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概要

荒俣宏による日本の小説

1985年(昭和60年)に発表された。

第8回日本SF大賞を受賞。その後映画漫画になり、アニメ化もされた。


明治40年から昭和73年(1998年)まで、約100年(過去の史実の回想的な物も含めれば更に長い)に亘る壮大な物語。

帝都破壊を目論む魔人加藤保憲と、その野望を阻止すべく立ち向う人々との攻防を描いた作品で、架空の人物と実在の人物が一緒に登場し、物語が進んでいくのが特徴。


荒俣が長年にわたり研究してきた博物学神秘学の知識が詰め込まれた大作。

風水を本格的に扱った、恐らく日本初の小説作品であり、陰陽道風水・奇門遁甲などの専門用語を定着させたとされる。サブカル作品における陰陽師のイメージは、今作により形作られたといっても過言ではない。

また、加藤の奇怪で強烈なキャラクター造形、及び映画で彼を演じた嶋田久作の特異なビジュアルは、アニメやゲーム、漫画などに多数の模倣キャラクターを生み出すことになった。


ストーリー

明治45年。渋沢栄一は陰陽師・平井保昌の忠告を受け、帝都東京を物理的にだけではなく、霊的にも守護された都市にする「帝都改造計画」のため、秘密会議を開いた。

一方、平井をも上回る術者である加藤保憲は、平将門の怨霊を目覚めさせ、その力をもって帝都を破壊しようと企んでいた。

将門の末裔である辰宮洋一郎と由佳理、更には由佳理の娘である雪子を、将門の霊を召喚する為の依り代として付け狙う加藤。将門に仕える巫女として、辰宮家を守るために洋一郎の妻となり、加藤と対決する目方恵子。

二人を中心に、帝都は魔術戦争の舞台と化す。


登場人物

加藤保憲

陸軍少尉、のちに中尉。

陰陽道、奇門遁甲に通じ、式神を操る。帝都の完全崩壊を目論む謎の軍人

映画版(物語・大戦ともに):嶋田久作 / アニメ版:嶋田久作


辰宮洋一郎(たつみやよういちろう)

大蔵省の若き官吏。帝都改造計画に加わる。

物語が進むにつれ、まるで何かを忘れたいかのように仕事に没頭するようになる。

映画版:石田純一 / アニメ版:塩沢兼人


辰宮由佳理(たつみやゆかり)

洋一郎の妹。兄想いの明るく無邪気な娘。

強度のヒステリー症状ないしは一種の霊能を有する。そのため、加藤に狙われる。

映画版:姿晴香 / アニメ版:潘恵子


鳴滝純一(なるたきじゅんいち)

理学士。辰宮洋一郎の親友。

由佳理に恋心を抱いており、怪事に巻き込まれた由佳理を救うために奔走する。

映画版:佐野史郎 / アニメ版:山寺宏一


目方恵子/辰宮恵子(めかたけいこ/たつみやけいこ)

俤神社の宮司の娘。平将門に仕える神女として辰宮家、加藤保憲と関わる。

映画版:原田美枝子 / アニメ版:麻上洋子


辰宮雪子

由佳理の娘。物語の前半のキーパーソン。

映画版:山本清美(物語)、南果歩(大戦) / アニメ版:伊藤礼奈


平井保昌(ひらいやすまさ)

陰陽師の名家・土御門家一門の総帥。

映画版:平幹二朗 / アニメ版:納谷悟朗


黒田茂丸

風水師。別作品「シム・フースイ」および「帝都物語外伝」では孫の黒田龍人が登場。

映画版:桂三枝 / アニメ版:緒方賢一


中村雄昴(なかむらゆうこう)

原作では大谷光瑞に仕える15歳の美少年。映画「帝都大戦」では青年。

映画版:加藤昌也


トマーゾ

130歳を超える謎のイタリア人

帝都支配を目論むメソニック協会日本支部を牛耳る怪人。


大沢美千代(おおさわみちよ)

目方恵子に代わり、平将門の巫女として加藤と戦う運命にある女性。

ある漢の転生。


土師金鳳(はじきんぽう)

土師一族の若き頭。美青年。

未来編の登場人物。加藤と戦う事になる。


実在の登場人物

括弧内は映画版の俳優 / アニメ版の声優。


  • 幸田露伴高橋幸治 / 屋良有作):辰宮家の人々と共に加藤と戦う文士。膨大な魔術知識を持つ。
  • 渋沢栄一勝新太郎 / 阪脩):実業家。「帝都改造計画」の為秘密会議を開く。
  • 寺田寅彦(寺泉憲 / 龍田直樹):物理学者。秘密会議出席者。加藤と出会い、露伴とは別に加藤と戦う。
  • 森鴎外(中村嘉葎雄 / 笹岡繁蔵):文学者にして軍医。露伴を支援し、共闘する。
  • 泉鏡花坂東玉三郎 / 置鮎龍太郎):文学者。辻でタロット占いをしていた時に出会った恵子に「観音力」「鬼神力」について解き、「あんた、近いうちに鬼に会うよ」と忠告した。アニメ版では「易者」としてクレジット。
  • 大河内正敏(寺田農):理化学研究所3代目所長。
  • 西村真琴(西村晃 / 徳丸完):生物学者。學天則を製作した。なお映画版で演じた西村晃は、西村真琴の実子。
  • 早川徳次(宍戸錠 / 土師孝也):日本の地下鉄の父。
  • 今和次郎(いとうせいこう):「考現学」を提唱した民俗学研究者。
  • 中島莞爾:二・二六事件に参加した陸軍少尉。雪子の恋人。事件後、怨霊となって三島に憑依する。
  • 北一輝:思想家。『日本改造法案大綱』を掲げ、革命を目論む。
  • 甘粕正彦:陸軍軍人。加藤やトマーゾと関わりを持ち、満州国で暗躍。
  • 大谷光瑞:浄土真宗本願寺派法主。米英ソの戦争指導者の「呪殺」を画策する。映画では架空の人物・観阿弥光凰(演:丹波哲郎)。
  • 三島由紀夫:大蔵省官吏、のちに小説家。
  • 角川源義:実業家。帝都の怨霊鎮魂のため、人骨を砕いた灰を播き続けた。
  • 角川春樹:源義の子。角川書店社長となるが出奔し、新興宗教を興して「奈須香宇宙大神宮」大宮司となる。

その他

  • 平将門:帝都・東京を守護する御霊。物語の核。
  • 學天則:西村博士が製作した人造人間(ロボット)。

実在のモデルあり


各篇と時代

  • 幻談(江戸後期~幕末
  • 新(戊辰戦争・函館戦争)
  • 神霊篇、魔都篇 、大震災篇、龍動篇(明治末~昭和初期)
  • 魔王篇(昭和10年~11年)
  • 戦争篇、大東亜篇(日中戦争太平洋戦争
  • 不死鳥篇(戦後)
  • 百鬼夜行篇(昭和30年代)
  • 未来宮篇、喪神篇、復活篇 (未来 厳密には昭和70年代

  • 帝都物語外伝 機関童子(1998年 / 本編のある時点から分岐した世界)

映画・アニメ・漫画

帝都物語(映画)

監督:実相寺昭雄

1988年1月30日公開。

「神霊篇」から「龍動篇」を元にしている。製作費10億円の大作で、出演者も超のつく豪華なラインナップ。同年の日本映画ランキング8位を記録した。

ほぼ原作どおりだが、辰宮家の設定が異なり、平将門の末裔になっている。

作中終盤に出てくる「護法童子」はH・R・ギーガーのデザイン。ギーガーは当初映画全体のデザインを希望したが、スケジュールと合わず断念。「コンセプチュアル・デザイナー」という肩書での参加にとどまった。

全体の美術監督はベテランの木村威夫、特撮美術は実相寺組の池谷仙克で、式神腹中虫、學天則などをデザインした。


帝都大戦

監督:一瀬隆重 総監督:ラン・ナイチョイ(藍乃才)

1989年9月15日公開。

成長した辰宮雪子が主要人物となる。

『帝都物語』を原作とするが、ストーリーは別物。荒俣は「今回は原作と映画は相当違いますんで、原作を読んだ人は怒らないで欲しい」とコメントしている。

娯楽活劇の趣がある、サイキックアクション映画。


帝都物語 外伝

監督:橋本以蔵

1995年7月15日公開。

『帝都物語外伝 機関童子』を原作とするが、内容は別物。それもあってか、評価は芳しくない。

主人公・柳瀬仁哉が勤務する精神病院。そこでは共同妄想を抱く患者達に『帝都物語』を演じさせる実験が行われていた。しかし雲行きは次第に怪しくなっていき……


妖怪大戦争(映画)

2005年8月16日公開。神木隆之介のデビュー作。

1968年の同名映画のリメイク作品。『帝都物語』と直接の関係は全くないが、水木しげる京極夏彦宮部みゆきと共に「プロデュースチーム『怪』」として製作に参加した荒俣つながりで、加藤が悪役として登場(演:豊川悦司)。悪霊軍団を率いて日本を滅ぼそうとする。


OVA帝都物語

シリーズ監督:りんたろう

キャラクターデザイン:摩砂雪

VHS版は1991年発売。DVD版は2007年4月21日発売。

「神霊篇」から「龍動篇」を元にしている。


帝都物語(漫画)

藤原カムイによるもの。

正式タイトルは『帝都物語 Babylon Tokyo』

「神霊篇」から「龍動篇」を元にしている。


帝都物語(漫画)

高橋葉介によるもの。

正式タイトルは『帝都物語 TOKIO WARS』。

「魔王篇」と「戦争篇」を元にしているが、高橋葉介のオリジナルキャラが「帝都の小悪魔」として登場する。


関連イラスト

永遠の満月帝都物語

魔人魔人。


関連タグ

加藤保憲 魔人加藤 魔人 加藤 陰陽師

辰宮恵子


帝都 東京 東京都:作者曰く「真の主人公


カバーイラストレーター:丸尾末広 天野喜孝 田島昭宇

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