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概要

TYPE-MOON作品世界における東洋系の魔術組織。

大陸東方に根差した魔術形式は思想魔術と呼ばれ、基礎的な部分と魔術回路を使用するという点以外では、ほとんど西洋魔術とは別物であるとされる。そのため思想魔術の術者たちが所属する組織は、西洋系の魔術組織である魔術協会とは別の組織となる。


思想魔術の主だった組織は2つあるとされ、1つは螺旋館という組織であり単に『館』とも称される。東洋圏各地に存在する支部を含め、何らかの形で螺旋の形状を取り入れているのが特徴であり、構成員の人数では時計塔を上回るかもしれないとされる。思想魔術の術者の所属はほとんどがこちらである。


一方でごく一部の、神代からの『盤』への接続権を残した者たちは山嶺法廷と呼ばれる組織に属しており、十官と呼ばれる幹部たちは正真正銘の仙人であると言われている。

仙人にまつわる数々の噂が真実であれば、彼らは生きながらにして神秘そのものの体現であり、その身はおろかこぼれた吐息の一つ、涙の一粒まで例外なく強大な神秘を纏うという。


なお、ロード・エルメロイⅡ世曰く、山嶺法廷が人界にかかわることはまずないらしい。

そのためか知名度は非常に低く時計塔の貴族であるゴルドルフ・ムジークも名前を知らなかった。


思想盤

西洋魔術との最大の相違点。思想魔術の術者達が利用しているもの。

「盤」と称してはいるものの、ある意味では「道」であり、「加速器」であるとされる。人間の使い切れていない思考を使ったクラウドコンピューティングであるが、そうした思考を蓄積するだけではなく、常に加速し続け、現代においても発展を遂げ続けている……あるいは発展しているという幻想を見ている。


神代の西洋において、魔術は根源に接続しているの権能の一部を行使するものであり、ある意味で魔術師は神を中継して根源と結びついている状態であった。


一方で東洋の神秘に対するアプローチはまた異なり、とりわけ思想魔術を作った魔術師達は、そもそも神を重視していなかった。彼らは地球という星と融合した礼装をつくることにより、より洗練された魔術体系を作り上げようとしたのである。

この擬似的な人工根源とも言うべき、地球と融合した超巨大礼装こそが思想盤である。


現代でも思想魔術の術者達はこの思想盤を利用しており、魔術式や思想鍵紋などの権限によって、行使できる内容が異なる。

西洋魔術師が霊脈に刻まれた魔術基盤と魔術式で魔術を行使するのなら、思想魔術師は自分達の間で作成し、共有・維持している思想盤と魔術式によって魔術を起動するのである。


故に、思想魔術は根源に到るのではなく、思想盤の精度を根源に到らせることこそを目的とする。もっとも、その行為は遥か昔に砕けた皿を、パーツの足りないままに修復するようなものである。


西洋魔術が神を中継する方式から魔術基盤を利用する形へと変化したように、神代の終了による魔術の変化は思想魔術にも平等に訪れ、多大な損失と、僅かな恩恵を齎したのである。


無論、現代において擬似根源——思想盤の作成は不可能であり、かつて作成したとされる者達こそが山嶺法廷の十官である。この神にも等しい所業をもって、彼らは大陸の魔術体系の法を敷いたという。


思想鍵紋

思想魔術における魔術刻印。「器」である思想盤へのアクセス権にあたる。師から弟子に受け継がれるものであり、魔術刻印と違って血や家系に固定されない。


この鍵紋に刻まれた魔術は、例えるなら器に絵付けするようなものである。器そのものは変わらないが、その絵付けによって観測は変わってしまう。つまるところ、世界をまるごと騙してしまうことになる(その際のしっぺ返しは世界から食らう)。


ただし鍵紋を引き継ぐ以上、常に「器」からの影響は受け続ける。最上位の鍵紋を引き継ぎ、その能力を完全に引き出すに至った者はいわゆる天仙であり、半ば世界と融合しつつある状態となる。ここまで至った者はある意味で境界記録帯(ゴーストライナー)にも匹敵する影響力を持つことになるが、同時にその力を振るうだけの自我を保つことは難しくなる。


なお、思想鍵紋がなくとも思想盤へのアクセス自体は可能であるものの、その場合は使用可能な魔術は基礎的な術式に限定される。ただしその場合でも、基礎を積み重ねて高度な術式に至ること自体は可能である。


思想鍵紋のアクセス権はある種の特殊領域へのものであり、これは西洋魔術の魔術刻印による術式が、ほぼ例外なく家門の秘奥に直結していることと似ているとされる。


所属者・関係者

追放された十官であり、正真正銘の仙人。


かつて仙人に登りつめたとも云われる道士。関係はあるようだが所属していたのかどうかは不明。


余談

Fate/GrandOrder』第2部5.5章『地獄界曼荼羅平安京』でキャスター・リンボが『天竺は霊鷲山の法道仙人が伝えし、仙術の大秘奥』を行使しようとする描写がある。非常に負荷がかかるらしく追い詰められるまで疑似思想鍵紋による特権領域への接続をためらっていたものの、対粛正防御がなければ防げないものであることがリンボ自身の独白で窺える。


また、『ロード・エルメロイⅡ世の冒険』では仙人であるムシキが登場するが、作中では思想鍵紋は使用されず、Ⅱ世によると十官の番外であるのならまず間違いなく特権領域まで接続できるという。


以上のことを踏まえると、山嶺法廷にはリンボが行おうとしたことと同じようなことをできる者が、21世紀時点でも複数人存在するかもしれないという非常に恐ろしい可能性が浮かび上がってくる。


関連タグ

TYPE-MOON Fateシリーズ

ロード・エルメロイⅡ世の冒険

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