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地鳴らし

じならし

地鳴らしとは漫画『進撃の巨人』に登場する用語。重要な用語につきネタバレ注意。
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我々エルディア人に残された唯一の希望

壁に潜む幾千万もの巨人で世界を踏み潰す『地鳴らし』

エレン・イェーガー



人類はただ、やがて聞こえてくる終末の跫音に震え、逃げ惑うのみ

あらゆる都市や文明、動植物は尽く踏み潰され文字通り全ては平らな地表と化す

ヴィリー・タイバー


概要

諫山創による漫画『進撃の巨人』に登場する用語。英語表記はThe_Rumbling

パラディ島にある3重の壁の中にいる「幻の巨人」を「始祖の巨人」の力で解き放ち、行進させるというもの。


ただ歩くだけ、と単純ではあるが1体の60

mの巨人が歩くだけでも大打撃なのに、推定数十万はいる巨人が群れをなして歩くとなれば、その大質量かつ大規模な行進そのものがまさに無慈悲な大量破壊兵器となる。


加えて幻の巨人は、その巨体による「一歩一歩の大きさ」も手伝って歩行速度が馬よりも速く、更には大海を泳いで渡ることも可能。そして何より「始祖の巨人からの指示がある限り永遠に進み続ける」ため、ひとたび発動されれば実質この地鳴らしから逃れる術は存在しない

仮に巨人の足下をすり抜けられても、この巨人は常に高熱を体表から発しているため、その影響で火傷を負って死傷する可能性が極めて高い。実際、アニメ版では立ったまま焼かれている人々の姿が描写された。

幾重もの幸運の果てに巨人の踏みつけから逃れたとしても、後に広がるのは巨人達によって無関係な動植物や人間もろとも踏みならされ、踏み固められ、高温に焼かれた虚無の世界。

動植物は踏み潰されることで生態系は崩壊し、土の下に埋まっていた種や眠っていた動物も踏み固められた地面の前に地上に出ることすら許されず死に絶え、それ故に生き延びるための食料確保もままならず飢え死んだり、わずかな食料や資源をめぐって新たに戦争が発生することは避けられない。

日本以外全部沈没ならぬ、パラディ島以外全部全滅の状態を引き起こすわけである。


このため、作中での主な用途は現実世界の核兵器よろしく抑止力であった。

100年前に145代フリッツ王パラディ島へ移った際、「島の安息を脅かせば幾千万の巨人で報復する」と言い残したと伝えられており、マーレとの戦争で数名の巨人すら脅威になると知っている世界各国はパラディ島に手出しをすることを控えてきた。

だが実際のところ、ロッド・レイスまでのフリッツ家王族は、この力を「パラディ島のエルディア人が全滅するまでの時間稼ぎ」に使おうとしてきた。これは145代フリッツ王以降、次代の王家には「始祖の巨人」を継承する際に「不戦の契り」と呼ばれる誓約も同時にかけられる事に起因しており、事実上地鳴らしは発動できない状態にあった。

だが「不戦の契り」が外部に漏れない限り、先述の報復予告がある以上島外勢力から攻められる可能性は低くなり、結果的に壁の内部に(ある程度は)平和な国を築くことができた、というわけである。


だが、これは「万が一島の外の勢力が『地鳴らし』の警告を無視して侵攻してきた」場合、島内及び壁の内部にはそれに抗しうる術が実質存在しない事と同義でもある。

145代フリッツ王以下、歴代王家に連なる者は「そうなった場合は受け入れる」意思で居たが、調査兵団や新女王ヒストリアはこうした破滅志向の論理は受け入れず、マーレら壁外の国と正面から渡り合っていくことを決意。

……しかし、壁外の国々の技術力が余りにも壁内の上を行っていることが判明してしまったため、結局地鳴らしを交渉のカードとして使い、技術力を壁外レベルまで引き上げるまでの時間稼ぎをすることになった。

旧フリッツ家と違って前向きな思考ではあるが、やっていることは大差なかったりする。




しかしこのやり方に不満を持つ者たちがいた。

エレン・イェーガーと、彼に従うイェーガー派と呼ばれる集団である。



彼らは壁の外の人類をほぼ皆殺しにすることでパラディ島の人々の暮らしを守るという過激な結論に至っており、そのための手段として地鳴らしの実行を計画した。

ちょうどよいことに、王家の血を引くジーク・イェーガーが壁内の味方を装って壁内に亡命し、「内部の人間をジークの脊髄液を利用して人質にし、その隙にエレンと共謀して始祖の巨人の力を使って全てのエルディア人の生殖能力を奪う」という計画を実行に移そうとしていたため、エレンはジークの計画に賛同するフリ、イェーガー派はエレンに騙されたフリをしてエレンとジークの接触をお膳立てし、エレンに地鳴らしを発動してもらおうと考えていたのだ。

そして計画は成功し、始祖ユミルはジークではなくエレンの願いを聞き届け……エレンは躊躇いなく地鳴らしを実行に移した。

パラディ島全ての壁の硬質化が解除され、幾千万の巨人たちは歩き出した。


世界を滅ぼす悪魔となったエレンと、それを阻止するために立ち上がったアルミン達との、最後の戦いが幕を開けた。


その是非

余りにも過激かつ破滅的な手段のため、イェーガー派以外でこの計画に心の底から賛同した人間は登場していない。せいぜい、ジャンが「他に手はない」と消去法で支持しかけたり、ヒストリアが黙認した程度である。

というかエレン自身も最後まで迷っており、イェーガー派の実質的な指導者であるフロックも悪魔の所業であるとは考えていた。


そもそも、いくら地鳴らしの力が強力で、進んだ技術を持つ壁外の国々でも止められないからといって「邪魔な壁外の連中がいなくなってスッキリ解決」とは行きようがないのである。


  • 蚊帳の外で成り行きを見ているしかなかった一般市民はともかく、計画の後に国の実権を握ることになるイェーガー派はいくつもの国を消し炭にしその国に生きる人々を根絶やしにした大罪人となる。これを国内に対して、自分自身に対して正当化する事ができるかどうかは疑問である。
  • 大質量かつ無数の巨人達による行進は、敵対勢力のみならず進攻途上で通過する陸上・地中・海洋で数多かつ無関係の動植物を絶滅・大量死に追いやるばかりか、地上では地形の変動を引き起こす事での大規模災害の誘発、海洋では巨人の高熱によって海水が大量蒸発しての海水面低下による環境激変は必至。大気中においても水蒸気による温室効果の加速や気流変化、酸素や循環物質の生成量変動が起こりうるばかりか、踏みつけによって生じる大量の粉塵からくる大規模気候変動や大地や海洋の栄養度の低下、腐敗した動物の死骸から大量の毒虫や疫病が発生したりetc……と、無差別かつ無尽蔵の被害が世界全域に広まる事になり、どう転がっても良い結果にはならない(現実的観点では、ここから新たな生態系が安定するまでは数十万~数百万年費やすと推定される)。比較的被害が少なく済む系譜といえば、ある意味でこの作品の象徴とも言える「鳥」ぐらいのものであろう。
  • ついでに言うと各壁を構成していた巨人たちが一斉に外に動き出すことから、ウォール・シーナ以外の壁内人類や動植物も虐殺の対象になっている(一応、島を出るまでは列を作って行進したというセリフがあるが、結局は上層部ほど被害が少ないという格差がさらに拡大することになる)。
  • 下記の通り、ヒィズル国がパラディ側の友好国だが、結局はヒィズル国も実際に被害を被った場面が描かれている。

しかし、イェーガー派もこういったデメリットに全く無知だったわけではない。

イェーガー派がこうした冷酷無慈悲かつ、リスクもある選択をせざるを得なかった理由としては、

  • そもそも壁外でパラディ島に好意的な国がヒィズル国ぐらいしかなく、大多数の国は(過去の歴史も相まって)「エルディア人の国」というだけで思考停止で悪意を向けてくる状態にあった。エルディア人の権利を訴える活動をしている団体すら「(パラディ島以外の)世界に居るユミルの民は(エルディア人と交配させられた)被害者である」「憎むべきはパラディ島の住民。彼らは滅ぼされて然るべき悪魔だ」などと壁内人類に責任転嫁する始末だった。
  • そのため、元々パラディ島はいつ殲滅作戦の標的にされてもおかしくなかったのだが、マーレが軍事力で他国に圧倒され滅ぼされるかもしれない状況を前に、ヴィリー・タイバーがパラディ島の脅威を世界中に訴える行動を起こし、「マーレと共にパラディ島を滅ぼそう」というメッセージを力強く発信、世界もこれを支持する構えを見せた。
  • つまり地鳴らしを発動しなければパラディ島内が地鳴らしされたのと大差ない状態になっていた可能性が高い。

といったものがある。

つまり、壁内人類にとって大多数の壁外人類は「実際に手を上げないだけで定期的に死ね死ねコールを浴びせてくる血も涙もないいじめっ子」同然の存在だったのだが、そこにさらにヴィリー・タイバーという「死ねと罵るだけでなく実際に息の根を止めるべきだ」と煽り立てる者まで加わってしまった。

こうなるともう、壁内人類のとるべき道が何らかの実力行使しかないのは道理ではある。

実際、アルミンもエレンが始祖の巨人の力を手にした際、ウォール・マリアの巨人を動かして壁外の軍勢を総崩れにし、こちらもやる時はやるのだと示せばいいと口にし、実力行使そのものには一定の理解を示していた。

(エレンがやろうとしたのはそれ以上の蛮行だったわけだが)

また、その凄まじい光景を目の当たりにした壁外人類の中には「全ての都合の悪いことをパラディ島の悪魔に押し付けた報い」「我々が向け続けた憎悪が返ってきた」と反省を述べる者もいたが、全ては遅きに失したのである。


  • しかし、エルディア帝国が「今の人類が3回絶滅するほどの殺戮を行った」とされていることからも、地鳴らしの何倍もの虐殺を過去に行ってきたことも事実である。非エルディア側からしたら、悪魔の民族と称されるのも無理はないのである。

結末

天と地の戦いと呼ばれる決戦で地鳴らしは止められたが、数日間に渡って地表のほぼ全てを踏み均し、結果的には全人類の8割が死ぬという大虐殺となった。

壁外人類の全滅とはならなかったが、一応この辺りはエレンの思惑通りであったとのこと。

(エレンは壁内人類が壁外人類と力を合わせて自分を止めることまで想定済みで地鳴らしを発動しており、自分を止めた壁内人類の代表の誰か、順当に行けば唯一自分に対抗できるだけの体躯を持った超大型巨人を継承していたアルミンが英雄となることで、先述のパラディ島のエルディア人=死すべき悪という図式を無効化すればよいと考えていた。詳しくはエレン・イェーガーの記事も参照)


果たしてエレンの思惑通り、最終回で描かれた3年後の世界では復興のために即座にパラディ島への報復はされず、和平交渉の使節がパラディ島へ向かう様子が描かれた。


パラディ島側は世界からの報復を危惧し「エルディア軍」を作っている。

また、女王であるヒストリアは地鳴らしを止めた一行の家族を保護しており、「裏切り者の家族」として危害を加えられる可能性を考えてのことだと思われる。



単行本最終巻での加筆では、数十~数百年後の間はパラディ島は平穏であり続けた事が窺える。

その後、パラディ島が戦場となり破壊される様子も描かれたが、これが地鳴らしに対する報復だったのか、地鳴らしによりパラディ島危険論がさらに高まり実行されたのか、地鳴らしによって思想に影響を受けたパラディ島側が招いたものなのか、それとも全く無関係の戦争だったのかは不明。


地鳴らし後にパラディ島では右翼的思想が蔓延した描写がされていることもあり、見方によってはどれともとれる描き方となっている。


原作ではパラディ島が破壊されたのは我々の現代とそう変わらないような文明だったが、アニメでは手塚治虫が描きそうなSFチックなビル群が乱立しており、原作よりさらに時間が進んだような印象を受ける描写となっている。


誤記

ヴィリー・タイバーが演説中に「文字通り平らな地表と化す」と言ったことで「地均し」と間違えられることがあるが、巨人が地面を鳴らして歩くということで「地鳴らし」である。


備考

作中では8割の人類が死滅したと言及されているものの、本当にそれぐらいの数の人命が失われたのかどうかは実のところ定かではない。

作中のマーレ国とパラディ島周の地理は現実のアフリカ大陸の南北を反転させた姿で、周辺の大陸との位置関係にも大きな変化が無い。そのため地図に描かれていない領域でも現実世界の五大陸と位置関係が同じである仮定する限りにおいては地ならしを受けなかった領域がそれなりの広さ存在した可能性はある。

但しパラディ島は元になっているマダガスカル島よりも数倍の大きさがあると考えられるため、作中の世界に現実世界の大陸が全て収まってるかどうかは不明瞭でもある。また、日本をモチーフにしているヒィズル国に地鳴らしが到達していると思われる劇中描写があるため、現実の地理に当てはめれば、最短でユーラシア大陸を横断、最悪北アメリカ、南アメリカの死滅を終えて太平洋を横断した可能性もある。


余談

TVアニメ『進撃の巨人 The Final Season 完結編』後編において、地鳴らしから逃げる最中、名も無き母親が崖から落ちてしまい取り残された赤ん坊が群衆によって助けられるシーンがあるが、その赤ん坊の泣き声は梶裕貴氏と竹達彩奈氏の実子のもの。


関連タグ

人類滅亡 火の七日間 大海嘯 ノアの方舟

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