概要
反転シャロウ氏による漫画作品。
2018年には電撃コミックスから書き下ろし込みの単行本が発売された。全3巻。各巻書き下ろしの詳細についてはリンク先参照
あらすじ
産みの母・若葉から橋の下に置き去りにされた赤ちゃん・ハル。
それを拾ったのは、派手な格好をした金髪JK、桃子だった。
「しけたツラしてんじゃねーって。せっかく生まれてきたんだからよ」
これは、我が子を捨てた女子高生と
それを拾った同級生、2人のお母さんの物語。
主な登場人物
- 桃子
「へへっ…アタシがハルを守ってやんなきゃな」
主人公。金髪ツインテールで派手な雰囲気の女子高生。見た目通りに明るく快活な性格。成り行きで赤ん坊を保護するが、「ハル」と名付けて愛情深く世話している。
現在は弟とハルとの三人暮らし。実は看護師志望で、卒業後は看護系の大学進学を考えている。
- 若葉
「……ありがと 拾って…くれて」
桃子のクラスメイト。黒髪ボブで眼鏡をかけた女子高生。
実はハルの母親だが、ある事情から彼を橋の下に置き去りにしてしまう。しかし彼への愛情は捨てきれていないようで、ハルの安否を気にしている素振りも見せる。
幼少期から母親との折り合いが悪く、心に深い影を落としていた。それをハルの父親となる人物に付け込まれ…。
- ハル
桃子が拾った赤ん坊の男の子。名前は桃子が「春のように明るい人生を送ってほしい」という思いで名付けたもの。生みの親である若葉も春生まれだからと「ハル」のつく名前を考えていたらしい。
- 楓
桃子の弟。長い前髪に隠れがちだが、整った顔立ちをしたイケメン。
行き当たりばったりな姉に呆れることもある反面、母親として頑張る彼女に協力している。
- ハルの父親
「名前? つける意味なんてありますか?」
「名前はこれから生きていく人間につけるものでしょう?」
ハルの父親で中盤までその正体は伏せられたままだった。
未成年の若葉と肉体関係を持つが、彼女に生まれた子どもを殺すよう指示したりと控えめに言っても人間のクズ。作中の発言では学校関係者と思われるが…?
その言動の畜生ぶりから、pixivでは正体が明かされる前からコメント欄・タグ内で読者に殺意を抱かせていた。
- 神崎
「僕の授業は君にとって子守歌代わりでしたかね?」
桃子と若葉の担任。銀髪センター分けでクールな雰囲気の男性。
何事にも厳しい性格だが、母親の墓参りに来ていた桃子と偶然会った時にはハルに優しく微笑むなど、意外な一面を見せる。
かつて桃子のように「“自分”を押し通そうとした」女生徒がいたと語るが…。
- 朝倉
神崎の同僚で化学教師。女子生徒から「結構イケメン」と評される顔立ちで、授業に教科書を忘れるなど天然気味なところがあるらしい。
ある時(ハルのベビー用品のために)学校に隠れてアルバイトをする桃子と出くわすが、気付いた上で「誰にでも秘密なんて一つや二つある」と大目に見ていた。
その後も優しげな様子で桃子に近付いてくる。
- ばーちゃん
桃子たちの近所に住む年配の女性。非常に子供好きで、桃子が学校でいない時には快くハルの子守りを引き受けてくれる。
- 橙子
桃子と楓の母親で故人。顔は描写されていないものの、金髪ショートヘアの女性。気の強い性格だが根は優しかったようで、今もなお娘たちに慕われる存在。
しかし夫とは早くに別れたのか、桃子たちは父親の顔を知らない。
ネタバレ
この先、物語の核心に関わるネタバレを含みます。ぜひコミックスや「JKと捨て子の赤ちゃん」読後に閲覧してください。
中盤ではハルの父親が朝倉だったことが判明。若葉との関係は現在進行形で続いているが、愛情があった訳ではなく、内向的な性格で人付き合いも苦手・親元を離れて一人暮らしだった彼女を「都合のいい存在」として見ていた。やはりクズ野郎。
若葉の妊娠・出産のための休学は「留学」として、理事長である父親にもみ消させていた様子。また、優しい顔の裏で自分の保身に回り、若葉にも性的暴行によるものだと言わせていた。
自分の指示通り若葉がハルを手にかけたと思いきや、桃子が拾って育てているのを目撃すると今度は桃子に接触。表向きは「ハルくんのため」と里親を探した体で桃子から引き離そうと目論み、自分の元に渡った時には再び手にかけようとする。
しかし、桃子が直接里親に引き渡すと言ったために計画は破綻。それでも諦めようとせずに若葉を利用してハルを連れ出させ、彼女もろとも橋から落とそうとするが…。
若葉がギリギリ落ちそうになっていたところを桃子と神崎が救出し、事なきを得る。また神崎は言い逃れをする朝倉を一喝、更に彼によって朝倉とその父親が隠蔽していた事実は明るみに出た。
その後は朝倉だけではなく若葉も罪に問われ、ハルと桃子も一時的に離れることに。桃子は特別に面会を許され、必ずハルを迎えに来ると約束した。
そして時は流れ…。
エピローグでは小学生に成長したハルと桃子が橋の下で遊んでいる様子が描かれる。そんな時にハルの帽子が風に流されてしまうが、それを見覚えのある黒髪の女性が拾って渡す。それにハルは明るくお礼を言い、自分の母親の元に戻った。
「ありがと 拾ってくれて!」
「ようやくツラ見せやがって…」
帽子を拾ってくれた女性に気付いた桃子は優しく微笑み、ハルにとって二人の母親が再会するのだった。
余談
最後は神崎と近所のおばあちゃんの会話から、桃子・楓の母親「橙子」と神崎がかつて仲の良い同級生だったことが明かされる。高校時代から十数年ぶりという話を鵜呑みにすると、神崎は若々しく見えて30代後半〜40代前半のようだ。
エピローグの桃子の電話から察するに、教頭に出世したようで、今も桃子たちのことを支えてくれている模様。
関連タグ
先生のやさしい殺し方 死ニカエリ:同じく反転シャロウ氏の作品。
チヨ・ザマ 聖戦士ダンバインの登場キャラで若葉の母親と共通点が多すぎる存在。もちろんマトモな意味ではない。