概要
地球、及び地球圏に属するコロニー群を支配している地球連邦が所有している軍隊である。
良く誤解されるがジオン公国率いるジオン軍が絶対悪で地球連邦軍が絶対的な正義の味方と言う簡単な話ではない。
また、機動戦士Ζガンダムで見られるエリート部隊のティターンズとそれに反抗するエゥーゴも、実はどちらもれっきとした地球連邦軍の派閥である。作中で軍事衝突をしているのは、ティターンズが「連邦をアースノイド中心とした地球至上主義であるべき」としているのに対し、エゥーゴは「連邦をアースノイドとスペースノイドが対等な立場におく組織とすべき」としている方針の違いからである。
地上軍と宇宙軍を有している。当初の保有戦力は、戦闘機や戦車、戦艦といった宇宙世紀元年以前より存在していた既存の兵器で、地球連邦の国力に見合った物量と軍事力で地球から独立したがるスペースノイドに睨みをきかしていた。
しかし、ジオン公国の台頭と新技術モビルスーツの軍事投入によって戦場に於ける優位性を脅かされる事になり、これに対抗する形でヨハン・イブラヒム・レビル将軍の発案した「V作戦」によって独自のモビルスーツの開発が進められ、以降は既存の兵器の発展型も開発しつつ、モビルスーツも戦力として組み込んでいく事になる。
一年戦争では何とかジオン公国軍との戦いを制すに至ったが、レビル将軍を始めとするハト派の軍人の多くが戦時中に失われ、更には敗戦後も現実を受け入れられずにいたジオン残党軍による度重なるテロも巻き起こった結果、その被害の回復は非常に困難となる。
更にはその隙を突く形で連邦軍のタカ派の軍人達が台頭していった結果、所属軍人の腐敗に歯止めが掛からない状況に立たされ、スペースノイドの不満を武力による過激な弾圧も厭わなくなった姿勢から、”地球連邦によるスペースノイドへの支配の象徴”とも言える存在として、宇宙移民の恨みを大いに買うことになった。
ただし地球圏総人口の八割がスペースノイドとなっている時代でもある為か、必然として連邦軍・連邦政府にもスペースノイドの数は多い。
そうした事情もあって、組織の中にはこの状況を嘆きなんとか改善しようとする有志もいたが、彼らの努力も結果的には地球連邦軍の内部分裂や軍閥化を招いてしまった。
エリート主義や差別主義、事なかれ主義が蔓延る地球連邦の性格を反映してか、年代が進むにつれて民衆への弾圧や宇宙移民への圧力増加などの愚行を繰り返すようになってゆく。
なお、スペースノイドに対する扱いは厳しい反面、軍内における男女差別はそれ程酷くは無く、優秀な能力を持つならば女性でも士官になれる事は勿論、モビルスーツのパイロットになる事も可能で、戦果を挙げればエースパイロットとして認知される事もある(逆に、男尊女卑の差別思想が強いジオン公国軍の場合は、余程優秀な能力を持たないか上官からのお墨付きでもない限り、士官やパイロットになる事は不可能に等しく、せいぜいオペレーターか整備班といった裏方止まりとなっている)。
地球連邦軍-一年戦争から始まる衰退
宇宙世紀0079年
ジオン公国の宣戦布告によって勃発した一年戦争の緒戦であるルウム戦役で大敗した地球連邦軍は、ジオン公国へ対抗すべく当事の連邦宇宙艦隊の提督であったレビル中将を大将へ昇進させて連邦軍最高指揮官へ抜擢。同時に有力な将校を集めて最高幕僚会議を形成してジオン公国の侵攻に対抗する。
後に一年戦争と呼ばれる人類史上初にして最大の宇宙戦争に勝利すべくMSの実用化に全ての国力を傾け、結果としてRX-78ガンダムとその量産型であるジム系統の開発に成功し、ジオンに対抗できる戦力整備を果たしたが、大戦末期のア・バオア・クーでの消耗戦とザビ家壊滅による両軍の継戦意志の喪失により停戦。しかし、多数のジオン残党(グラナダやサイド3の残存勢力、ア・バオア・クー戦を生き残った部隊、地上に取り残された部隊など)が復興した共和国の命令に従わずに逃走。戦後もそれらの残党勢力との消耗戦を余儀なくされた。
大戦に伴って発生した問題
1.人的リソースの問題
正規軍将校が初戦で消耗してしまったことと、開戦劈頭に発生したコロニーへの無差別攻撃によりジオンへの恨みを持つ遺族・生き残りが大量に志願した結果、質の悪い軍人や戦意と一体の怒り・憎悪に燃える兵士が多数登用されて非人道的な行為を励起させてしまった。
また、戦前より燻っていたスペースノイドに対する不満、もしくはスペースノイド間の対立がさらに増長し、その波に乗って戦時体制の状態を戦後も維持してしまったが為か様々な差別、癒着、事なかれ主義が発生、数えきれない死傷者、戦災孤児、傷痍軍人問題や士気の低下した部隊が脱走し野盗化など様々な問題が後の戦後最悪のテロのトリガーとなる。
ここまで来ると連邦軍のというより連邦政府内の問題で、その連邦政府にしても地球・コロニーともに荒廃しきった戦後世界では政府の行政能力も落ち、ジオンがコロニー潰しとコロニー落としをした時点で、最早どうしようもなくなっていたと言える。
2.軍備そのものの大改革
従来型の軍隊から新兵器であるMSを本格導入した体制移行を図ろうと企図するも、初期生産型のMS群の初期不良による苦戦、また多数の新型MSを並立して開発したことにより乱立した部品規格のために遅々としてその更新は進まず(ただしジムシリーズはジオンMSに比べれば整備性・互換性。稼働率はまだマシな部類)、また現存している機体も解体によるパーツ取りでの共喰い整備や規格も駆動もかなり異なるジオン系MSのパーツを無理矢理組み込んだりそもそも規格外部品を組み込んだ“キメラ”のような機体が多数残存したせいで大半のMSを規格統一のために廃棄・もしくは改修を余儀なくさせ、軍そのものの財政をひっ迫した。
結果として残存するジオン残党軍に対し、実戦部隊への高性能機の支給が間に合わず、完全な掃討に失敗した一因となっている。
3.国体自体の致命的な打撃
先述の通りこの戦争によるコロニー落とし等で地球上は激しく疲弊したため、連邦政府は戦後復興は地球優先の政策を実施せざるを得なくなり、荒廃した土地での行政効率は低下したままであった。
各コロニー群はそうした連邦政府の地球優先政策に対して感情をさらに悪化させ、他方で地球在住の人間は荒廃した故郷で荒んだ生活を送る人が増え、その元凶であるジオンやそれを生んだスペースノイドへの悪感情を増加させた。
スペースノイドの間でも虐殺・大量破壊の「元凶」であるジオンの本拠地サイド3が無傷で終戦を迎えたことは象徴的であり、また中立を保って戦禍から逃れたサイド6と壊滅したサイド1,2,4,5,7の生き残りとで生じた格差は最早埋めがたいものになっていた。
これらにより後々のアースノイド・スペースノイド間の対立が構築されていく結果となり、戦後からいわゆる宇宙戦国時代到来まで続く事になる。
宇宙世紀0080以降
- 終戦するも、戦時継続中
一年戦争終結後も、連邦軍は戦時体制のまま軍の再編成に着手し、0083年には“連邦軍再建計画”の一環として、アナハイムエレクトロニクス社に5種の高性能MS(GP00~GP04)を発注、併せて規格の乱立していたジム系MSの規格統一を試み、後期生産型ジムとほぼ同系機であるジム改を主力として採用するなど、MS中心の軍備を構築するための数多くの軍事政策を実施した。
しかしながら同年発生した“デラーズ紛争”により、豪州トリントン基地に地上試験の為配備された核搭載型MSであるガンダム試作2号機(GP02通称サイサリス)をジオン残党に奪取、その後強行された観艦式にて観閲、受閲艦隊双方に対し、核弾頭が使用されたうえに、北米にコロニーを投下された。
結果、終戦後のジオン残党の脅威が再確認される事になる。その不安の増長に便乗し、治安維持軍であるティターンズが発足してしまう。
- 内戦期の始まり
治安強化の為に発足したティターンズであったが次第に軍閥化し暴走、連邦政府の命令なしにバスク・オム大佐がサイド1・30バンチコロニー住民の反連邦デモに対し、化学兵器戦により1500万人以上を虐殺し、鎮圧。報道管制によって一般住民に事実は知らされることは無かったが、軍高級将校間の決裂は決定的となり、正規軍内に反ティターンズ派閥である、エゥーゴが結成される。後にティターンズの新型MS奪取に端を発する内戦状態(グリプス戦役)に突入すると、度重なる戦いで連邦政府の国体は混乱を窮める。
長期化する内戦、その隙間を出入りする旧ジオン残党勢力、それらは連邦の国体としての機能を損ない、最終的には改革派勢力として戦ったエゥーゴはその戦力をすり減らして主要な幹部を多数失ったことで組織的な戦闘力を失い、ティターンズはジオン残党最大勢力『アクシズ』との“理不尽な同盟”を締結していたこと(更に言えばおとなしく連邦に投降しても死刑台送りか出世なんて望めない僻地送りの二択になるとわかっていたため)でエゥーゴ戦によって壊滅したのち吸収され、事実上、この内戦は連邦両軍ブレックス・フォーラ、ジャミトフ・ハイマン二人の代表者を失い、勝利者の存在しない無意味な抗争として幕を閉じた。
- その後の衰退
グリプス戦役直後に開戦した第1次ネオ・ジオン抗争に於いて連邦軍は、その戦力を整備する事すらままならない状態で戦争に突入する。
主力機であるジムⅢはエゥーゴの地上支援組織であるカラバの協力でようやく戦力化・生産に成功するものの、その総生産機数は800機程度とジム系としては少数という結果となった。また、連邦自体も各種の新鋭機の開発を進め配備していたものの、アクシズがティターンズ残党を吸収、改名して誕生したネオ・ジオンとの戦闘に割ける兵力は同時期に発生したぺズン教導団による“ぺズンの反乱”事件などの混乱により非常に少なく、実質正面からネオ・ジオンに戦いを挑んでいるのはエゥーゴ/カラバの残存戦力のみというお寒い状況であった。この時点でネオ・ジオンへの抵抗は既に絶望的だったと言える。
更にペズンの反乱を起こしたニューディサイズは、ネオ・ジオンと協力関係にあった為か、一部の構成員はネオ・ジオンに加わるというティターンズの二の舞になる有様であった。そんな状況下にもかかわらず、連邦上層部は戦争終結の為とはいえ、ネオ・ジオン国家樹立を認める契約書にサインする寸前までこぎつけられるという致命的なミスまでも犯してしまう。かろうじてネオ・ジオンの内部分裂による自滅で契約は破棄され事なきことを得たが、もしそれが起きなかった場合のちに起きることとなる宇宙戦国時代が早まる可能性があったといえる。(ペズンの反乱の件に関してもエアーズ市が仮に月面都市国家として自立に成功していたら同様の可能性があった。)
その後第2次ネオ・ジオン抗争(シャアの叛乱)、第3次ネオ・ジオン抗争(ラプラス事変)が立て続けに起こり消耗・弱体化。幸いその後三十年ほどは平和な時期を迎え、予算削減を兼ねた軍縮も進んだ。
また、火星におけるジオン残党の討伐やフロンティア4制圧事件勃発時にはまだ反乱勢力に対する組織的な行動を行うだけの統制を残していた。
しかし、その後の木星戦役を経た宇宙世紀0140年代に各コロニーが事実上独立し始め、抗争を繰り広げている“宇宙戦国時代”と称される混乱期に突入する。この時代はアースノイド対スペースノイドの対立軸は事実上終焉しており各紛争に連邦が介入することを求められていた時代だが、なぜか連邦政府は無関心を決め込んでいる。
それもそのはずで、この時代の連邦政府はすでに大幅な軍縮の実行段階に入っており、連邦軍の内部編制もすでに行われていた。そのため紛争を止めることのできる指導者が軍内に存在しなかったのである。その上各コロニー政府の抗力が増加し一触即発の状態にまで発展したため、軍を動かすにも動かせない状況となっていた。
そもそも、この時代において各コロニー同士で起こった問題に関して、連邦政府や連邦軍が介入しなければならないという話自体が、連邦側からすれば「筋違いな事」であったとも言える。コロニーの自治権やスペースノイドの独立が実質的に認められた以上は、何らかの問題が発生したのであればスペースノイド達が自分達で解決しなければならないのは至極当然の話でしかなく、既に「完全な外部勢力」となっていた地球連邦側があれこれと口出しをしなければならない義務性など全く無かった(それどころか、連邦の介入を望まない一部のコロニー勢力からは「国際問題」として連邦が糾弾される可能性さえもある)。加えて、連邦側には連邦政府や連邦軍の立て直し、そして地球環境の再生計画といった一年戦争を始めとする度重なる反連邦活動が原因で発生した山程の問題を解決しなければならず、自治権の認められたコロニー間で起きた問題などにかまけている余裕などあるはずが無かったのである。
連邦側からしてみれば、「長年の間、スペースノイド達が連邦の介入を突っぱねて自治や独立を求めて反連邦運動を度々起こした挙句に、大規模な戦争やテロまで散々起こしていながら、いざ自治と独立を認められてそれがうまく立ち行かなくなったら連邦に介入してもらおう」というスペースノイド側の要求など、「身勝手」以外の何物でも無かったと言えるだろう。
スペースノイド達は、「自分達が地球連邦の支配下にあった」という被害者意識の強さから長年連邦に反発し続けていた。だが、「同時に自分達が弾圧されながらも地球連邦の庇護下にもあった」という意識やコロニー間の治安維持の困難さへの認識は薄く、また歴史の中で次第に「コロニーの独立や自治」よりも「アースノイド及び地球連邦の粛清」を重要視していくようになった結果、「いざコロニーの自治と独立が認められた後に、自分達でどうやっていくのか?」といった見通しに関して、非常に甘くなっていたのである。
そんな中でレジスタンスと一部の部隊がコロニー独裁政権の制圧と紛争阻止のために独自で動いたことにより、現在の連邦には独立を止める力が残されていないことが露呈する事となる。
そのことによって各コロニーの独立運動が激化しただけでなく、現状維持を推進する政府側と武力行使で戦国時代を終結させようとする軍側との亀裂が発生することとなったのである。その影響なのかクーデターを取り締まる口実での恐怖政治を行うといったケースが発生してしまい、守る立場であるはずの市民を危険にさらす事態が起きている。
そして内部分裂寸前となった0200年代では内部組織が連邦の改革を目的にしたクーデター事件が起きることとなる。しかし疎んじた連邦軍と水面下で結託した反政府組織によってクーデターは失敗した。
- 地球連邦の瓦解と分裂
このように弱体化と同時に内部分裂寸前となった地球連邦だが、最終的には宇宙世紀0217年に連邦軍が各サイドへと侵攻し、武力で強引に宇宙戦国時代を終結させるという手段に出ることとなる。
それが引き金となり、サイド自治政府の激しい反発を招いた末に翌年の宇宙世紀0218年には内部分裂が決定的となってしまう。同年に親地球派サイドの介入によって宇宙戦国時代自体は終結するものの、もはや地球連邦としての組織維持は不可能となっていた。こうして地球連邦は解体・消滅し、コロニー改めセツルメント連合側に主導権が移ることとなる。
地球各国による地球政府は親地球派側ということもあって残されたものの縮小・改組をされ親地球派のサイドと共にセツルメント国家議会となり、連邦軍は解体される事なく国家と国民を侵略の脅威・災害から守るためと言う理由でセツルメント国家議会軍として半ば強引に再編されて組み込まれている。高級士官などは内部告発されたものの多くの連邦軍人が議会軍に入り込んでいる等再編はかなりスムーズに進んだ。
これ以降はセツルメント連合が連邦に代わって指導権を握ることとなるが、それに反する組織(セツルメント自由同盟)が現れ、地球圏の混乱は続くこととなる。
さらに時を経て、宇宙世紀に続いて訪れた時代のひとつであるガイア・センチュリーでは、度重なった戦乱などから地球圏が復興するのに合わせて連邦軍も再結成されている。この時代でもセツルメント連合は存在しているが、連邦軍の後ろ盾ポジションとして収まっているようである。
組織構成
・最高幕僚会議
各派閥を形成するほどの有力将校で結成された最高決定機関。しかし自己保身に走る者や密かに野望を持つ者などが上層部に食い込んでいるため内部は腐敗しており、レビル自身がジャブローのモグラどもと揶揄している。
レビル大将・ゴップ大将・エルラン中将・グリーン・ワイアット中将・ジーン・コリニー中将
ジョン・コーウェン少将・ブレックス・フォーラ准将・ジャミトフ・ハイマン大将
・宇宙軍
提督 ティアンム中将
第13独立戦隊 ブライト・ノア中尉(後、ロンド・ベル指揮官に就任) 同隊 アムロ・レイ少尉
第16独立戦隊
・地上軍
極東方面軍独立機械化混成連隊 イーサン・ライヤー大佐 同第08小隊 シロー・アマダ少尉
第136連隊所属 マチルダ・アジャン中尉
欧州方面軍第44機械化混成連隊(後に独立混成第44旅団) ミケーレ・コレマッタ少佐
・特殊部隊
地球連邦軍第11独立機械化混成部隊 ユウ・カジマ少尉
スレイヴ・レイス(第20機械化混成部隊) トラヴィス・カークランド中尉
特殊部隊シャドウズ カイン・ラグナード大尉
主要戦力
・宇宙軍
・地上軍
ビッグ・トレー・ミディア・陸戦型ガンダム・陸戦型ジム・ジム・ストライカー・61式戦車・フライマンタ・トリアーエズ
・地上軍・宇宙軍共通
ジム・ジム改・ジム・コマンド・ジムキャノン・ガンキャノン・量産型ガンキャノン・セイバーフィッシュ
特殊兵器群
宇宙世紀0087/0088年
主要戦力
ガルダ級
宇宙世紀0093年
主要戦力
クラップ級
宇宙世紀0096年
主要戦力
クラップ級
宇宙世紀0123年
主要戦力
クラップ級
宇宙世紀0153年
主要戦力
クラップ級