ニンゲンよ…
きみと であえて よかった
さらばだ
概要
フルネームは「Asgore Dreemurr(アズゴア・ドリーマー)」。
地下世界で暮らす魔物たちの王。
山羊のような風貌をした大男で、巨大な二本角に金の鬣、豪奢な鎧に大きな紫色のマントを羽織ったその姿は、いかにもファンタジー作品における魔王といったシルエットだが、その性格は非常に穏やかな紳士で、魔物たちからも慕われている。また、彼の顔立ちに既視感を覚えるプレイヤーも多い。
これまでの段階で集まる情報によれば、過去の出来事から「人間」全てを悪とみなしており、地下世界と地上を隔てる結界を破壊するために必要な7つのタマシイを求めているとされる。実際、これまで6人の人間のタマシイを手にし、最後の一つを、彼のもとを訪れた主人公と自身のタマシイと賭けて闘うことになる。しかしタマシイを求めるのとは裏腹に、闘う直前まで主人公の心境を案じ、やり残したことがないかと時間を与えたり「君に会えてよかった」と敬意を示したりとあくまで紳士的に接している。
いざ戦闘が始まると、マントの下から巨大な赤い三又槍を取り出し「みのがす」のコマンドを破壊してみせる演出がなされている。以降は顔を伏せて無言に徹し、火の玉の弾幕や槍による猛攻で主人公に襲いかかる。
余談だが、アズゴアは武器の三又槍を通常とは逆に持っている。実際に構えてみると分かるが、この握り方では石突が前になり穂先が自分へと向くことになる。勿論、画面配置の都合と考えることもできるが、弟子でもある槍の名手の事を考えると…
趣味はガーデニングとお茶。
自身の庭園でも育てている「Golden Flower(金色の花)」を使った紅茶を好んでいる。
魔王「Asgore」決戦曲
ラスボスらしい威厳と後述する事情からくる葛藤、物悲しさが伝わる曲となっている。
なお、前半はイントロである「Bergentrückung」とあるモンスターとの戦闘曲である「heart ache」、後半はゲームオーバー時に流れるBGM「determination」のアレンジがメインとなっている。この言葉の意味は前から順に「山で眠る王(歓喜の英雄)」、「心の痛み」、「ケツイ」(後ろ二つは日本語版タイトル)となるが…
以下、本編における重大なネタバレ。閲覧は自己責任でお願いします。
きんちょう しているね…?
だいじょうぶ…。
はいしゃさんに
いくようなものさ。
アズゴアの過去
トリエルとはかつて夫婦関係にあり、とても仲睦まじい間柄だった。
かつて人間とモンスターの間で戦争が起き、モンスター達が地下に追いやられた後、一人の息子を設ける。この息子こそフラウィの正体のアズリエルなのである。
それからしばらくした後、地上から落ちてきた一人の人間の子供を引き取り、血は繋がらずとも本当の家族同然に暮らしていた。
ある日、人間の子供が治る見込みのない重病にかかってしまい、どうする事もできないまま子供は息を引き取ってしまう。そして、悲しみのあまり人間のタマシイを吸収したアズリエルは強い力を手に入れ、人間の子供が亡くなる前に言っていた「地上の花を見たい」という願いを叶えるべく、地下世界と地上を隔てる結界を通過して地上へと赴く。
しかし、人間の子供の亡骸を抱いたアズリエルの姿を見た地上の人間達は、彼を「子供を殺したモンスター」と勘違いし、攻撃を加える。
人間達を皆殺しにできる力を持っているにもかかわらず一切反撃しなかったアズリエルは息も絶え絶えに地下世界へ逃げ延びるも、最後の最後に力尽きてしまう。
一度に二人の子供を失った悲しみと怒りから、アズゴアは地下世界に落ちてきた人間を殺害してタマシイを奪う方針を立て、集めたタマシイで結界を破壊しようと考える事となる。
ちなみに、戦闘後の本人のセリフおよびメタトンのセリフによると、最初にバリアを突破する宣言をした時は地上に出た暁に全ての人間を滅亡させる前提で話が進んでいたらしいのだが、P終了時に撤回し人間と和解することを選んだようである。
もともと彼は地上に出ようとする意欲がない人物で、それは地上に出ても人間に殺されるだけであると予想していたことによる。同じ考えを持っていたガーソンと同志の関係にあったものの、上記の一件で地上に出る方針へ切り替えたことで意見の相違から袂を分かっている。
また、トリエルもこの方針そのものに対して絶望されたことで決別され、彼の方針に真っ向から対立するかのように地上から落ちてきた人間を守る為いせきに移り住む事となった。この為、作中においてトリエルはアズゴアと再会しても終始冷たい態度を取るようになっている。
そして戦いの動機に関しても、事前に集めた情報とは異なり、本当は力など欲していない。誰も傷つける気も無かった。民達に希望を持ってほしかったと戦闘後に告白している。
実際、主人公が彼の元を訪れた際、来訪者がモンスターだと思いこんで遊び相手になろうとしたが、現れた主人公がモンスターではなく人間であったために、地底脱出という真剣な用事でここを訪れたのだろうと察し、そして念には念を押して確認のうえで戦闘に持ち込んだのである。
二人の子供が死んだ当時の民達の状況を考えると、アズゴアの政策はそれ以外に取りようがなかったと言える。民達は人間によって地下に封印され、人間が王の子供を殺したという、絶望的な状況に立たされており、そんな民を鼓舞し希望を持たせる為に表向きは人間を殺すと言うしかなかった事が想像できる。事実、その後に民に希望が戻ったと発言している。
さらにアンダインがトリエルを追いやり革命するEDでわかる通り、人間に友好的政策をとった結果モンスターが反乱を起こすという可能性は十分ある。二人そろって王位を剥奪されるか、最悪二人とも殺される可能性すらあったといえよう。アズゴアの性格的に、反乱を起こされても抵抗できるかすら怪しい。
だがそれと引き換えにトリエルは彼のもとを去るという、言ってしまえば国民をとるか、トリエルをとるかという状況にあったといえる。
まあ、前述のとおりトリエルを選べば二人とも……という可能性を考慮すれば実質一択だったかもしれない。
また、Pルートではトリエルから「民を解放したければタマシイ一つで結解を抜けて人間を殺し、タマシイを集めることができた」、「本当はもう人間が来なければいいと思っていた」と指摘される。
けれども彼がそれを実行していれば人間とモンスターの戦争を引き起こし、人間とモンスターの共存という結末には決してたどり着けなかっただろう。
ちなみに、トリエルと絶縁せず、民の怒りが爆発しないように7つのタマシイを集めるとなると
- 子どもを亡くした精神状態から速やかに立ち直り、絶望的状況の国民達に反乱されないように鼓舞する
- モンスターに敵意を持たず、地下に永住することを了承する人間が7人連続で来る
- またはどうにかタマシイを一つ手に入れた時点で地上に向かい、今にも死にそうな人間を探すか、見つかるか不明な残留タマシイを人間に見つからずに6つ集める
という天文学的確率を実現させる必要がある。
作中における登場人物の中でも何かと幸が薄い。
- 上記の悲惨な体験がきっかけでトリエルと離婚。しかし彼女の事を今でも忘れられずにいる
- Nルートで戦闘に勝利した後にみのがすコマンドが復活して停戦を促せるが、直後にフラウィの不意打ちを食らって結局死亡する。二周目でフラウィがおとなしくしている場合でも主人公を地上へ行かせる為、モンスター解放の希望を託す形で自殺し塵となってしまう。
……といったもの。
最善を尽くした彼に対するあまりの結末に、プレイヤーの間でも幸薄キャラとして扱われる事も珍しくない。Pルートに於いてはトリエルに終始冷たい態度を取られ、エンドロールでは一応、トリエルの活動を自分に出来る形でサポートする事は許され、彼女と和解しようと奮闘していると思われるシーンがある。
数々の不幸に見舞われながらも国民を守るために責務を全うした、地下世界の優しき王様なのである。
これがGルートではもっと悲惨なものとなる。
ふじみのアンダインを殺害した主人公への対策としてアルフィーから指示された「6つのタマシイを取り込む作戦」を決行し、地下世界の最後の砦になるはずであった。
しかし、サイアクなめにあわされる戦闘を乗り越えた主人公はもはや完全に人間とは言えない存在と化していた。
フラウィ(=実の息子)に涙まで流されて主人公の存在を警告されていたが、アズゴアが主人公に対して矛を構えるとすれば、上記N・Pルートにあるように「主人公を人間として認識する」ことが大前提としてあった。ところが、主人公の姿を見て「正体不明のモンスター」としか認識できなかった結果、モンスターならば警戒する必要のない相手だからという理由で友好的に接してしまい、戦意のなかった彼は文字通り問答無用で殺害されることになる。
パピルス同様、その優しさが仇にしかならなかったシーンであり、最後は保身をするしかなかったフラウィにタマシイを砕かれる結末を辿る。
Undertaleとは別世界であることが明言されているが、主人公の母親の夫として登場する。しかし、この世界でも彼女とはぎくしゃくした関係のようで、Chapter1時点では別居しており、自身が営んでいる花屋に住んでいる模様。しかし花を無料で配っていることもあってか収入はほとんど無いようで、家賃を滞納している旨が書かれたメモ用紙が落ちていたり、冷蔵庫の中にはピクルスしか入っていない等、中々貧しい生活を送っているようで相変わらず損な役回りである…
Chapter2では警察署にある掲示板を見ると過去に警察署長を勤めていたようだが何らかの理由で辞職した事が示唆されている。