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本艦をモチーフにした「艦隊これくしょん」のキャラクターは、「朝潮(艦隊これくしょん)」を参照。


曖昧さ回避

同名の駆逐艦が2隻存在する。

  1. 白雲型駆逐艦2番艦「朝潮(初代)」。イギリスのソーニクロフト社建造。1902年1月10日進水。1925年5月2日廃船。
  2. 朝潮型駆逐艦1番艦「朝潮(2代目)」。本項にて説明

概要

「朝潮」とは、旧日本海軍に所属した朝潮型駆逐艦の1番艦である。この名を持つ日本海軍の艦艇としては白雲型駆逐艦「朝潮」に続き2代目。

この2代目朝潮が竣工したのは1937年のこと。もともとは白露型駆逐艦の改良型として建造される予定だったが軍縮条約の離脱を受け設計を大きく改め建造された。このため朝潮型という独立した艦級が与えられている。朝潮型では、砲の兵装配置を特型、魚雷発射管を白露型から継承しており、後継艦の陽炎型駆逐艦共々、新世代の帝国海軍駆逐艦の雛形となった。

また試験的とはいえ、電源が交流に変更され、これにより電気設備の省スペース化と、陸上施設から直接電力供給を受けることが可能になった。これはのちの陽炎型駆逐艦で直流に戻されてしまうが、朝潮型のノウハウが活用された夕雲型駆逐艦からは交流電源が本格採用されている。

設計ベースを特型に差し戻しただけあって十分な性能を備えていたのだが、当の水雷屋は設計時の航続距離等に不満があったらしく(想定決戦海面が小笠原沖からマーシャル・ミクロネシアへ遠くなったという戦略的要求に基づく)、次級である陽炎型の開発が決まったのは、実に2代目朝潮竣工の同年である。


戦歴

アジア太平洋戦争開戦後は南方作戦に従事し、まずバリ島攻略に伴って発生したバリ島沖海戦に荒潮大潮満潮とともに参加、優勢な敵に対して果敢に反撃し、撃退に成功している。続くミッドウェー海戦では荒潮とともに、空襲で大破した重巡三隈乗員の救助に当たるも自らも損傷を受ける。戦線復帰後はニューギニア戦線で鼠輸送などに当たった。

1943年3月、ビスマルク海海戦が生起するにあたり、本艦に第八駆逐隊司令艦として水雷戦の猛将・佐藤康夫司令が座乗。ラエ方面への輸送作戦である八十一号作戦に護衛として参加する。しかしこの作戦はあまりにも危険性が高く、輸送船の一隻として参加する給炭艦・野島の艦長松本大佐から、「脚の遅い野島は必ず犠牲になります」と、旧知の仲でもある佐藤司令へ伝言が入る。このころ、大型高速の優秀船はガダルカナル輸送作戦で多数を消耗し、本作戦参加船は比較的小型・鈍足の船が多かった。野島もまた、大正に竣工した鈍足老朽艦であり、助かる見込みはほぼゼロに等しかったという。それに対し佐藤司令は、

「私の朝潮が護衛する限り、決して見殺しにはしません。野島の乗員は必ず拾いにゆきますぞ」

「やられたらお互い必ず救けましょうや」

と固く約束を交わしたのだった。


3月3日、輸送船団は護衛艦艇ともども連合軍の新戦法である反跳爆撃(低高度で爆弾を投下し、水切りの要領で海面上を滑らせ命中率を上げる方法)の前に一敗地にまみれるが、このとき朝潮は奮戦のすえに爆撃を回避しきることに成功し、生き残る。そのころ、船団が壊滅状態に陥る中、瀕死の旗艦白雪より木村昌福司令官らが敷波へ移乗。旗艦を引き継いだ敷波は、敵機再来襲の情報を受け「救助作業中止、全艦一時避退セヨ」と命令を発した。

しかし朝潮は先の約束を守り「ワレ野島艦長トノ約束アリ、野島救援ノ後避退ス」と打電、撤退命令を振り切り、炎上漂流状態の野島と、荒潮の救助に単身駆けつけ、双方の生存者を救出した。

しかし救助作業を終えた直後、敵機は付近で唯一無事だった朝潮に集中攻撃を浴びせかけ、逃げ遅れた朝潮は、速力が上がりきらないまま荒潮の目の前で被弾。すぐさま総員退艦命令が出されたが、やがて弾薬庫が爆発し、それからものの数分で海の藻屑と消えて行った。

このとき救助された松本大佐は生還したが、他方で佐藤司令は周囲の退艦を勧める声を振り切り、前甲板に腰を下ろすと、空を見上げながら悠然とタバコを吸いつつ、朝潮とともに息絶えた。


その年の4月1日に除籍され、朝潮型駆逐艦は同日付で満潮型駆逐艦に改名されている。


受け継がれる朝潮の系譜

なお、朝潮の艦名はのちに海上自衛隊の潜水艦に2代にわたり受け継がれ、3代目は旧あさしお型潜水艦のネームシップになっていた。

4代目は1997年に就役し、2017年2月27日に除籍された新あさしお型練習潜水艦・TSS-3601「あさしお」(元「はるしお」型潜水艦最終7番艦)である。この4代目はAIP試験艦、つまり、その後建造されるそうりゅう型潜水艦で本格採用されることになる、スターリングエンジン自体を初めて搭載した潜水艦でもある。と同時に、(米国の実験潜水艦3代目アルバコアを発祥とする)涙滴型船体を持った潜水艦としては海自最後の現役艦でもあった。


関連項目

蒼龍/旧日本海軍の空母の1隻。海自の潜水艦「そうりゅう」はその2代目にあたる。

霞(朝潮型駆逐艦)/こちらも明治海軍に暁型駆逐艦の2番艦として、初代にあたる同名艦が存在した。

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