概要
中華人民共和国の中国中車(CRRC)の子会社で製造された、世界最強の電気機関車。2020年7月29日に最初の車両が落成した。今後20編成分の製造が予定されている。
ベースとなった車両は同じく中国製のHXD1形電気機関車で、前面はライオンをモチーフにしたデザインに変更された。
スペック
6両で1編成を組成し、車体長は106mになる。動力軸の数は24。これはもう電気機関車ではなく、事業用電車と言ってよい。
出力は28,800kW、けん引力は2,280kNで、12‰の勾配で10,000tの貨物列車をけん引することができる。
日本の最強機関車EF200(2019年全廃)では、出力6,000kWのけん引力261kNなので、比べ物にならない。
またそれまで世界トップクラスだったスウェーデンのIORE形電気機関車でさえ出力10,800kWで、けん引力は1,200kN(短時間なら1,400kN)なので、こいつがどれほどの化け物なのかがわかる。
その上最高時速は120kmである。ドイツのユーロスプリンターにはかなり劣るが、貨物用電気機関車としては速い方である。ちなみに前述のEF200の設計最高時速は120kmだが、けん引力が小さいため、とにかく比べ物にならない。大事なことなので2回言いました。
ちなみにIORE形は鉄鉱石を運搬しながらスカンディナヴィア山脈を越えなければならない為に最高速度を犠牲にしてけん引力を重視しているので、最高速度は80km/hとヨーロッパは愚か現在現役の日本のどの電気機関車よりも遅い。(実際に列車を引っ張っての運転速度は貨車が満載の場合60km/hしかだせない。)
この他、
- 機器のモジュール化などによる安全性や信頼性の向上
- 速度調整の自動化
といった最新技術や、
といった環境対策技術など、16箇所の技術革新要素が見受けられる。
なお、EF200やIORE形は1つ〜2つ古い世代の機関車のため最新技術は備えず(とはいえEF200は1モーター1インバーターで機器の冗長化を図っているが)、EF200は油性塗料で塗装されており(IORE形は不明)、両者とも回生ブレーキを搭載しない(両者とも車上抵抗器を使った発電ブレーキを使用する)。
まさに中国恐るべしである。