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紅の豚

くれないのぶた

1992年7月18日から公開されたスタジオジブリによる長編アニメーション作品。
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カッコイイとは、こういうことさ。

概要

スタジオジブリの長編映画第6作。監督は宮崎駿
元々は日本航空での機内上映用として製作が開始されたが、長編化したため、劇場作品へと変更された。加藤登紀子が主題歌とエンディング曲を歌うと共に、声優としても出演している。
キャッチコピーの「カッコイイとは、こういうことさ。」や、ポルコの台詞「飛ばねえ豚は、ただの豚だ」はあまりにも有名。

世界大恐慌時のイタリアアドリア海を舞台に、飛行艇を乗り回す海賊ならぬ空中海賊「空賊」の荒くれ者たちと、それを相手に賞金稼ぎで生きる「ブタ」の飛行艇乗りの物語。第一次世界大戦後の動乱の時代に生き、夢を追い求める男達の生き様を描く。
原作は模型誌『モデルグラフィックス』に不定期連載された『飛行艇時代』(「宮崎駿の雑想ノート」所収)。

あらすじ

第一次世界大戦後のイタリア・アドリア海周域――。
終戦後もなお軍事色の褪せない不安定な情勢下で、誰もが見えない明日に希望を探そうとした時代。
そこでは飛行艇を駆り、富裕層の客船を狙う“空賊”たちが跋扈していた。
だが彼らが最も懼れ、目の敵とする一人の飛行艇パイロットがいる。
ポルコ・ロッソ、またを“紅の豚”。
かつて大戦時にイタリア空軍に所属し、最強と謳われたエースパイロットである。
だが彼はその栄誉を捨て去り、自ら野に下って賞金稼ぎとして宛てのない暮らしを選んだ。
無血で相手を降参させ、憎らしいほどハードボイルドに生き、時おり昔馴染みのマダム・ジーナの店で酒をたしなむ。その姿に多くの羨望と倦厭の視線が寄せられる。

マルコに毎度いいようにあしらわれる空賊たちは、アメリカから来た飛行艇乗りドナルド・カーチスを雇って協定を結び、ポルコの打倒を計画する。
豪華客船乗っ取りの一報と空賊同盟の挑発を受け、彼らの掃討に向かったポルコだが、以前からの愛機のエンジン不調の最中にカーチスの奇襲を受け、エンジントラブルから全力を出し切れずに敗北。ボロボロの愛機をなじみのピッコロ社に借金で修理する羽目になった。
サボイアを持ち込んだピッコロ社で17歳で設計士を任される少女・フィオと出会い、彼女の設計とピッコロ社の総力でサボイアは生まれ変わって空へと旅立つ。

旧友の手助けもあって空軍の網を掻い潜りつつ、一路アジトへと向かったポルコ。
だがそこに空賊たちが潜伏し、ポルコに襲いかかろうとする。
その姿を見て、フィオは彼らを一喝。そこにカーチスが登場し、こともあろうにフィオに一目惚れして結婚を申し込む。さらにフィオもポルコの借金の肩代わりを掛け、ポルコとカーチスの一騎討ちを持ちかける。

ポルコは何故にブタなのか。
何故エースの栄光を捨て、賞金稼ぎとなったのか。
ポルコとカーチスの決闘の行方は……

これは空を愛し、不器用に一人の女性を想い続けた、ある豚(おとこ)の物語である。


主な登場人物

マルコ・パゴット(CV:森山周一郎

本編の主人公である豚人間で、通称はポルコ・ロッソ。鮮やかな赤色の戦闘飛行艇サボイアS.21に乗って空中海賊を相手にする賞金稼ぎ。かつてはイタリア空軍のエース・パイロットだったが、軍隊社会に嫌気が差したため、自らに魔法をかけて豚の姿となり、軍を去った。賞金稼ぎとして空賊を撃退してはいるが、戦争ではないという理由から殺しはしない主義。クールなニヒリストのようにも見えるが、人間味溢れる一面もある。

「いくら小さな尻でも、機関銃の間は狭すぎだ!一挺降ろすんだ!」

言葉通りの意味のほか、おそらくバランス調整の意味もあったと思われる。
「7.92mmシュパンダウ機銃」がLMG08/15だった場合、この重量は本体だけでも12kgほどになる模様。(当然、ほかにも弾薬や取り付け台座分の重量も加わる)

「今アタマを上げるとモロに弾を喰うぞ。水面スレスレの方が撃ちにくいんだ!」

戦闘機の場合、機銃を機体の水平線から2度ほど上に向けて取り付けているのが普通。
つまり、下の目標(この場合は水面スレスレを飛び、対気速度を稼ぐサボイア)を撃つためには2度以上機首を下に向けるか、弾丸が相手の上を飛び越える前に命中するよう、ギリギリまで距離を詰めるかの二択になる。劇中では両方とも試みた。

――「すげえ、豚が雲を引いたァ!」
物語の後半、カーチスと熾烈な空中戦を繰り広げるポルコのサボイアが主翼の両端から飛行機雲を引いたのを見たマンマユート団・団長の感嘆の台詞である。劇中では特に解説もなく、ただ観ているだけではサラリと流してしまうセリフだが、これはポルコの卓越した技能を示すものである。

航空機とは速度を主翼によって上向きの揚力に変換することで、空中を飛行することが出来る。つまり速度を失えば墜落するということであり、熟練した操縦士は飛行に最低限必要な速度を理解しているものである。
航空機が飛行する際、主翼の上と下で気圧の違いが常に生じており、これが揚力を生んでいる。機体の旋回がきつくなっていくに従い、翼の上下の気圧差が激しくなり、雲が発生するようになるのだが、これは非常に危険な状態で、主翼から気流が剥がれかけている状態である。
この状態をわざと生み出し、また維持するためには非常な熟練を要し、ましてや引き渡し直後の機体でコレをやって見せたポルコの技量は神技級と言えるだろう。

なお、現在では航空ショーなどで割と簡単に行っているところを観られるほか、航空雑誌の表紙を飾ることもあるが、本来は危険な行為であり、コンピュータの補助があるからこそ出来る芸当である。それをレシプロ機で行なったポルコはまさにエース級のパイロットなのだ。そのような空中戦などは、確かに「一生に一度しかお目にかかれない」ことだろう。

ちなみにピッコロ社を出発した後、ホテル・アドリアーノ上空で宙返りを見せるシーンがあるが、このシーンでも雲を引いている。

マダム・ジーナ(CV:加藤登紀子

本作のヒロインで、ポルコの幼なじみ。空賊連中を含め近隣の飛行艇乗りたちにとってはマドンナであり、そのだれもが一度は恋をする女性。彼女がいるホテル・アドリアーノへ訪れた客を美しい歌声で魅了し、ホテル近辺の半径50km以内はだれも悪さをしない事実上の中立地帯となっている。これまでに三度、飛行艇乗りと結婚したものの、全員と死別している。ポルコのことを「マルコ」と本名で呼ぶ数少ない人物であり、密かにポルコを愛していた様子。フィオとは後によい友人となった。

フィオ・ピッコロ(CV:岡村明美

本作のもうひとりのヒロイン。ポルコの馴染みのピッコロ社で働く飛行機設計技師で、アメリカでの修行経験がある。歳は17歳と若いが、社長である祖父やポルコはその腕を買い、持ち込まれたポルコのサボイアの再設計を一任される。多数の空賊達の前で啖呵を切り、ポルコとカーチスの再戦を約束させるなど男勝りで勝気な性格。彼女の父親はポルコと同じ部隊に所属しており、「マルコ・パゴット大尉」の武勇伝を聞いて育った。ポルコには憧れと共に好意を寄せている。

「翼も木製モノコックだったのね」

当時、主翼には木製フレームを組み、その上から帆布を張るのが一般的。
この場合はフレームだけでなく、表面まで曲げた木で張って主翼としている。(本編37分50秒ごろ)
おそらくは船体を造る技術の応用だが、工場から運河に繋がった斜路などからみて、ピッコロ社も元は造船工場だったようだ。

ドナルド・カーチス(CV:大塚明夫

イタリア系移民の祖母を持つアメリカ人の飛行艇乗り。空賊連合が仕事のために雇った用心棒で、「アメリカ野郎」などと呼ばれて評判は良くないものの、カーチスR3C-0を操る腕利きのパイロット。美女に目がなく、ジーナにプロポーズしてうまくあしらわれ、さらにはフィオにも惚れ込んで結婚を申し込む始末。用心棒役を名声を得るためのステップと捉えており、最終目的は母国アメリカの大統領。普段はキザな伊達男を気取っているが、コミカルな言動も多い憎めない二枚目半で、自身が考案したシナリオがハリウッドにて本人主演での映画化を前向きに検討されるなど、パイロットのみならず芸術的な才能にも秀でている。ジーナにはバカっぽいところをちょっと気に入られているが、青さを見抜かれ「ボク」扱いされてしまった。

カーチスとカーチスについて

なお、彼ドナルド・カーチスと搭乗機R3C-0はともに「カーチス」ではあるが、別に関係はない。実際に彼は「飛行艇時代」では別の名前(苗字)だった。

また、R3C水上機を開発したカーチス・ライト社は実在の企業であり、第一次世界大戦中に設立され、第二次世界大戦までに大きな発展を遂げるが、時代の波(ジェット化)に乗り遅れ、航空機開発部門はノーズアメリカンに売却されることとなってしまった。現在は原子力関連企業として存続している。

マンマユート団

アドリア海で活動する空賊の一団。迷彩カラーの大型機で近辺を荒らしており、物語の冒頭でも貨客船を襲撃。金貨と人質を奪って逃走するも、追ってきたポルコにこてんぱんにやられた。かねてより空賊連合ともどもポルコを「ブタ」と呼んで目の敵にし、ピッコロ社で修繕されたサボイアを破壊しようとするが、フィオに一喝されてボスが恥じ入るなど憎めないやつら。ポルコとカーチスの決闘を取り仕切り、連合と一緒になってお祭り騒ぎにしてしまう。
ちなみに、マンマユートを直訳すると、『ママ助けて』らしい。

幻のカット

公開直前、月刊『モデルグラフィクス』誌上にて本編SCが公開されている。
その中でサボイアとアリタリア航空のMD-80(と思しき旅客機)が編隊飛行しているカットがあったのだが、公開本編では使われず、どこに繋がるシーンだったのかは不明である。
絵コンテ等、製作途中の時点ではラストで使われていたようだが、そこまでやると主役がフィオになってしまうために省略されたのだろう。

余談

 地中海の女王号に用心棒として戦闘艇に乗艇するパイロット「黒いエスタリオン」シニョール・バラッカ と「ティベレの狼」ことヴィスコンティ中尉には、モデルとなる人物がいたらしい。
 また、劇中登場し、戦友とフライシャー風のアニメ映画を見るフェラーリンは、実在したアルトゥール・フェラーリンがモデルらしい。なおそのリアルフェラーリンは1920年代にローマから東京へ飛行機で横断を敢行、成功して日の丸をもらって帰国(飛行機は日本で保管され、第二次世界大戦男のロマンがわかりそうなアメリカに接収)しているが、それを保管、管理しているカプローニ航空博物館の館長、イタロ・カプローニは、日本のサブカルの宣伝を北イタリアでやってる人で、1930年代のイタリアの話であるにもかかわらず(イタリア語が微妙なのはご愛敬だそうである)「うちのじいさまジャンニ・カプローニ製作の飛行機が一機も出ない」紅の豚を鑑賞後、カプロニ社史を、「ニッポン 宮崎駿様」あてとかで郵送したらしい。あー「風立ちぬ(漫画単行本の方)」によれば、宮崎宅に来たらしい。


ちなみに、ジーナの恋の行方は、ラストに映るホテル・アドリアーノの全景に答えがある。
ほら、ホテルの右端付近をよく見れば・・・


関連イラスト

Porco Rosso

 

サボイア S.21



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