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貴族

きぞく

功績や血縁によりにより社会的特権を認められた人や一族、あるいはその身分のこと。
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概要


 多くの現代人が「貴族」として想像するものは主に19世紀(特にヨーロッパ)の貴族像で、国王皇帝から公認された爵位によってランク付けされ、参政権・儀礼・収入などの社会的特権を世襲し、富裕で華美を好み、貴族だけの社交界を形成して独自の文化を持つ、といったものであろう。日本語での“狭義の貴族”はこのような意味であり、日本の近代に存在した華族を基準に、その前身である公家、制度的な模倣元であるヨーロッパの近代貴族のことを指す。

 ただし、欧州の近代貴族は日本の華族と相違する点が多く、欧州貴族を“狭義の貴族”の類推で理解するべきではない。欧州近代貴族の母体は中世の封建領主だが、封建制は日本ではむしろ武家の制度であり、中世欧州貴族を理解するには華族や公家よりも武家と対比するほうが正確である。この相違は近代に至っても爵位に対する考え方や貴族の範囲の違い(後述の「貴族と見なされない場合のある身分」を参照)に残っている。

日本語でいう「貴族」の元来の意味は、飛鳥時代末期に成立した律令制度に求められる。飛鳥時代に朝廷で権力を振るっていたのはいわゆる豪族であるが、朝廷に忠実な豪族に律令による官位が与えられると、彼らは「貴族」と呼ばれるようになった。律令制では三位以上の貴人が「貴」、四位と五位が「通貴」と呼ばれ、その一族を合わせて貴族と呼ぶのである。以降、平安時代までの朝廷を動かしていたのが貴族であるが、平安後期に武家政権が成立して以降は公家と呼ばれるようになった。現代では先述の通り一般に貴族といえば欧州貴族を連想することも多いので、例えば平安時代の貴族を特に呼ぶ時は平安貴族と呼んだりする。
 

詳細

 貴族は多くの場合富裕で何らかの制度的特権を持っていたが、「貧乏貴族」「没落貴族」という言葉は洋の東西を問わず存在し、経済的富裕さや公権力の大きさが貴族の必要条件となっているわけではない。また近世国家では「一代貴族」のようなものも存在するので、血統による世襲・相続も絶対必要と言うわけではない。ただし、経済力や公権力を代々相続(世襲)することでそれ自体に価値を持たせるようになった歴史がある。歴史用語としての広義の貴族は、血統自体の価値が不安定な成り上がりの過程から、血統だけに価値があるようになった状態まで、幅広い状態を指す。

そういった「貴族」が成立するには、以下のようなルートがあった:

  • 富裕で政治力もある市民が、コネと相続と教育により富を子孫にも継承し、代々顕職を輩出するようになった家系(古代ローマのパトリキ・ノビレス、中世イタリアのシニョーレ、科挙制度下の士大夫)
  • 土豪的大土地所有者や土着した官僚がその資産・地位を相続するようになり、中央政権と一定の関係を持つようになった家系(日本や西欧の封建領主)
  • 君主が家来として信用できる家系を選んで要職につけている場合(モンゴル貴族、朝の八旗、恩賞として封土を与えられた封建領主)
  • 文化的教養をもとに社会的名声を得た家系(インドバラモンムハンマドの子孫の家系、代以降の士大夫)
  • 「貴族」という身分制が確立した後に、身分そのものを報償ないし売買で得た者(近世国家など)

 以上のように起源は様々であり、血統へのこだわりも地域や時代で差があった。たとえばハプスブルク家や貴族では両親ともに貴族でなければ地位を相続できず、庶子は格下げされた。隋唐時代の家格意識は非常に強いものであり、唐の初め、皇帝が下剋上を果たした後に家臣に家格の一覧表の作成を行わせたところ、皇帝自身が三等に格付けされ激怒したほどである。このような社会では貴族は貴族どうしでしか結婚しなかった。一方で血統へのこだわりが弱い貴族社会もあり、例えば古代ローマでは旧来の貴族パトリキの力が衰えると庶民の新興富裕層と合流してノビレスという新しい貴族層を形成している。イングランドでは片親が平民でも貴族の位を継ぐことが出来、貴族院の議席は世襲の男爵以上であるものの、地主にさえなればジェントリとして貴族社会の一員として扱われ、政府官僚として頻繁に登用された。

 また地域・時代によって貴族が世襲する社会的特権も異なった。中央政府が弱く地方分権的な社会では、大地主が貴族となることが多かった。中世ヨーロッパの貴族はそのようなものである。中央集権化(絶対王政・専制君主制)が進んだ国では、中央官僚を独占するようになった血統が“身分が高い”と見なされこれを貴族とする考え方が強かった。初期ローマや中国の貴族、近世以降のヨーロッパの貴族はこれに該当する。日本の歴史で「貴族」という語は、家格によって就任できる公職が決まっていた公家か、明治以降の華族を指す事が多く、武士は別とする扱いをされることが多かった。

貴族の特権


 一般的には貴族は富裕で社会的特権を持っているというイメージがある。しかし一口に貴族と言っても、別の国の別の制度をひとくくりに貴族と呼んでいるため、その実態は時代、国、貴族としてのランクで大きく異なる。

 貴族の中でも定義やイメージは異なる。一つ目は中世ヨーロッパの封建領主である。一定の土地を所有し、その範囲内の住人を配下とし、権利を持つ一方で、主君の命令に従った軍事的な負担の義務を担っていたとも言える。広大な領地を持つ貴族がいる一方で、貴族が多い国や地域(スペインの特に北部、ハンガリーなど)では、最下級の貴族は政治や軍事に関する些細な特権しかなく、財産も庶民と大差がなかった。

 貴族のイメージの二つ目は、中世や近世になって登場した、地主や商人として経済的に恵まれ、その経済力を背景に官僚や議員を輩出するようになった一族である。力の源泉が自身の経済力である以上、こういった貴族はおしなべて富裕であり、文化的にも優雅・華美を好む傾向が強かった。収入の源泉が別にあるので何かの義務があるわけではなかったが、資産家は公共へ奉仕する義務があると考えられていた。こういったタイプの貴族は、戦乱を生き残って貴族であり続けることがある一方、経済構造の転換で没落することもあった。

 ポーランドのシュラフタは貴族という言葉で呼ばれることが多いが、実態は古代ギリシャ・古代ローマに近い存在であり、参政権のあるだけの庶民が多数であった。学者によってはシュラフタ草創期の役割から「士族」の語を充てることもあるが、黄金期のシュラフタはそうではなかった。

 近世にも貴族は現実的な特権も存在はしたが、議会議席など参政権の面が中心であった。現代では貴族称号を持つ君主の一族でもない限り、「爵位を名乗れる」というくらいの特権しかない。


フィクションにおける貴族

 世界各地に貴族はいる/いたのだが、ヨーロッパ的なものが多い。
 基本的に一応ファンタジーにもいるのだが、SF、特に宇宙を舞台とする作品に見られる。
 詳細は架空の貴族一覧を参照。

外部リンク

Wikipedia「貴族」

関連イラスト

モンテクリスト伯
無題


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09



関連タグ

爵位 称号 階級
英国貴族 英国紳士
独身貴族
聖職者 軍人 官僚 文人

爵位の種類

大公
公爵
侯爵 辺境伯
伯爵 城伯
子爵 方伯
男爵
以上はヨーロッパで比較的多い爵位(を、古代中国由来の呼称とそのバリエーションに当てはめた和訳)で、ヨーロッパでも国や地域によってはそれ以外のマイナーな爵位もある。

貴族と見なされない場合のある身分


高い側

中国式の専制君主国家では君主と臣下の別は絶対であるが、ヨーロッパでは神聖ローマ帝国の例のようにそこまで区別が厳密ではなく、国王も含めて広義の貴族のうち、広義の貴族という考え方が強い。これは征夷大将軍まで含めて武家のうち、という感覚に近い。
君主
皇帝 天皇 皇族 親王など
国王 など

低い側

準男爵 ジェントリ 騎士 ナイト …現在は「正式な貴族」ではない(貴族院に議席が持てず、敬称もSir/Dameで貴族用のLord/Ladyではない)が、中世においては貴族の末端として扱われ、近世に至っても社交界に出入りできる上流階級という扱いを受けていた。

市民 …古代の市民は、参政権などの特権があるという点である種の特権身分だった。

歴史学で「日本の貴族」として扱われる地位

公家大臣公卿など)将軍大名など 華族

フィクション

ヘタリア APH ローデリヒ・エーデルシュタイン
銀河英雄伝説/銀英伝
架空の貴族一覧

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