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キュリクス

きゅりくす

『キュリクス』とは、酒器の一種。
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概要

古代ギリシャで用いられたの1つ。

現在はキュリクスを常用する風潮は廃れており、専ら先史遺跡からの出土品あるいは復元したものを愛でる学術的美術品としての利用が主である。

構成

ギリシャ南域のペロポネソス半島で興った古代文明ミケーネ文明』で生まれた土器酒杯の1つ。やがて文明の発展に伴う陶芸技術進歩に従って陶器に切り替わり、古代ギリシャ文明の衰亡期まで用いられた。

同系統の類似品にスキュポス(底深杯)、マストス円錐杯)、カンタロス(足高高台杯)、リュトン(角杯)があり、いずれも当初は土器本体の地色を活かした線刻技法「黒像式」を主流としていたが、陶器への変遷と共に焼成における釉薬の変色を活かした上絵付描線技法「赤像式」に切り替わって黒像式の欠点「線刻による耐久性の低下」「土器であるが故の重量と成形表現の限界」を克服した。

特徴

キュリクスの構造は、戦勝祝賀や歓談を目的とした饗宴『シンポシオン』での使用に特化した作りを取っている。

シンポシオンではワインの回し飲みが通例であった事から、それに用いられる酒器も概ね直径10~20cmの底深・長型を基本としていたが、「体を横たえたまま酒食を摂る」という作法に対応するべく底浅・平型の形状を採用しており、前者をと例えるならば後者はに近い。

また、底浅形状による容量確保の都合で他の4種に比べて直径20~30cmと大振りである事から片手では扱い辛く、

  • 左右の取っ手を両手で掴んで飲む
  • 左右の取っ手の片方を手で、片方を肩で支えて飲む
  • 左右の取っ手の片方を肩で、高台を手で支えて飲む

といった独特の用法を持つ。

絵付

外面部に様々な神話寓話、恵みを育む自然への礼賛、日々の営みなどを描き記すのは他の酒器と同様だが、皿に近い底浅・平型形状である点から内面部にも絵付を施せる特徴を逆手に取り、底面部に「トンド」と呼ばれる円形絵付を取り入れた。

トンドの大きさは様々であり、美術技法の進歩に伴って湾曲面に細密な平面図を描く高度な技術が欠かせなくなったため、いつからか陶工と専業絵付師がそれぞれの仕事を受け持つ分業体制を取るようになったが、やがてこのトンドがシンポシオンに用いるキュリクスの良し悪しを左右する重要な役目を担うようになった。

それと言うのも、時代を経るに連れて退廃的な風潮による性の乱れが顕著になり、上流階級の社交場でもあったシンポシオンも本来の目的から逸脱した男性のみの同性愛少年愛を求め体を交える、いわゆるハッテン場としての機能が主体となったためであり、今で言えば「ラーメンの底に見える『ありがとうございました』」よろしく、キュリクスに並々と注がれたワインを一口傾ける毎に性風景が描かれたトンドが露わになる、つまりは卑猥な隠し絵を楽しむ遊興の道具としての需要が高まったからである。

しかし、国力低下に端を発するシンポシオンの衰退と共にキュリクスやそれに付随する酒器は徐々に姿を消し、少なくとも西暦に入る前にはこれらの技法もろとも製法が途絶えたとされており、後の発掘調査で出土したキュリクスの大半が紀元前500年前後の製品である事からも裏付けられている。

関連リンク

GREEK VASES「酒杯」
Via della Gatta「キュリクス」

関連タグ

古代ギリシャ 美術品 土器 陶器
カップ
同性愛 少年愛

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