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新恐竜

しんきょうりゅう

『新恐竜』とは、思弁的生物の図鑑及び、そこで紹介される生物(恐竜以外の生物も含む)。
目次 [非表示]

概要

『新恐竜』とは、スコットランドの地質学者、ドゥーガル・ディクソン1980年代に発表した、架空の生き物図鑑である。

副題は『絶滅しなかった恐竜の図鑑』、『進化し続けた恐竜たちの世界』


白亜紀末期の隕石衝突などによる大量絶滅がなかったら、恐竜を含めた当時の動物相はその後の地球環境の変化に合わせて進化を続け、今なお地球に君臨する恐竜たち」というコンセプトの下、リアルの生物を研究し、その生態的地位の妥当と思われる種類が恐竜などにあてはめられて設定される。


内容

便宜上現実で用いられている生物地理区に基づいて地球上をエチオピア区、旧北区、新北区、新熱帯区、東洋区、オセアニア区、海洋の生物区に大きく分割し、章ごとにそれぞれの生物区に適応した生物を紹介する。


エチオピア区

現実のアフリカ大陸のサハラ砂漠以南(ブラックアフリカ)と、アラビア半島南部、イラン南部を占めるエリアに相当。熱帯多雨林(樹上性に進化したコエルロサウルス類「アルブロサウルス類」が繁栄)、草本サバンナ(イネ科の植物に適応し、地上性に進化した草食の翼竜がはびこる) 、砂漠・低木砂漠(砂中を潜る蛇のようなコエルロサウルス類のいるサハラ砂漠など) 、大陸沖の島(生きた化石が生息するマダガスカル) 、海洋の島々(島嶼矮化の生きた化石が住む島々)に分けられる。


旧北区

現実のユーラシア大陸北部に相当。落葉樹林・混交林(アリのような真社会性を築くユニークな堅頭竜類や水辺に進出した哺乳類(有袋類)など) 、針葉樹林(コケを食べる草食恐竜とそれだけを食べることに特化したドロマエオサウルス類)、ツンドラ・高山帯(寒さに強いが生息、多くが飛ぶのをやめており中にはマンモスのように巨大な鳥も)、ステップ・草原(蒸散と言う敵から身を守る鎧を持つ鎧竜)、砂漠・低木砂漠(ユーラシアの真ん中辺の砂漠、日夜の寒暖差に適応した草食恐竜が住む)に分けられる。


新北区

現実の北アメリカ大陸に相当。プレーリー・草原(草原に適応したハドロサウルス類や左右非対称の凶悪な爪を持つ肉食恐竜、ケラトプス類)、ツンドラ・高山帯(コロラド山脈の辺、過酷な寒冷地に適応した雪男のようなヒプシロフォドンと高い知能と身体能力を誇るコエルロサウルス類が生息)、混交林―湿地(南部の河口の辺。翼竜のほか狡猾さに磨きをかけたサウロルニトイデス)、落葉樹林・混交林(アルブロサウルス類など樹上生物が豊か)に分けられる。


新熱帯区

現実の南アメリカ大陸に相当。熱帯多雨林(センザンコウのような虫食恐竜や花の蜜を吸う樹上性恐竜、水棲に進化した草食恐竜などユニークな生物がいる)、草原 ― パンパ(陸橋を通じて新北区から侵入してきた恐竜たちによる淘汰から生き残った竜脚類たちやそれを獲物にするようになった大型肉食恐竜、史上最大の肉食恐竜たるスカベンジャーなど)荒地 ― 山岳地(西部の大山脈(現実のアンデス山脈)魚食恐竜や超高空を飛行する最大級の翼竜など)に分けられる。


東洋区

現実のユーラシア大陸南部に相当。サバンナ―草原(インドの辺に、島大陸からの生き残りである高度な社会を持つ竜脚類) 荒地(ヒマラヤ山脈の辺 高山帯に適応した植物食恐竜やその近縁であるジャイアントパンダのような竹を食べる恐竜が住む)、熱帯多雨林(全く姿や生態の変わらない堅頭竜類の住む山系の森と、エチオピア区から進出し繁栄する蛇のような恐竜や滑空するアルブロサウルス類がいる低地の森)、混交林 ― 沼沢地(独特な狩りをする翼竜や完全に水中に適応した恐竜など)に分けられる。


オーストラリア区

現実のオーストラリアニュージーランドオセアニアの島嶼に相当。低木林・長茎草本サバンナ(川や湖には肉食恐竜カクルを祖先とする魚食恐竜たちが住む) 砂漠・低木砂漠(豪州の真ん中辺で原始的な鳥脚類の子孫やカクルの子孫) 熱帯多雨林(樹上性に進化したヒプシロフォドンが繁栄する北東部) 温帯林(ユーカリを食べる樹上恐竜) 列島(ニュージーランド 進化の終焉に来た飛べない草食翼竜たちが住む) 周辺の火山島(熱帯多雨林の島の渚には水陸両用のアンモナイトと飛ぶのをやめたばかりの翼竜が住む)に分けられる。


海洋区

世界の海洋全てに相当。渚(魚食性の翼竜が多数、なかにはペンギンのようになった種も)、温帯の海洋(首長竜が繁栄、姿の変わらないエラスモサウルス類とクジラのような巨大なプリオサウルス類が生息)、外洋(小島のような巨大アンモナイトとそれを唯一獲物にできる首長竜)に分けられる。


作中で紹介される「新恐竜」

 本書はあり得たかもしれない“現代”に生息する恐竜の図鑑であり、同じく生き残った翼竜首長竜アンモナイトのほか現実世界とはまた別の進化を遂げた哺乳類も紹介されている。同作者による『アフターマン』や『フューチャー・イズ・ワイルド』(「これこれこういうところにはこんなのやこんなのがいる」と言う形で語られる)と比べ、ほぼ1種類について(「砂漠の生き物はコイツみたいな「甲羅しょってる系」が適当で」みたいな あと「これは尻尾で特定ができる数種が」とかが何種類か)描かれる。


 最後の章で、他のエンターテインメントに登場する「恐竜」に関する設定に対しての批評がある。その中で、「ディノサウロイド」に関して、詳細が描かれ、後、知的生命体に行くのはあまり良いものではないという作者の説が付けられる。その為、本書で紹介されるサウロルニトイデス(金子隆一によれば初の恐竜人間候補)の仲間「スプリンジ」は、死にまねをしてスカベンジャー(腐肉食動物)をおびき寄せ、逆に襲うというえげつない習性を持つが、生物学的枠から外れるとは書かれない。


 本作品に登場する恐竜や翼竜の多くが哺乳類や鳥類のような体毛を持っており、当時ではまだ発見すらされていなかった「羽毛恐竜」を先取りするような形になっている。一応「1980年代」当時の最新の科学を総動員して、想定された者であるため、高緯度地方に恐竜がいない(レエリナサウラが発見される少し前に発表されてるの)、鳥と恐竜は別、砂漠の環境は恐竜みたいな変温動物系生き物の天下、彼らが体毛を獲得するのは白亜紀より後(羽毛恐竜が発見されるのは1996年)など、後の古生物学からは否定される設定がある。


 ただ、その後の研究や発見にて

オセアニア区の大陸に生息する水棲恐竜「パウチ(ポウチ)」のようなハルシュカラプトルや、新熱帯区の熱帯多雨林に棲む大きな爪を持ちアリを食べる「パンガルーン」とよく似た生態だったアルヴァレツサウルス類、東洋区の熱帯雨林に住む被膜があって滑空する恐竜「フラリット」のようなイー・チーと言う種類など、いくつかの恐竜は「すでにいた」者であることが判明することがあった。


主な新恐竜

  • カットラスツース(和名:ヤイバリュウ)

新熱帯区の草原パンパに生息する大型肉食恐竜。太田出版と児童書版の表紙を飾った。

祖先は小型だったが進化に伴い大型化。かつてパンパに生息していた走行性の竜脚類を獲物としていたが、それらが絶滅して以降巨大な竜脚類を群れで襲うようになった。名前の由来である刃のような巨大な歯で獲物の皮膚を切り裂き失血死させる残忍な狩りを行う。

原作と児童書版とで系統が大きく異なっており、原作では「新北区から外来種として侵入し在来種を駆逐するコエルロサウルス類の子孫」だったが児童書版では「在来種のノアサウルスの子孫」になっている。


  • バラクラブ(和名:ユキオトコリュウ)

新北区のツンドラや高山帯に生息するテスケロサウルスの子孫。ダイヤモンド社版の表紙を飾った。

寒さに適応するため全身が黒く密な体毛と分厚い皮下脂肪で覆われており、幅広い尾羽と広がった足の指のおかげで凍った雪の上でも立つことができる。家族単位で行動し、鋭い爪で雪をかき分けクチバシと平爪で苔を削ぎ落として食べる。


  • アルブロサウルス類

現実世界の霊長類のように樹上性に進化したコエルロサウルス類の総称。

作中でも特に繁栄している恐竜であり、様々な大陸の森林に生息し、その容姿も生態も、果ては祖先となった恐竜も千差万別。

ちなみに鳥脚類からもヒプシロフォドンを祖先に樹上性に進化した恐竜「クラックビーク」が存在し、主にオーストラリア区で繁栄している。


  • モノコーン(和名:イッカクリュウ)

新北区に今なお生息する角竜。裏表紙に記載されていることが多い。

金色の角質で覆われた頭部と長いフリルを持ち、鼻先には大きな一本角が伸び、喉から胸にかけて体毛が生えているが、大まかな容姿や形態は白亜紀のトリケラトプススティラコサウルスなどと大きく変わっておらず、強いてあげれば草原に適応して四肢が細長くなった程度。旧北区にも大陸を渡った近縁種が数種生息している。

児童書版では祖先が新たに小型の角竜モンタノケラトプスに再設定された。


  • ランク(和名:ノッポリュウ)

エチオピア区の草原に生息する飛ぶのをやめた草食の翼竜(アズダルコ科)。

エチオピア区では翼竜の一部が白亜紀後に現れた植生であるイネ科植物に恐竜よりも早くに適応し、草食動物のニッチを独占している。骨格は翼竜の面影があるが容姿はキリンと瓜二つであり、皮膜は完全に退化し翼を支えていた指は蹄に変化。残った指は毛繕い専用となっている。

草原にはほかにも皮膜を残した背丈の低い近縁種「フラープ」が共存している。


  • グルマン

新熱帯区の草原パンパに生息している史上最大の獣脚類であるスカベンジャー

全長は17mに達し、背中には鎧で覆われ、前肢は肩甲骨と肋骨もろとも退化してしまっている。巨体のおかげで動きが鈍く狩りができないため、死体を求めてゆっくりと歩き回り、顎を外して死骸を丸飲みすると完全に消化しきるまで横になる(その間背中の鎧が敵から守ってくれる)。

原作では「他の大陸では衰退し絶滅するも新熱帯区に早期に渡って生き残り、更なる大型化を遂げスカベンジャーとなったティラノサウルス直系の末裔」だったが、児童書版では「ティラノサウルス類との競争に敗れ多くが絶滅するも、腐肉食に特化したことで競合せず生き延びたアベリサウルス類」に変更されている。


版ごとの差異

 最初は 1988年に太田出版から出版された。


 後、『フューチャー・イズ・ワイルド』発表にあたって、2005年ダイヤモンド社から新訳が発行された。種類によって和名(ゲシュタルトと呼ばれる恐竜はハチのような真社会性を持ち、河へ斜めに生えてる木へ巣を作り、女王が産卵し続け他が子育てと採餌に邁進する生態の種類なので「アリリュウ」とか)がつけられる等の新しい趣向がある。


 さらに後の2007年から2009年漫画アクション(双葉社発刊)にて小川隆章作画の「マンガ版新恐竜」として漫画化された。

上記のダイヤモンド社の新装版が底本となっており、新恐竜の生物たちを主人公にした自然界でのドラマが描かれているほか、アーケロンデイノスクスなど同じく白亜紀から生き残り続けている大型爬虫類やオリジナルに派生した新恐竜も登場している(ちなみに作者は『フューチャー・イズ・ワイルド』も漫画化している)。


 2019年に、学研から『アフターマン』と共に子供向けに改変された児童書版が発行されている。

再販にあたって、原作者のディクソン氏との相談も重ねながら現在の恐竜研究に合わせるため系統樹その他が改変され、それに伴い作中生物のルーツが明記されると同時に大きく変わっている生物も出ている。

例として樹上性に進化したコエルロサウルス類「アルブロサウルス類」の系統がガルディミムスや、キロステノテスなど祖先の異なる恐竜たちの総称になっている(一方で系統樹にはドロマエオサウルス類から分化したアルブロサウルス類が存在している)。他にも新北区の肉食恐竜「ノースクロー」の祖先が肉食に先祖返りしたノスロニクス(テリジノサウルス科)に、寒冷地に適応した肉食恐竜「マウンテンリーパー」はアルヴァレスサウルス類の子孫になるとともに前肢のデザインが変更(消失)、新熱帯区に棲む巨大腐肉食恐竜「グルマン」が大型化を続けたティラノサウルスの直系の子孫からティラノサウルス類との競合を生き抜くため腐肉食に特化したアベリサウルスの子孫になるなど、祖先や起源が大きく変わったり設定が追加されている生物も多く、これまでとは違った印象になっている。

また、白亜紀後期以前に絶滅した系統も大きく修正されており、エチオピア区の孤島に生き残っていたメガロサウルスアベリサウロイデスに、オーストラリア区に棲むイグアノドンの生き残り「グワナ」は更に原始的な鳥脚類の子孫に変更、ダイヤモンド社発行まで記載されていた「東洋区で氷河期まで生き残っていた剣竜」は存在が抹消されている。


関連タグ

ドゥーガル・ディクソン ドゥーガロイド

架空生物 恐竜 進化


のび太の新恐竜:タイトルに『新恐竜』とつくがこれらの生物とは関連性は皆無。

アーロと少年:同じく恐竜が絶滅しなかったらという想定の元作られたピクサー映画

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