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概要

2020年9月に公開され、物語は前作「霹靂天越」に続く。「霹靂布袋戲」シリーズの主人公である素還真が化身も含め、一切登場していない。


解説

前作までの戦いがすべて終わり、本作の舞台は、中原を中心に動く。「霹靂靖玄錄下闋」時期に関わる内容やキャラクターが含まれるが、ほとんどが新たなストーリーである。「霹靂布袋戲」シリーズのほかの作品を飛ばして、本作から視聴を始めることもできる。


本作は物語の進行や、敵との攻防などの良さから、好評を博した。いくつかのシーンが演出に凝っており、中には品質が高い場面が見られる。また、長らく抑えてきたキャラクターたちのエコー音が戻ってくる。


あらすじ

遥か昔の中原苦境にて、深寰地宇(しんかんちう)より出でし二大勢力・異殃猂族(いおうかんぞく)と兵厄劍瘟(へいやくけんおん)が、中原の侵略を目論んだ。災いを阻めるべく、玉龍隱士劍謫仙が中原の強者たちを集め、二大勢力と交戦。決戦の果てに、二大勢力が封印され、中原側は戦乱の阻止に成功した。


だが現在の中原武林では、二大勢力の封印が解き放たれ、戦火が再び燃え上がる。そんな中、談無慾と靖玄客の一人・倦收天が時に応じて現れ、異殃猂族と兵厄劍瘟に対抗する。戦いの中で、倦收天の過去が徐々に明かされていく。


中原、猂族、劍瘟。三方勢力が動き出すと同時に、死の賢人・藐烽雲が表舞台に浮上する。彼の存在は、中原にどんな影響をもたらすのか?その目的とは?


人間と刀剣、そして戦火が、新たな歴史を織りなす……。


主な登場人物

談無慾

月才子と呼ばれる賢人。中原を守るために、権謀術数をめぐらす。

中原の豪傑たちと共に、猂族などの侵略に対抗する。


倦收天

「名劍無名」の二つ名を持つ道士剣客。靖玄客の一人。

兵厄劍瘟を阻止するために動き出す。


藐烽雲(びょうほううん)

「掌死之智」と称される死の賢人。河圖十智の第四位。

武術が使えず、知略のみで談無慾と敵対する。


月無缺(げつむけつ)

かつて中道真の主だった人物。武林で多くの伝説を残した。

靖玄客らの要請により、兵厄劍瘟や猂族と戦う。


挹天癒(ゆうてんゆ)

水を駆使して治療をこなす青い医者。

裏で何らかの実験を行っているようだが……。


韶無非(しょうむひ)

龍韜兵城の少城主。月無缺と友人になる。

噂によると、本人はすでに亡くなっていたが……。


風雲兒(ふううんじ)

劍謫仙の称号を引き受けた少年剣士。靖玄客の一人。

劍風雲(けんふううん)」を名乗って活動する。


舒龍琴心(じょりゅうきんしん)

靖玄客の候補生「靖玄者」の一人。「霹靂靖玄錄」時期の琴狐の弟。

武林に隠れた神秘を調べるために行動する。


意琦行

「絕代劍宿」と称される孤高な剣士。靖玄客の一人。

重傷の療養中、白馬秋水や澡雪に修行をさせる。


猂族

(かんぞく)

長らく封印された獣人族。封印の解除により、苦境侵略を狙う。

劫脈(ごうみゃく)・御脈(ぎょみゃく)・明脈(めいみゃく)・祇脈(ぎみゃく)の四大種族に分かれる。


無疆侯(むきょうこう)

猂族劫脈の覇者。劫脈の獣人たちを率いて、積極的に侵略を行う。

劫鏖主に一度追放されるが、後に「長恨無疆(ちょうこんむきょう)」を名乗って返り咲く。


魅禍后狨(みかこうじゅう)

猂族御脈の女王。夫・僰君を蘇生させるために動く。

後半から暴走して、蜘蛛のような形態に変化する。


雪之狼(せつしろう)

猂族御脈の戦士。劍謫仙に関わる者を排除しようとする。

過去に月無缺と何らかの縁があるようだが……。


飛蛟(ひこう)

猂族劫脈の剣士。無疆侯と同じく「劫脈八凶」の一人。

毒舌だが義理堅く、無疆侯のことを気にかけている。


劫鏖主(ごうおうしゅ)

猂族劫脈の主。無疆侯の努力により復活される。

好戦的な性格で、味方を傷つけることにも躊躇しない。


寂狼(じゃくろう)

猂族劫脈の剣士。剣術の腕は劫鏖主に勝る。

識歸舟の肉体を乗っ取るが、その遺族に葛藤する。


僰君(ほくくん)

猂族御脈の神将。故人。

その魂は、月無缺の体内に封印されているが……。


和鳳翥(わほうしょ)

挹天癒と名を並ぶ医者。木を使って治療をこなす。

その正体は、猂族明脈の原皇である。


荒禘(こうてい)

猂族全体を統べる王者「猂界守」。明脈に属する。

後半から正式に復活する。冷静沈着な性格。


玄魁敇天(げんかいさくてん)

猂族の戦神とされる伝説の人物。祇脈の当主。

五巔之戰を経て、祇脈が大きく衰退し、本人も行方不明になるが……。


兵禍血色塔

(へいかけっしょくとう)

兵厄劍瘟を武林各地にばらまき、戦乱をもたらす組織。


鴉九(あきゅう)

兵禍血色塔の主である「邪君」。

兵厄劍瘟を駆使して、武器や剣霊を次々と感染させていく。


風月主人(ふうげつしゅじん)

有名な預言者。兵厄劍瘟の封印を解除し、武林各地にばらまく。

邪君に従って活動しているが……。


恨劍少(こんけんしょう)

倦收天が昔に使った剣・極光劍一を媒体に、作られた怨念の塊。

他人の肉体に憑りつき、倦收天に襲いかかるが……。


兵禍劔宿(へいかけんしゅく)

意琦行の武器・澡雪劍の剣霊が、鴉九に改造し果てた姿。


邀月仙閣

(ようげつせんかく)

七名の女性侠客たちが結成する組織。互いに義姉妹の契りを結ぶ。

七人合わせて「七姝(しちしゅ)」と呼ばれる。


翠蘿寒(すいらかん)

剣で医術をこなす女剣士。義姉妹の中の長女。

途中から肉体が猂族に乗っ取られる。


紅塵雪

「天子槍」の二つ名を持つ美しき槍使い。義姉妹の中の次女。


獨夢君(どくむくん)

英気颯爽な女性の刀使い。義姉妹の中の三女。

行方不明の妹を探すために奔走する。


夜飛天(やひてん)

「廣寒神女」の二つ名を持つクールな弓使い。義姉妹の中の四女。

途中から肉体が猂族に乗っ取られる。


巧天工(こうてんこう)

「芙蓉鑄客」の二つ名を持つ有名な鍛冶師。義姉妹の中の七女。

師匠・江南春信のことに気にかけている。


中原武林

逆璽(ぎゃくじ)

邪剣の剣霊。和鳳翥の力により、木でできた実体を手に入れる。

元人間だったことが判明される。


江南春信(こうなんしゅんしん)

南武林一の鍛冶師。兵厄劍瘟との戦いでさらわれ、一度手を失う。


曉風寒(ぎょうふうかん)

懸賞組織「海市龍燈(かいしりゅうとう)」の美しき司礼官。


秦假仙

中原一の情報屋。談無慾らの味方として、海市龍燈などを中心に活動する。


識歸舟(しききしゅう)

かつて武林で名を馳せた剣客。妻の病を治療するため、海市龍燈の依頼を引き受ける。

途中で殺され、肉体が猂族の寂狼に乗っ取られる。


荒天塵(こうてんじん)

楽観的な少年。挹天癒和鳳翥の従者が、術で元に戻った姿。

その正体は、猂界守・荒禘の息子であった。


夢丹青(むたんせい)

麗しき絵師。昔に月無缺が所属した中道真の副道主を務めていた。


五巔之戰関連

かつて「五巔之戰(ごてんのせん)」に関わった者たち。


劍謫仙(けんたくせん)

昔に「靖玄錄計畫」を立てた仙人。故人。

その遺志は風雲兒に引き継がれる。


歧天人(きてんじん)

倦收天の師にして友。

兵厄劍瘟に感染された剣霊に憑りつかれ、倦收天に襲いかかる。


青玉鏡(せいぎょくきょう)

孤高な刀使いの師範。猂玦を保有している。

人間だった頃の逆璽と何らかの関係があるようだが……。


俠音劍鳴

(きょうおんけんめい)

猂族を討伐すべく、百重泉が海市龍燈の協力を得て、結成した侠客の組織。

中盤から登場。


百重泉(ひゃくじゅうせん)

非凡な青年剣士。父親の病を治療するため、挹天癒に助けを求める。

父の死後、組織「俠音劍鳴」を結成する。


寄飛龍(きひりゅう)

獨夢君の師匠である刀使い。猂族を瞬時に見破る能力を持つ。

正気が戻った剎紫煙を弟子として受け入れる。


墨如鴉(ぼくじょあ)

筆を持つ黒き剣士。学生時代はいじめっ子だった。

霹靂靖玄錄」時期に登場した琴狐らと並んで「湯問四傑」と自称している。


剎紫煙(せつしえん)

獨夢君の妹。一度猂族によって、殺し屋に改造される。

その後救出され、俠音劍鳴の一員になる。


その他

天劍非天(てんけんひてん)

倦收天の九陽真氣が抜かれたことにより、狂人と化した姿。

必殺技「逐日」の力で、各勢力を苦しませていく。


新海鯪(しんかいりょう)

鱗族の守護者。猂族と結託して、風雲兒の体内に眠る血鯤鯩の力を奪おうとしている。


紅華雨(こうかう)

剣霊・逆璽の実母。深寰地宇の出身で、長年氷に封印された。

後半から封印が解かれ、青玉鏡の真実を明かしていく。


用語

五巔之戰(ごてんのせん)

遥か昔に、中原の五巔之嶽(ごてんしがく)で起きた大戦。中原で侵略と戦乱をもたらす猂界守・荒禘(こうてい)と、天地主宰(てんちしゅさい)を倒すべく、中原側の強者たちがこの地で交戦する。大戦は中原側が勝利を収めたが、天地主宰と荒禘がもたらす戦乱は、現在になって再開される。


中原側侵略者側
参戦者劍謫仙、青玉鏡、歧天人荒禘、天地主宰
関係者玉龍隱士月無缺僰君
損害不明荒禘の封印/天地主宰の体が三分され、うちの一つが劍謫仙に封印される。

結果:中原側の勝利


猂玦(かんけつ)

五巔之戰にて、荒禘を封印するために、使われた四つの玉石。猂族の当主たちが、力を込めて作った結晶で、簡単に破壊することができない。猂玦をすべて集めると、荒禘を封印から解放することができる。猂族側が荒禘を解放させるべく、猂玦を奪いに所有者たちに襲いかかる。


正式名称読み方対応する種族
赦虎令しゃこれい明脈
燹狼令せんろうれい御脈
狩翼令しゅよくれい祇脈
伏驤令ふくじょうれい劫脈

兵厄劍瘟(へいやくけんおん)

五巔之戰時期にて、天地主宰が中原にばらまいた疫病。長らく封印されてきたが、風月主人の手により、再び解放されてしまう。疫病はあらゆる武器に感染し、暴走させる能力を持つ。暴走した武器を媒介に、人体に感染される。兵厄劍瘟に感染された人間は、武器と同じように暴走するか、肉体が蝕まれて死に至る。


また、剣霊にも感染することができる。感染された剣霊は、暴走した状態で人間に襲いかかる。


天地主宰(てんちしゅさい)

五巔之戰の参戦者。靖玄客と敵対する「七大神秘」の一つ。

深寰地宇(しんかんちう)から来た人物で、侵略の際に兵厄劍瘟を中原にばらまいた。戦後に体が「元精」「元氣」「元神」に三分され、うちの一つ「元氣」が封印され、残りはそれぞれ武林の社会に溶け込んだ。二つの分身のうち、風月主人は「元精」異天魔の末裔で、韶無非が「元神」戾禍の末裔に当たる。物語の開始時点で、「元氣」が兵厄劍瘟と共に、風月主人に解放される。


名称読み方備考状態
異天魔いてんま天地主宰の元精風月主人に吸収される
鴉九あきゅう天地主宰の元氣風月主人に解放される
戾禍れいか天地主宰の元神不明

靖玄客(せいげんかく)

武林を襲う災いや闇の勢力と対抗するために、選ばれた者たち。

「靖玄」という単語は、「闇を平定する」という意味である。靖玄客の候補生は「靖玄者(せいげんしゃ)」と呼ばれる。靖玄島を修行拠点として、時に応じて姿を現すとされる。

モチーフは北斗七星


名称対応する星読み方
意琦行開陽武曲星かいようぶきょくせい
倦收天瑤光破軍星ようこうはぐんせい
原無鄉天權解懸星てんけんかいけんせい
劍風雲天樞貪狼星てんすうどんろうせい
月無缺天璇龍琴星てんせんりゅうきんせい
不明天璣伽藍星てんきがらんせい
不明玉衡冥神星ぎょくこうめいしんせい
不明輔星ほせい
不明弼星ひつせい

黮月天火(たんげつてんか)

五巔之戰にて、猂族や兵厄劍瘟と対抗しうる力。悪業を消し去る効果を持つ。絶大な力を得る代わりに、天火を取る者には、大きな天罰に見舞われる。月無缺の場合、天罰として血海深淵に入り、肉体のほとんどが破壊されてしまった。


猂靈奪軀(かんれいだつく)

猂族が使う、他人の肉体を乗っ取る術。四つの種族のうち、劫脈が一番得意とする。猂族たちの生息地・深寰地宇から苦境に移る際に、肉体が持ち運べられない。そのため、魂を苦境にいる人間の肉体に移る必要がある。

この術は、乗っ取った人間の意識を支配し、武術を引き継ぐことができる。術は一人に一度しか使えず、支配した肉体から出ることもできない。また、乗っ取った肉体が死亡すると、猂族の魂も消滅してしまう。


名称読み方備考(猂族)乗っ取る対象備考(対象)
飛蛟ひこう劫脈八凶の一人獨孤嶽、無心子、浪平濤のいずれか無疆侯が攫った肉体
赤羆せきひ劫脈八凶の一人上記と同じ
靜狼せいろう劫脈八凶の一人上記と同じ
寂狼じゃくろう靜狼の息子識歸舟死後に乗っ取る
蚩蛾しが劫脈八凶の一人傒五音(鳳雲霄)百重泉の父
絕羚ぜつれい劫脈八凶の一人夜飛天死後に乗っ取る
寒鳶かんえん劫脈八凶の一人翠蘿寒意識が拮抗する
靈鮶れいくん劫脈八凶の一人紅塵雪意識が拮抗する

異殃奪天圖(いおうだつてんず)

荒禘が七大神秘の一つ「地獄鳥」の力を利用して、中原に形成された大規模の術。終盤に登場。

「猂靈奪軀」を助長し、より効率よくさせる効果を持つ。この術の中にいる人間は、短時間内で猂族に肉体を乗っ取られる。術を解除するには、三ケ所に設置された柱「奪天三犄(だつてんさんい)」を破壊する必要がある。


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霹靂布袋戲


談無慾 倦收天



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