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P210

ぺーにいいちぜろ

P210は、SIG(現スイス・アームズ・ノイハウゼン:SAN)社が開発した自動拳銃。
目次 [非表示]

概要

第二次世界大戦後の1947年、スイスのSIG社はフランスのMle.1935をベースにオリジナルの拳銃を制作した。それがこのP210である。使用弾は7.65x21mmパラベラム弾と9×19mmルガー弾である。47年のものはSP47と呼ばれている。


製造は1949年から2005年まで行われ、それまでに数回改良がおこなわれた。

1999年にSIG社の50周年記念としてエングレーブとメダリオンの入ったモデルが製造された。

2012年にはSIG SAUER社が初期モデルとマガジンリリースボタンを追加した改良型を製造し、話題となった。現在では改良型が標準の「P210」として販売されている。

2020年にはさらに近代化改良が成されたSIG Sauer P210 Carryが発表された。


開発経緯

 1935年、フランスの銃器メーカー・SACM社は新型自動拳銃M1935Aをリリースした。これは同社のガンデザイナー、シャルル・ぺターが設計したもので、信頼性の高いブローニング系統のショートリコイル方式を採用した優秀な拳銃だった。この拳銃に興味を抱いたのが、フランスの隣国スイスであった。

 当時のヨーロッパ情勢はきな臭さを増していた。ベルサイユ条約を無視して強行に軍備を拡張、周辺諸国への領土的野心を隠さないドイツへの恐怖はスイス政府首脳部も感じており、早急に軍備を刷新し防備を固める必要があった。

 当時のスイス軍制式拳銃は1900年に採用されたルガー・ピストルだったが、この拳銃は非常に製造に手間がかかり、コストの高い製品であった。一刻も早い軍備増強のためには、より量産性に優れコストを抑えられる拳銃が必要だった。そこで1937年、スイスのSIG社はぺター技師が取得したM1935Aに関連する自動拳銃の製造権をSACM社より取得、ぺターのパテントをもとにした新型拳銃の開発を開始した。

 最初に、新型拳銃の弾薬として強力な9ミリ・パラベラムを使用することが決定された。しかし、もともと弱装の7.65ミリMASピストル弾を使用するようにデザインされたM1935Aの9ミリ・パラへのコンバート作業は非常に難しかった。複数の試作モデルが完成したのは第二次世界大戦直前の1944年であった。これら試作モデルには8連シングルカラム・マガジンのほかにも16連ダブルカラム・マガジンを装備する個体もあった。

 しかし大戦が終結したため、開発計画は一時的にスローダウンされた。1946年末にスイス陸軍がルガーに代わる新型拳銃のトライアルを開始すると、SIGは直ちに計画を再開させた。トライアルにはベルン造兵廠も名乗りを上げ、両者は激しく競り合ったが、ついに1949年にSIG社の新型拳銃はスイス軍制式拳銃として認められ、正式名称《9mm Pistole Modell 1949》、通称P49ピストルとして採用された。P49は民間市場に向けても販売され、このときつけられた名称が《P210》であった。


バリエーション

 民間市場にも販売されたこともあって、P210にはバリエーションが多い。公式にリリースされたP210シリーズは以下の通り。


 - P210-1:ウッドグリップ、固定サイトを装備、ブルーフィニッシュ

 - P210-2:1950年に追加。コンポジット・グリップ、パーカライズドフィニッシュ。基本的にはスイス軍制式のP49と同じ。

 - P210-3:P210-1およびP210-2にローデッド・チェンバー・インジケーター(薬室への装填状態を表示するための装置)が組み込まれたもの。法執行機関が主に採用した。個体数は少ない。

 - P210-4:1950年代、西ドイツ国境警備隊向けに納入されたモデル。ローデット・チェンバー・インジケーター装備、ランヤードリングは省かれている。

 - P210-5:競技用モデル。150mmおよび180mmの銃身、強化フレーム、ウッドグリップ、微調整可能な専用サイトを装備。トリガープルは1.5kgに調整されている。

 - P210-6:1950年代に開発された競技用モデル。120mm銃身を装備。仕上げはP210-2に準ずる。

 - P210-7:22LR専用モデル。

 - P210-8:コンバット・シューティング競技の流行にあわせ開発されたモデル。フレームは重い特製のものにされ、マガジンキャッチはトリガーガード基部に移動され、またセフティレバーも幅広の特製品にされている。50m離れて25mmのグルーピングを叩き出す精度を誇る。

 - P210-9 Legend:現行の最新バージョン。ナイトロン・コーティング、延長されたビーバーテイル、改良されたマニュアルセフティ、内蔵されたドロップセフティ、カスタム・ウッドグリップ装備。推薦小売価格は2199ドル。


 工作精度よく作られたP210シリーズは民間市場で大きな成功をおさめたが、軍用拳銃としては非常に高価で、約1500ドルという高値だった。ルガー・ピストルよりもコストダウンできたとはいえ、各国の制式拳銃と比較すればはるかに割高だった。そのためスイス軍は1975年にSIG SAUER P220を採用し、P210は26年の軍制式拳銃としての歴史に幕を下ろした。


スペック

全長215mm
重量1025g
銃身長120mm
装弾数8+1
口径9mmパラベラム、7.65mmパラベラム

関連タグ

P220 SG510

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