107系

ひゃくななけい

JR東日本の車両で、当社初の新形式。大宮工場(現・大宮総合車両センター)で新造された最後の通勤型車両でもある。

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目次 [非表示]

1 概要

2 装備品

3 車両区分

3.1 0番台

3.2 100番台

4 他社への移籍

5 関連タグ

概要

1980年代末ごろ、日光線や両毛線といった北関東の支線区の普通列車には、急行列車の廃止によって転用された急行形電車165系が多く使われていた。

しかし、新製後20年以上を経て老朽化が進んでいたうえに、デッキ付き片側2扉という車体構造が大きなネックであった。

特に朝夕のラッシュ時には乗客をさばききれないばかりか、3両編成が最低単位であることで、日中の閑散時には輸送力過剰となっていた。このような非効率な状況を打破するため、国鉄分割民営化によって発足してまもないJR東日本に望まれたのは、時間帯ごとの需要に柔軟に対応できる車両の開発であった。

そこで誕生したのが本系列である。クモハ107形(Mc)とクハ106形(Tc')の2両編成を基本とすることで、2両、4両、6両と需要に応じて輸送力を調整することができる。

また、製造コストの削減を図るため、165系の廃車から発生した主電動機、台車、補助電源装置、ブレーキ制御装置、空気圧縮機、冷房装置など主要機器を再用したほか、車体製造技術の維持向上を兼ね、大宮工場(現・大宮総合車両センター)・大井工場(現・東京総合車両センター)・大船工場・新津車両所(現・新津車両製作所)・長野工場(現・長野総合車両センター)など自社工場での製造となったことも特筆される。

履歴簿上は165系からの改造ではなく新車扱いであり、同系列との車籍上のつながりはない。

こうして非効率な状況を打破することに成功したが、ラッシュ時に合わせた3ドア・オールロングシートというアコモデーションはローカル線や閑散時には不評であり、特に日光線は観光路線ということもあり観光客には嫌われがちな車両であった。

アニメファン的には、『日常』に登場した電車(100番台)という印象が強いだろう。

装備品

主回路は119系のものをベースにしている。ローカル用であり、165系のままのギア比でも動かないことはないはずだが、駆動力が確保できるよう別の歯車へ交換、通勤電車並の1：5.6にギア比が上がっている。いわば165系電車の発生品流用で製造した105系ともいえる存在であり、性能自体は1980年代後半としても低い水準である(動力車としての性能からいえばキハ110系以降の気動車にすら水をあけられる)。

またこのようなロングシート車はラッシュ時の積車が重くなるため、軸ばねを交換している。

車両区分

0番台

小山電車区(現・小山車両センター)に所属し、日光線・宇都宮線(小金井～宇都宮)を走行。初期車と後期車では窓配置が異なり、一部に霜取りパンタ装備の車がいた。

小山車両センター所属の0番台は205系600番台に置き換えられ、2013年 3月改正をもって運行終了。

100番台

新前橋電車区(現・高崎車両センター)に所属、上越線水上以南・吾妻線・信越本線(横川駅まで)・両毛線のほか宇都宮線小山～黒磯間を走行。日光線で車両不足になった際には小山に貸出され代走に駆り出されたこともあり北関東の広い範囲で活躍した。100番台の第6編成以降では戸袋窓の廃止と窓割の変更が行われた。

高崎車両センター所属の100番台は211系3000番台に置き換えられ、2017年 9月をもって定期運行を終了。

余談だが、信越線横軽越えでの運転計画があったのか横軽対策が施されており(車両の行き先にも通常の運行範囲の横川を越えて高崎支社管内の軽井沢・中軽井沢、更に長野支社に入り小諸まで用意されてた。)、当該区間の廃止前には形式の前にGマークが記入されていたが、実際には横軽越えは試験運転一回のみで終わっており、実際の営業に供されたことはない。

他社への移籍

機器流用車ではあるものの、2両編成・ロングシート車かつ昭和から平成へ元号が変わるときに製造され車齢が若いことから、100番台のうち6編成(うち1編成は部品取り車)が上信電鉄へ譲渡されることになった。旧配属区との距離も近く(甲種輸送費用がほとんどかからない)、MT54モーターなど国鉄系機器を多用する在来車と機器的にも共用できる事もあったと思われる。

上信電鉄 700形となった同車は外部塗装の変更、連結器の交換(密連→小型密着自連)、内装の変更、液晶ディスプレイの追加、トイレ使用停止化などを行い2019年3月より運行を開始している。カラーリングはクリーム／緑ツートン・JR色・上信コーラルピンク・広告塗装など編成ごとに違ったものを採用している。

イラスト及び実車写真のとおり、この車両の窓は1枚下降窓である。かつて国鉄でこれを採用して車体自体の急速な老朽化を招いた急行グリーン車や157系と異なり、鋼製車体でも防錆に留意した作りに変わったため、車体製造後30年ほど経た今でも問題は起きていない。