「わたしはZばかりしかチューンできないわけじゃないんだよ」
CV:石塚運昇
概要
「レーシングワタナベ」のオーナー兼チューナー。彼を知るものの間では「ナベさん」と呼ばれており、更には「チューンの神様」としても知られている。サングラス姿に口髭を生やしたナイスミドルで、フェアレディZのチューニングを得意とする。
キャノンボール編からの登場だが原作とアニメでは登場の仕方に違いがあり、原作では「チームGT-R」を抜いた風見潤に追いついてきたのが初登場だが、アニメでは主催者側の要請で当初は名を伏せて参加していたところ、スタート前に那智渡に見破られたことで隠していたボンネットの「ワタナベ」の名を表わにすることとなった。その際那智は主催者に対し渡辺を特別扱いすることは控えろと激高する。
レースはバン用のミッションを搭載して加速性能を上げた「ワタナベ・スーパーＺ」のハンドルを握り、メカドックとチャンプとの三つ巴の接戦を制し、勝利を手にした。
ゼロヨンGPでもフルFRPボディでリアの下部を大胆にカットしたフェアレディZで参加、雨天を見据えてレインタイヤを履いて参戦し、雨天となった準決勝でメカドックと対戦した際に同タイムを叩き出すも、1戦走ったことによる溝の減少でハイドロブレーニング現象を起こし制御不能となった状態でロードスイーパーに衝突したことで走ることすらままならなくなり敗北。これを機にレーサーとしての引退宣言をする。
補足として、原作ではレインタイヤを忘れてスリックタイヤにトレッドパターンを刻んだことで決勝用のタイヤのないメカドックにスリックタイヤを提供している。
このレースでは渡辺の師である露崎武士が「紫電改」としてハイパーソアラを引っさげて参戦。かつては渡辺も露崎が主宰していたショップに所属していたこともありその再会に驚きを隠さなかった。露崎曰く、若い頃の渡辺は那智にそっくりと言い、渡辺を慌てさせていた。
「夢幻計画編」では、ゼロヨンＧＰでの引退宣言を翻して「夢幻」のチューナー兼ドライバーとして加入、露崎もスーパーバイザーとして就任し（原作ではレースには参加していないものの紫電改として人材やパーツなどの協力をしている）、東日本サーキットGPではCカー形状のマシンである「ワタナベSS(スーパースピリット)」で風見や那智に勝負を挑む。しかしその裏では白内障という病魔にかかっており失明も時間の問題という中で、新しい世代のチューニング業界を継ぐ者を求めてFISCOでの最終決戦に挑むが、周回中ついに視力を失ってしまい、コースを庭当然のように走っている経験を活かし、目を瞑った状態で風見らとのラストバトルに挑んだ。
以後の原作での内容として(アニメはサーキットGP編で終了している)、その後の手術により失った視力は回復するが、代償として完璧なチューニングをすることが困難になるほどの視力低下でチューナー人生を絶たれてしまった渡辺の志を、かつての親友でありライバルで、レース中の事故で死亡した五十嵐辰也の息子である五十嵐充が引き継ぎ、レーシングワタナベの後継者となり再建していくこと宣言する。実は五十嵐は一度引退宣言をした渡辺が引退撤回してまで夢幻入りするきっかけを作った人物でもあり、サーキットGPでは自らがコンピュータを駆使して開発した「ボブキャット」のハンドルを握り、風見らとの最終決戦に挑んでいた。その五十嵐がワタナベのレーサーとして初参戦した新鋭カロッツェリアによる新型スポーツカーのワンメイクレースでは、自分はもうチューナーではなくひとりのレーシングファンであることを公言した上で、五十嵐の対戦相手でもある風見と那智のマシンのスペック表を見て驚きを隠さずにいた(他のレーサーが過給機を使った武装チューンで挑む中、風見と那智は車体細部に手を加え操作性向上を重視した)。そして最下位になることを覚悟の上で追加チューンを施す五十嵐に協力と声援を送った上で、風見と那智の二人が新たなチューニング界の頂点であることを伝えている。
最終回では、風見がフェラーリの研究生として旅立つ当日に頼まれた本を持参してメカドックに訪れている(ここで風見はいつものツナギ姿で現れフェラーリ行きの話を断ったことを打ち明けているが、渡辺には事前に相談をしていた可能性がある)。
アニメのオリジナル設定として、キャノンボール参加の数年前に一度ショップを畳んで姿をくらましており、キャノンボールで再び現れ、終了後に新たな社屋を建てショップをオープンさせたが（ショップにはZがたくさん並んでおり、応接室にもZのパネルが飾られているほどだが、Zしかチューンできないわけではないとショップに訪れた風見に釘を刺している）、この店も夢幻入りすることでまた畳んでいる。他にも社屋建築と同時期に行方をくらました那智に絡み、「チューンから逃げたものは消え去れ」と言わんばかりにチャンプの乗っ取りを企てようとする噂も流れていた。しかしチャンプ乗っ取りはデマで、暴走族にRX-7を奪われたことで戦う那智の姿を見て手助けをしようとするチャンプのスタッフ(水木)を止めて復活した那智の姿を見ておくよう声をかけた。
その他
名前の元となったのが、ロータリーエンジンのチューンで有名な「RE雨宮」の雨宮勇美氏で、通称「雨さん(アマさん)」と慕われたカリスマ的なチューナーにあやかって「〇〇さん」の愛称のキャラを考えた末「ナベさん」＝渡辺と決まったという。
実際RE雨宮が作り上げたロータリーシャンテをモデルにしたマツダシャンテが劇中でも登場し(元となったロータリーシャンテも1カットながら登場)、東日本サーキットGP編ではレース中の解説者として「霜宮勇美」の名で登場している(原作のみ、彼もまたサーキットGPの参加申し込みをしていたが抽選に漏れている)。
なお、雨宮氏は後にメカドックに登場するミニパトセルボを見て、「スーパーセルボ12Aターボミッドシップ」を作り上げたそうだ。
2021年には自動車雑誌の付録の小冊子でホンダの「S660 Modulo X Version Z」を宣伝するメカドック新作漫画に、そのVersion Zに乗ってメカドックに訪れるというレアな姿が描かれている。
