法の方が都合が良いが、民間資本で建設された東京モノレールと、既に地下鉄で鉄道線事業者になっていた都交の上野懸垂線(上野動物園モノレール)は地方鉄道法扱い)。

ちなみに“路面電車の代替”という名目はほとんど全ての都市に当てはまる。東京も例外ではない。


地上を走る地下鉄

JR私鉄においても、部分的に地下を走る路線は存在するが、通常は地下鉄として扱われない(りんかい線総武快速線が該当する)。

逆に東京メトロ東西線名古屋市営地下鉄東山線のように割と長い区間地上を走る区分上の「地下鉄」もある。既存の郊外鉄道がなかった区間(東西線や東山線もこの部類に入る)では、郊外鉄道を地下鉄の延伸部分が兼ねている例も多い。


もちろん『地下鉄が地上を走ってはならない』という法律は、どこの地域にも存在しない。市街地では、地上に路線を通す土地がないために地下鉄が必要とされたのであり、逆に言えば地価が高くない(しかも平坦な)地区で地下区間を通すのは莫大な建設費用がかかるためにかえって不経済だからである。逆に、主に1970年代以降、首都圏や関西圏などの大都市圏で新規で建設された地下鉄以外の普通鉄道線も地下を通ることが多くなったのは、地価が極めて高いためである。また地下鉄も多くは道路など公有地の地下を走行することが多い。


土地の広い海外では日本ほど潜る必要が無いため高架区間はさらに長く、海外の「MRT」「Metro」はしばしば「地下鉄」と訳されるが、行ってみたらイメージと全く違った(高架区間が長い)ということも。


設備

都心の地下を通る普通鉄道線は、地上線仕様の車両が乗り入れることになるため、地下鉄よりトンネルの幅が大きいなどの違いがある(地下鉄用であれば建築限界は車両限界+左右150mm以上で足りるが、普通鉄道では車両限界+左右400mm以上が要求される。その代り先頭車の貫通路は必ずしもなくともよいが、それ以外の不燃・難燃基準は現在では概ね地下鉄並に引き上げられているので車両費は大差ない)。このため、一般に地下鉄よりも普通鉄道の地下線の方が建設コストは高くなる。郊外路線に乗り入れをしない地下鉄の場合、断面を小さくしてトンネル掘削費を抑制することができるが、銀座線や東山線のように後に輸送力不足に悩まされる恐れもある。


電化方式について、比較的古い路線が第三軌条方式、新規路線は架空電車線方式(大多数が剛体架線方式)であるが、「地下鉄」扱いの線は日本国内にある全てが直流電化である。

海外に目を転ずればインドのデリーメトロのように交流25kV電化の線もあるが、当然ながら絶縁離隔の分だけトンネル断面が大きくなり工費もかさむ。日本では現在のところ地下鉄扱いとなっていないが、都市の過密圏を交流20kV電化の地下線で回避しているのがつくばエクスプレスの終端部である(土浦市が要望する土浦駅経由ルートによる延伸が確定した場合、工費削減のため長大地下トンネルとなる可能性は残る)。


日本の技術供与を受けたソウルの地下鉄電車の大多数は交直流電車であるものの、これは地上の国鉄線区間が交流電化であるだけで、地下区間は基本的に直流電化である。


市街地に鉄道を建設する場合、路面電車として路上を通す方法もあるが、地下鉄や普通鉄道より低速(地下鉄が「高速鉄道」と呼ばれることがあるのはこのため)で、郊外の鉄道路線との相互乗り入れも不可能、連結できる車両も少ないので輸送力も大幅に落ちるというデメリットがある。

(ドイツでは「シュタットバーン」と呼ばれる、都市の中心部で路面電車が地下鉄に乗り入れる鉄道も存在する。またそれを参考にした地下鉄も存在する。)


車両

車両は、地下区間を走る基準に合わせた仕様となっており、地下鉄に乗り入れるJRや私鉄の車両もこの基準に合わせている。日本の地下鉄は一般的にトンネル脇の隙間が狭いため正面非常扉が義務化されている。逆に地下区間が長いがトンネルの規格が違う路線(横須賀線京葉線りんかい線など)は非常扉が義務でなく地下鉄と区別される。


今のような不燃性基準は戦後になってから法制化されたが、それ以前に開業した東京・大阪の地下鉄についても当初よりこれを満たしていた。地上線区間の不燃・難燃基準が地下鉄に近いレベルまで引き上げられたこともあり、目立った差異は正面の非常扉程度である。


何度か列車火災事故が起きた日本では、国の内外を問わず地下鉄などで大規模火災が生じた場合、直ちにフィードバックされる。韓国・大邱市の地下鉄火災ののち駅構造(排煙・脱出口)・地上線を含めた車両の部材溶融滴下防止などの基準が厳しくなった。


地下鉄の車両はどこから入るのか

という漫才のネタはあったが、前述した事とも関係するが、大都市では車庫を地上に作るスペースも無い為、都心の地下に車庫を設けるか、郊外で地上車庫を設けるかのどちらかになる。それでも車庫を作る場所が無い場合は、相互乗り入れしている私鉄の沿線に地下鉄用の車庫を設けるところも存在し、首都圏では日比谷線半蔵門線、関西では堺筋線などが挙げられる。また千代田線などはメーカーからの甲種輸送で新車を入れる際は、相互乗り入れしているJR綾瀬駅を通じて車両を入れている。ちなみに、京成電鉄とグループの北総鉄道の場合は都営浅草線に直通できない形式を除いて京急線沿線にある総合車両製作所から都営浅草線を通じて車両を搬入している。


なお、前述の漫才ネタ(車両を吊って穴から下ろす)だが、御堂筋線大阪市営地下鉄の路線として開業したときなど、マジでこの方法で車両を搬入することは珍しくない(むしろ、郊外路線と物理的に接続している日本の事情のほうが世界的には特殊である)。現在でも車庫が地下に存在する都営大江戸線新宿線に於いて、新車の搬入や廃車の搬出時に車庫上の穴から吊り下ろし、吊り上げを行っている。(近年の新宿線は乗り入れ先の京王線・若葉台の車庫から廃車を搬出しているが)

ただし、「車庫だけ地上にある」という例はあり、東京地下鉄道(現在の東京メトロ銀座線浅草~新橋間)は上野駅附近の地上に、東京高速鉄道(同じく新橋~渋谷間)では渋谷駅(高架上にある)に隣接する場所に車庫を設けた。

OsakaMetro中央線(当時は大阪市営地下鉄の路線として営業)では、最初に開通したのが高架部分だけで、車両はクレーンで吊って搬入した。

また現在は他社線と線路が繋がっている東京メトロ東西線(当時は営団地下鉄)も、最初に開業した区間は地下のみで完全に孤立していたため、電車は御堂筋線同様の搬入であり、また孤立が解消されるまで地下に仮の検車庫を設けたが車輪の踏面の修正ができないため車輪がすり減らないよう低速走行した。


余談ではあるが、用地の確保や合理化のため車庫やメンテナンス用の工場を複数の路線で共用する場合がある。そのため路線間を結ぶ非営業の「短絡線」が随所に存在しており、事情を知らない旅客が突然やってきた他路線の回送列車を不思議そうに見送る光景もみられる。


日本三大都市の地下鉄の共通点

東京都(東京メトロ東京都交通局)、名古屋市圏(名古屋市営地下鉄)、大阪府(OsakaMetro)の共通点として、最初につくった路線がやったらめったら高密度ダイヤ・高輸送という点があったりする。

まぁ普通に考えて解るのだが、逆に言えば「旧くから栄えていた場所に、あんまり物価地価の高くなってないうちに、旧式だが廉価な方法」で建設できたためこうなった。


特に大阪の御堂筋線は建設の段階で将来輸送力増大が求められると考えて増結に備えて建設され、実際に生かされている。


一方、その配慮が足りなかった東京と名古屋はバイパス線を建設せざるを得なくなった。ところが、名古屋では鶴舞線桜通線を建設したものの東山線の駅から離して建設されたため利便性が悪く、東山線の混雑はそのままで鶴舞線と桜通線は赤字を垂れ流すという構図になった。


で、東京はさらに大変なことになった。銀座線よりも先に、と直通運転したためにあっという間にパンクした日比谷線、距離の長い丸ノ内線の救済が急がれたため、まず日比谷線のバイパス線として千代田線を建設したところ北千住駅戦場に変えてしまい(現在は東武ホームの高層化で解消されているが、この当時の東武ホームはたったの2面4線!!)、それを反省したつもりで有楽町線では既存の営団線からの乗り換えをわざと不便にしたところものの見事に名古屋と同じことになった(流石に東京だけあって減価償却後は黒字ではあるが)。

ただ、この先バカを繰り返しかけたところでバブルが崩壊、収益性の見直しにより半蔵門線の水天宮以東の建設を凍結し、代わりに銀座線から旧型車を一掃して新型車で統一する事でダイヤカットを行い増発して凌ぐ事になったため、半蔵門線の計画はじっくり練ることが出来た。


創作において

在来線とのデザインの差別化がし辛い傾向にあるため、映像作品に登場することは少ない。

例として、『手裏剣戦隊ニンニンジャー』に登場するオトモ忍(巨大メカ)、ビュンマルのモチーフにリニアモーターカーが選ばれているように、単にパンタグラフの無い軌道車両というだけであればわざわざ地下鉄を選ぶ必要が無い


一方で、薄暗さや閉塞的な空間が独自の不気味さを引き出す事もあり、ホラー系作品の舞台になる事も少なくない。

また、退廃系やパニックモノではダンジョンのような扱いをされる事も多く、幽霊や怪物の住処と化しているパターンも見受けられる。


日本の地下鉄

大都市圏において、利用者の増加と自動車の通行量の増加により、路面電車から地下鉄に転換されたケースが多い。


地下鉄の定義は国土交通省と業界団体である「日本地下鉄協会」では違うので注意が必要。ここでは日本地下鉄協会がホームページで「地下鉄」として紹介しているものを列記する。

このほか、トンネルはあるものの地下区間がない北総鉄道東葉高速鉄道は、「地下鉄の鉄道事業者と相互直通運転を行っている」という理由で「日本地下鉄協会」のホームページでは「地下鉄路線」として紹介されている。(日本地下鉄協会には地下鉄事業者の他に相互乗り入れしているJR・私鉄各社も普通会員として加入している)

▲は国土交通省の定義では地下鉄とされていないもの。


北海道

東北

関東

都営地下鉄大江戸線の六本木駅、1番ホームは地下42mのところにあり、国内の地下鉄駅で一番深い。

長野電鉄長野線の地下区間は、日本地下鉄協会の定義上も国土交通省の定義上も地下鉄ではないが、地元では一般に「地下鉄」と呼ばれている。

中部

関西

●神戸市営地下鉄北神線谷上駅は標高244mと、国内の地下鉄駅で最も高い。

中国

九州


海外の地下鉄(記事が作成されているもののみ)

アジア

イラン

中国本土

中国では地鉄と呼ばれる。

韓国

台湾


欧州

ロシア

その他欧州

南北アメリカ


関連イラスト

まだやめない大阪市電気局100形電車幻想郷への電車


関連タグ

第3軌条 トンネル 地下

電車 鉄道

メトロ…「首都鉄道」的な意味の名称。パリ地下鉄で使われたため、地下鉄的な都市鉄道でよく使われる。

サブウェイ…アメリカ合衆国での名称。イギリスでは「地下道」。

アンダーグラウンド…イギリスでの名称。アルゼンチンでも直訳で「スブテ」と呼ぶ。

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