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F-15E

えふじゅうごいー

F-15を元にした戦闘爆撃機。愛称は「ストライク・イーグル」。見た目は大して変わらないが、内部は原型が分からない位に改造されている。2019年現在、GBU-28「バンカーバスター」を運用できる唯一の戦闘爆撃機。
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開発経緯

1981年3月、アメリカ空軍はF-111後継機の開発コンベンション『DRF(デュアルロールファイター)プロジェクト』を開始した。


これを受けてジェネラル・ダイナミクス社とマグダネル・ダグラス社の2社が計画を提出した。

ジェネラル・ダイナミクス社が提出した計画は、F-16を基にして再設計した『F-16XL』。マグダネル・ダグラス社(以下MD社)が提出したのが、F-15を原型とした戦闘爆撃機、『F-15E』だった。


当時最新鋭のF-15は機体重量を上回る推力を誇っており、この余裕を戦闘爆撃機としての能力にも生かそうというわけである。結果、推力の余裕からくる搭載能力、被弾時の生残性や拡張性を評価され、F-15Eは見事採用を勝ち取った。実際、時代の要求に合わせて電子機器は更新され続けており、先見性の確かさが証明されている。


F-111の後継機として

F-111は搭載能力に優れ、戦闘機でありながら対地攻撃を得意としている。これは低空飛行能力と相まって敵地侵攻能力の高さにも繋がっており、1981年のリビア空爆(エルドラド・キャニオン作戦)では開戦の第一撃を務めている。また、搭載能力の大きさも非常に重宝されており、湾岸戦争ではGBU-28バンカーバスターを搭載して出撃している。なお、GBU-28はF-15Eは1発のみ搭載可能だが、F-111なら2発搭載できる。


F-15Eは、このようなF-111の任務を引き継ぐ機体として開発された。


ストライクイーグルの試作機(F-15B改造機)

試作機はF-15Bの原型機を基に製作されており、これにコンフォーマルフェールタンク(CFT)を搭載し、後席にも爆撃用の電子機器を追加している。


F-16XLと共に比較審査された結果、F-15はエンジンが双発だったことが有利に働いた。これは搭載量の大きさにも繋がり、被弾時の生残性や将来の拡張性もF-16XLに比べ優位で、見事に採用を勝ち取った。


機体概要

F-15Aの飛行記録機『ストリーク・イーグル』と名前が似ているが、全く関係ない別物である。前述の通りF-15Eは対地攻撃用の各種センサーを追加しており、後席には爆撃手(ウエポンシステムオフィサー:WSO)が搭乗している。


機体構造も制空戦闘機型とは明確に異なっており、低空侵攻にも耐えるよう強化された(元が運動性を追求した戦闘機なので、低空での突風に弱いため。それでもごり押し感が強く、低空飛行時の乗り心地はあまりよくないらしい)。

これにより空虚重量も2t程度増加しており、(パワーアップしたエンジンを装備してはいるものの)空戦性能は若干低下している。


一番の特徴と言えるのが、機体左右に追加されたFASTパック(燃料及び戦術センサーパック)である。実際にはセンサーは内蔵しなかったため、現在この名称は使われていない。これはコンフォーマル・フュエル・タンク(形状一致型燃料タンク)とも呼ばれ、空気抵抗を最小にし、かつ若干の揚力も発生させるように設計されている。タンク外装には6つの爆弾架が取り付けられており、搭載量は大幅に増加した。レーダーも新型の高機能レーダーAPG-70が搭載され、対空・対地両方に使用できる。


また、試作機では主翼パイロンの外側に電子機器搭載用のパイロンを備えていたが、生産機でこれは廃止され、エアインテイク下部にAAQ-13とAAQ-14専用パイロンを追加した。当初はALQ-119やALQ-131の搭載が構想されていたようだ。ハセガワ旧キットの説明書によると、この他にもAGM-45やAGM-88を搭載できるとある。


ただし、これらの改造の代償としてM61A1の装弾数は低下しており、F-15Cで940発だった弾数が500発程度に減らされて軽量化されている。


F-15Cには一歩及ばないとは言え、爆弾投下後のF-15Eは戦闘機としても優秀である。湾岸戦争中に空戦で戦果を挙げる事は無かったが、通常のF-15と共に空中哨戒にも使われている。のちに主翼パイロンのランチャーにもAIM-120を搭載できるように改修され、ボスニア等ではF-15の本懐に迫る能力を手に入れている。


コンフォーマル・フュエル・タンク(CFT)

F-15Cより追加されたオプション装備で、片方につき849米ガロン、左右2基で増漕2.5本分の燃料を搭載できる。15分の作業で脱着できるが、空中投棄出来ないことを嫌ってかF-15E以前ではアメリカ軍ではアラスカ州空軍と第57戦闘迎撃飛行隊といった限られた飛行隊が使用していた(常に使用しているのは第57戦闘迎撃飛行隊のみ)。F-15EのCFTは機体組み立て時から装着されており、取り外しこそ可能でも外しての運用は考えられていないため、CFTなしでの運用は機体の改造をするとされている。


しかし設計の効果は明らかで、亜音速・クリーン状態での空気抵抗はむしろ低下している。

超音速ではこれが増加するが、それでも通常の増加燃料タンク(増漕)よりも遥かに小さい空気抵抗となっている。F-15SEではCFTをウェポンベイ化しており、AIM-120等の格納を可能としている。当然だがウェポンベイ化した分、燃料搭載量は減少している。


運用

湾岸戦争では性能を存分に発揮し、スカッドミサイルの発射基地つぶしに活躍している。高度な電子機器を持つF-15Eだからこそ可能な任務である。他にもイラク機甲部隊への攻撃にも投入されており、こちらは豊富な武器を搭載できる搭載能力を存分に発揮している。湾岸戦争での唯一の撃墜記録はヒューズ500をGBU-10「ペイブウェイII」(2000LBSレーザー誘導爆弾)で『撃墜』したものとなっている。


現在のF-15E

型番こそ変わってはいないが、制御のフライバイワイヤ化やレーダーの換装、コックピットをF-35に類似したものに変更するなど近代化が継続されている。


輸出用品目にも入っており、F-15E原型の輸出型はイスラエルサウジアラビア韓国シンガポールへの納入実績がある。


派生型

F-15E

基本仕様。詳細は上の通り。

1995年にF-15Sとして採用されており、これはF-15Eをサウジアラビア向けに特化(という名のダウングレード)させたもの。具体的には電子機器を格下げし、核兵器運用能力を削除したもので、後に一部は能力拡張で補われている。


1994年にF-15I「רעם/ラーム」(※ヘブライ語という意味)での名称で25機を導入。イスラエルの要求により、電子機器は幅広く国産品を導入している。こちらも能力拡充は余念がなく、ヘルメット装備型照準機やUAVの運用能力などが追加された。


2002年に採用となり、時代にあわせてAIM-9XやAGM-84Eに対応している。独自仕様として対艦攻撃能力も追加されており、ほかにも様々な最新鋭の電子機器で身を固めている。

40機配備したが、1機墜落したので39機配備となる。その後、さらに20機+損失分1機を追加調達した。

通称「スラムイーグル」。

この中のスラムとは貧民街:slumではなく、叩きつける:slamという意味。ネット上では「キムチイーグル」などとも呼ばれる。


2005年、A-4SUの後継として採用された。F-15Kとは共通する部分もあり、電子機器の中には同じものがある。現在は24機が配備されているが、2014年8月24日には16機の追加調達が報じられた。(合計40機)


2011年に購入が決定。

新規生産分84機の配備に加え、既存のF-15S(70機)も同様に改造する予定。


2016年に採用を決定、36機の購入が決定しているほか、米国国務省は最大で72機の販売まで承認済みである。愛称はアバビル(イスラム教では奇跡の鳥を意味する言葉)。


  • F-15IA

2020年3月に25機の購入と既存のF-15Iの内25機をアップグレードすることが決定した。


F-15SA以降のモデルはアドバンスドイーグルとも呼ばれ、フライ・バイ・ワイヤの採用により、封印されていた1/9番ハードポイント(先に解説した主翼外側パイロン)を復活させ、搭載力を上げており、空対空ミサイル最大16発というトチ狂った武装が可能になった。さらに空対空ミサイルに加えて誘導爆弾、小型滑空爆弾、巡航ミサイル、対レーダーミサイルのフル装備というもはや最終決戦仕様と言わんばかりの形態も披露している。しかも運動性も向上し、F-15QAはSu-27に迫る曲芸飛行を披露して世界を驚かせている。

さらにこれを、アメリカがF-15EXとして新規調達することが決定した。一度調達を終えた機体を20年ぶりに再調達するという異例の出来事になる。


航空自衛隊にもF-4の後継となる次期F-X計画にF-15FXの名称で提案されたが、最終申込ではメーカー側がF/A-18E/Fの方が採用される可能性が高いとして、自ら提案を辞退してしまった。この選定を最終的に制したのはご存じF-35である。


  • F-15EX EagleⅡ

ハードポイントを増設してAIM-120を16発搭載可能になり、全面コンソールの計器類は1枚の大型ディスプレイにまとめて表示される。このためコックピット内は様変わりしており、HUDとセンタースティック以外はさながらF-35のようである。

レーダーはAESAであるAN/APG82(V)1もしくはAN/APG-63(V)3に換装され、IRSTも外付けポッドながら搭載可能となり、更に電子戦装備が大幅に追加され、これらを最新のミッションコンピュータADCP2が制御する。

エンジンはF110-GE-129に換装されるほか、完全デジタルのフライバイワイヤが導入されることにより飛行性能も向上した。

米軍にはよくあることだが、もはや「F-15の形をした完全新型機」と言ってもいいほどであり、機体単価も第五世代に比肩するほどになった。

ただし「いくらF-35の補完とはいえ今更F-15導入するのはどうなのよ?」とアメリカ国内でも議論になり、結局72機で調達は打ち止めとなった。


関連タグ

戦闘機 攻撃機 戦闘爆撃機 第4.5世代ジェット戦闘機

アメリカ軍


エースコンバット エースコンバット6においてパッケージを飾り、ガルーダ隊所属の主人公であるタリズマンと彼の相棒であるシャムロック(マーカス・ランパート)の愛機として登場。

また、エースコンバットインフィニティにおいて通常仕様のほかにタリズマン仕様、シャムロック仕様、ガッツ仕様(アサルトホライゾン)のみならず、アイドルマスター如月千早のイラストが施された仕様(通称「ストライくっイーグル」)も登場する。

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