この作品は2011年8月より集英社スーパーダッシュ文庫より、2014年11月5巻よりダッシュエックス文庫で発売されている。山形石雄著、宮城絵。現5巻。
概要
ジャンルとしてはハイファンタジーであるが、ミステリー要素も含んでいる作品。執筆者である山形石雄氏はアニメ化された「戦う司書シリーズ」の著者であり、六花の勇者はこのライトノベルがすごいに2年連続でノミネートされている。
『スーパーダッシュ&ゴー!』で漫画版が連載されたことがあり、作画は戸流ケイが担当していた。
2015年夏アニメとして、MBS、TOKYO MX、AT-XおよびBS11で放送された。アニメーション製作はパッショーネ。
ちなみに読み方は「りっかのゆうしゃ」ではなく「ろっかのゆうしゃ」である。
あらすじ
闇の底から魔神が目覚めるとき、運命の神は六人の勇者を選び出し、世界を救う力を授ける。地上最強を自称する少年アドレットは、その六人、六花の勇者に選ばれ、魔神復活を阻止するため、戦いへ向かう。だが、約束の地に集った勇者は、なぜか七人いた。その直後、霧幻結界が作動し、七人全員が森に閉じ込められてしまう。七人のうち誰かひとりが敵であることに気づいた勇者たちは疑心暗鬼に陥る。そして、その嫌疑がまっさきにかかったのはアドレットだった―。
登場人物
六花の勇者
自称「地上最強の男」である18歳の少年。
幼少期、とある悲劇に襲われて以来、六花の勇者を目指す為修行に明け暮れる。ピエナ神前武闘会に無理やり乱入し、運命神に力を示した三ヶ月後、見事勇者に選ばれる。しかし勇者に選ばれた経緯がそれなので、卑劣戦士として名が広まってしまう。
師匠から受け継いだ様々な秘密道具を駆使して戦う。勇者の中では最も弱いと言われているが、推理力に長け、なおかつ運にも恵まれており、七人目の策略を暴くことに成功している。ことあるごとに「地上最強」を連呼するので、仲間からは呆れられている。
六花の紋章は右手の甲に宿っている。
フレミー・スピッドロウ(声:悠木碧)
凶魔と人間の間に生まれた少女。母が凶魔で父が人間。凶魔の証である角は自分で折っているらしく、外見上は普通の人間とほとんど変わりはない。
魔神に忠誠を誓い、六花の勇者候補を次々殺害し凶魔達に貢献していた。しかしチャモに挑み敗れ、凶魔から用済みとして殺されかける。なんとか生き延びた彼女は、自分を裏切った母含め凶魔に復讐を決意し、魔神を倒すことを目的とする。
<火薬>の聖者であり、銃弾や爆弾を自在に生み出す能力を持つ。凶魔であるのに勇者として選ばれた為、仲間からは七人目ではないかと疑われていた。が、アドレットは彼女のことを「本物」だと信じている。
六花の紋章は左手の甲。
ナッシェタニア・ルーイ・ピエナ・アウグストラ(声:日笠陽子)
ピエナ王国の第一王女にしてピエナ最強の剣士と謳われている少女。
動物を模したピエナ伝統の兜と鎧を身に着けている。彼女の装備は兎がモチーフ。世間知らずで自由奔放、かなりの悪戯好きであり、しばしばアドレットを困らせる。<刃>の聖者であり、虚空から白い刃を召喚する能力を持つ。アドレット曰く、リンゴの香りがするらしい。
六花の紋章は鎖骨の辺りにある。
ゴルドフ・アウオーラ(声:内山昂輝)
ピエナ王国軍黒角騎士団随一の騎士。
巨大な槍を用いて戦う。彼の装備は羊がモチーフである。実はナッシェタニアよりも強く、立場上の問題で、武闘大会では手加減してわざと彼女に負けていた。ナッシェタニアに絶対の忠誠を誓っている上、好意も抱いている。そのせいか彼女とアドレットが仲良く会話をしていると、嫉妬の念を見せる。ちなみにまだ16歳であり、精神面では未熟だと評されている。戦闘では巨体を活かした突進と近接戦を得意とする。
紋章は右肩。
独特の剣術を操る男。その正体は殺し屋。
自分のことを「面白おかしく暮らすために生まれてきた男」と称する享楽的な性格。勇者の使命である魔神討伐も、スリルと金銭が目的で予め報酬をくれるよう頼んでいる。鉈のような二本の剣が武器。頭脳、戦闘力ともに勇者の中でもトップクラスの実力を持っており、モーラからは「生身の人間であるはずなのに、神の力を借りる聖者よりも強い」と評価されている。猫が師匠のようで、猫の動きと口調を真似ている。「にゃあ」「~べ」が口癖。戦いが大好きで、強い者を見ると殺したくてたまらないくらいである。
紋章は左胸の心臓付近。
勇者の中で14歳という最年少の少女。
当代最強の<沼>の聖者だが、アドレットからは「俺の二番目だ」と言われる。性格は子供を絵に描いたようなわがままっぷりで、協調性が欠けている。<沼>の力で、体内に水棲の凶魔を飼う。凶魔を吐き出し、使役して戦うのがスタイルとなっている。
チャモの飼っている凶魔は従魔という。チャモは従魔をペットと呼び、非常に可愛がっているようで、従魔が危険に晒されると途端に泣きじゃくるほどである。なお、彼女が気絶すると吐き出された従魔は再び体内に吸い込まれる。テグネウによると、従魔はカーグイック派の凶魔らしい。
紋章は太ももにある。
聖者を治める万天神殿の神殿長。ガンナという夫に、シェニーラという娘を持つ既婚の女性。
<山>の聖者で、千里眼で山を見渡したり、山の精気を使った治療や、山彦で声を遠方に届ける能力を持つ。また、山の精気を栄養代わりに出来るので、山の中でのみ食事を摂る必要がない。生身の力も常人離れしており、拳で地面に大きなクレーターを作るほど。
年寄り臭い喋り方で、アドレットから年齢はどのくらいか気にされている。冷静で経験豊富だが、一度思い込むと修正が効かない頑固さが欠点。
紋章は背中の真ん中、肩甲骨の間のところに浮かんでいる。その為自分では紋章の花弁の様子を見ることが出来ない。
<鮮血>の聖者。
血液を操る能力があり、自身の血液を染み込ませたムチを操る他、血液操作による傷の治癒、血液を舐めた相手の情報を分析することが出来る。元々は<鮮血>の神殿で下働きをしていた孤児だったが、聖者を選ぶ儀式に参加していないのにも関わらず聖者に選ばれてしまった。
何の取り柄もないどんくさい少女で、すぐさま聖者を辞退しようとしたが、モーラに聖者を続けるよう言い渡される。性格は臆病そのもの。戦いになると言葉使いを荒げ、自らを奮い立たせる。
紋章はナッシェタニアとほぼ同じ位置にある。
その他
アドレットの師匠。人里離れた洞窟に住み、凶魔への対抗手段として、様々な武器・防具・道具などの発明に収まらず、剣術・武術・科学など幅広く研究をしているなど、非常に博識であり、凶魔の弱点などにも精通しているなど、謎の多い人物でもある。
凶魔退治の専門家として有名で国王などから命じられて弟子入りする者は多いが、あまりの修行の過酷さから、多くは数か月持たずに去っていったが、唯一修行をやり遂げた者はアドレットのみであった。
「塩」の神の力を持つ聖者。単純で直情的だが、裏表のない誠実な性格。戦闘能力も高く、凶魔を払う結界を作成したり、殴ったものを塩に変える力を有している。モーラの友人で神殿長代理を務めるなど、聖者の中では最も信頼されている。
ロロニアに言葉使いを荒げて自らを奮い立たせて教えたのもウィロンである。
アスレイ
「氷」の神の力を持つ聖者。聖者の中ではチャモに次ぐ実力者で、六花の勇者候補と言われていた。しかし、六花殺しをしていたフレミーに殺害されてしまう。
リウラ
「太陽」の神の力を持つ聖者。万天神殿の先代の長。天から熱線を放つ能力を持ち1人で10を超える城を落とすなど、当時最強の聖者と呼ばれていたが、現在は老齢の為、戦えない模様。
後に聖者となったチャモにより最強の聖者の異名を奪われることになる。
トウロウ・メイナス
「薬」の神の力を持つ聖者。世界を旅し救いを求めるものに分け隔てなく治療する聖人として有名でモーラからも尊敬されているが、ハンスと繋がりがあり依頼を仲介する代わりに、万天神殿に仇なす者を抹殺させるなど非情な面もある。
バトアル・レインホーク(声:宇垣秀成)
ピエナ王国王族親衛隊筆頭の老騎士。
鳥を模した鎧や兜を着用し、左手に装備している長い鉄鋼が特徴で、剣を武器とする。
アドレットの毒針をすべて掴み取るなど、王族親衛隊筆頭に恥じぬ実力を持つ。
神前舞踏会の準決勝でクアト・ガインと戦う予定だったが、アドレッドの乱入にめちゃくちゃされ、クアトと共闘して戦うが、アドレッドのトリッキーな攻撃と策の前に敗北。
クアトとの再戦時は右肩を痛めた為に敗北する。
クアト・ガイン(声:松田健一郎)
深緑の国トマソの傭兵団「赤熊傭兵団」に所属する大男。
熊のような獣の服装をしており、盾と木製の剣を武器とする。
アドレッドの毒針を剣で受け取めるなど、高い実力を持つ。
神前舞踏会の準決勝でバトアルと戦う予定だったが、アドレッドの乱入でめちゃくちゃされ、バトアルと共闘して戦うが、アドレッドのトリッキーな攻撃と策の前に敗北。
再戦時は僅差でバトアルに勝利したが、決勝でナッシェタニアに敗北した。
歴代の六花の勇者
フォルマー
700年前の六花の勇者。英雄王と呼ばれ、六花の勇者の中でリーダーを務めた。魔神の封印後、最強の凶魔である魔王ゾーフレアとの一騎打ちの末、相打ち、壮絶な最期を遂げた。
バーナ
700年前の六花の勇者で、弓聖と呼ばれる弓の使い手。魔神の封印後、後に魔神と凶魔との戦いを記した戦いの記録文書「バーナ戦記」を残した。
ハユハ・プレッシオ
300年前の六花の勇者。「時」の神の力を持つ聖者で、触れたものの時間を操る力と過去を見る力を持つ。歴代の聖者の中でも桁外れの実力者で魔神撃破の最大の立役者と言われているが、性格は気まぐれで自分勝手な行動で人格は好ましくなかったと伝えられている。
魔神の封印後、魔哭領に戻り、凶魔であるカーグイック、テグネウ、ドズーの三体と共に魔神の正体を調べていたが5年後に死亡する。
マーリィ
300年前の六花の勇者。「刃」の神の力を持つ聖者。魔神の封印後、戦いの記録文書を残している。
凶魔
1000年前に人類を破滅寸前に追い込んだ存在。十数メートルの泥の塊で全身から瘴毒を放ち体を切り分けて凶魔を産みだす。その力は当代最強の凶魔であるゾーフレアを遥かに超えるほどで、一輪の聖者以外では戦うこともできなかった。
一輪の聖者との死闘の末に敗れられ、封印された。
統率者
凶魔を率いる三体の統率者の一人で、凶魔全体の4割を掌握している。この世で最も強い力は「愛」が持論で、愛情を利用した策を好んで立てる。
非常に狡猾な策略家で、思考が極めて独特であり、挨拶を重視するなど、とらえどころがないが、自分以外の存在は道具と考え、人間を利用して奴隷として扱うのみならず、配下である凶魔ですら駒扱いし、死んでも気にせず、さらに部下の凶魔に人間とのハーフであるフレミーを産ませるなど、傲慢かつ非情な性格である。
そのため、同族を思いやるカーグイックと対立している。
凶魔を率いる三体の統率者の一人で、当代最強の凶魔と言われており、凶魔全体の6割を掌握している。銀の鬣と装甲を持つ二足歩行の獅子。
テグネウと対照的に策を使わず真っ向から戦うことを美徳とし、配下である凶魔を愛すべき子供と呼んで大切にするなど同属へ思いやる反面、人間は関わることも汚らわしい存在と考え、徹底的に見下しており、人間を利用し、同族さえも駒扱いするテグネウを激しく嫌悪している。
凶魔を率いる三体の統率者の一人で、柔かい毛並とつぶらな瞳を持つ犬。200年前に魔神から離反した反逆者でテグネウとカーグイックから敵視されている。口調は丁寧で礼儀正しいが、目的のためには手段も犠牲も問わない。
少数の配下とともに何かを企てているが、詳細は不明。
その他
700年前に凶魔たちを統率していた統率者。史上最強の凶魔と言われ、魔神に次ぐ存在として唯一「魔王」の称号を手に入れた凶魔。クジャクの羽根をもつ、鳥とも猫ともつかない不思議な姿で、バーナ戦記によると「生涯見た中でもっとも美しい存在」と書き残されている。
魔神の封印後、フォルマーと一騎打ちを行い相打ち、死亡した。
また、その配下の中にはテグネウらしき凶魔もいたという。
その他
「運命」の神の力を持つ聖者。
魔神と凶魔により世界が滅ぼされかけた時、突如現れた存在で最初の聖者。
魔神との死闘の末、打ち倒し、魔哭領に封印する事に成功、魔神復活の際に六花の紋章と六人の勇者「六花の勇者 」を選定する神殿を残し、人々に予言を言い残して去って行った。
用語
六花の勇者
運命の神に選ばれた六人の名称。蘇った魔神を再び封印することが彼らの使命である。選ばれた者には身体のどこかに六枚の花弁を持つ花の紋章が浮かび上がる。勇者が死ぬと紋章の花弁が欠け、仲間の生死が把握出来るようになっている。一輪の聖者が六つに分けた力を一つずつ受け継ぐので、選ばれるのは五人でも七人でもなく、必ず六人と決まっている。
凶魔
魔神の配下として生まれた生物。RPGでいうモンスターである。魔神の肉体から切り離された一種一系統の生物でありながら、千差万別の姿と能力を持つ。鳥、蝶、ナメクジ、狼など動物に似たものがほとんど。同じ姿の凶魔は存在しない。七割が動物並みの知能しかない下等生物。残る三割も、知能はあっても複雑な感情はない。人間を殺すことしか考えられない存在で、人間以外の動物は襲わない。凶魔は三体の統領に率いられており、命令一つで自殺するほど忠実。統領の名前はカーグイック、テグネウ、ドズーと呼ばれる。
聖者
神と一体化した、超人的な力を操る戦士。世界に78人存在する。1柱の神に対し1人の聖者が存在し、聖者が死ぬか力を返上すると他の人間が聖者に選ばれる。また、聖者は全員が女性である。凶魔にとって聖者の血は核を破壊する猛毒。
魔哭領
魔神が封印された地であり、凶魔たちの本拠地でもある。封印された魔神が放つ瘴毒で覆われ人間は凶魔に寄生されないと生きられない程危険な地帯だが、魔神を封印できる六花の勇者のみは六花の紋章があれば瘴毒を無効化できる。
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