概要
CV:石田彰
生年月日:2000年9月13日(15歳)
データ上の生年月日はセカンドインパクトと同日、全経歴抹消済み。
アッシュグレイの髪と赤い瞳を持つ、柔和な微笑みの色白な美少年。
マイペースな性格で、哲学的な発言が多い。一人称は「僕」。
碇シンジに対し優しく接し、特別な好意を寄せる。異性を異性として意識していない描写が多くみられる。プラグスーツは紫掛かった青とグレーが基調。
キャラクターデザイン
少年ならではの艶っぽさがあり、細身だが骨格はしっかりしている。シンジより顔は小さめで体が大きいが華奢。都会的でお洒落。使徒が接近してきた人間の、集大成の様なデザインで、どこかしら似ている。
制服は第壱中学の物で、片ポケットで半袖のシャツにオレンジの下着を着て開襟し、グレーの学生ズボンの裾をハイカットのスニーカーの中に入れて穿いてそのポケットに両手を突っ込んでいることが多い(心理学的描写)。
TVシリーズ版・貞本漫画版・新劇場版で設定は異なるが、仲間を失い傷ついた碇シンジの前に現れ、彼と友情を結ぶも、セントラルドグマでの戦いによって死亡する流れは共通している。
各媒体の設定の違いから、ファンの間では、TV版のカヲルを「庵(庵カヲ)」、貞本漫画版を「貞(貞カヲ)」、新劇場版を「新(新カヲ)」、中でも3作目『Q』の彼を指して「Q(Qカヲ)」等と呼称されている。
主なメディアミックス
TVシリーズ・旧劇場版
TV版の登場は実質24話のみ。劇場版は「シト新生」及び、26話「まごころを、君に」。
初期構想ではこれより早く登場する予定だったらしい。
基本的に人間のことをよく分かっている。世界が終ってしまったかの様に荒廃した風景の中でシンジと出会い、交流を深める。綾波と自らが似ていることを指摘する。
精神を病んだアスカに代わり、フィフスチルドレンとしてEVA弐号機に搭乗する。
その正体はゼーレの派遣した「最後のシ者」、第17使徒・自由意思を司る天使タブリスであった。
シンジと友情を結ぶも束の間、カヲルは本来の役目を果たすべく、セントラルドグマの白い巨人・アダムとの接触を試みる。しかしそこにいるのがリリスだと悟ると、「君達には未来が必要だ」とシンジに告げ、シンジの手で死ぬことを選ぶ。
その後、劇場版25話「Air」ではカヲルをダミープラグのベースとしたEVA量産機が登場。
続く26話「まごころを、君に」にてリリスと同化し巨大化した綾波レイと一体となって現われ、恐怖で震えるシンジは心を鎮め、シンジの内面世界で会話をしていた。
貞本漫画版
本編漫画版著者/キャラクターデザイン担当の貞本義行が「子供っぽいキャラクター」としてデザインした経緯があった為、その面影がある。
基本的に人間の事がよく分かっていない。好奇心旺盛、好戦的で男の子らしい性格。
親のいない子猫を「徐々に飢え死ぬよりは良い」と絞め殺したのは本当に猫を想ってのこと。
初登場は7巻。本格的な登場期間は9〜11巻で、9巻の冒頭でシンジと出会う。命と引き換えに使徒を倒したレイの行動を蔑みシンジに「前歯を折ってやる」と殴られそうになったりと過程は全く異なるが、最終的にはTV版と同じ結末を辿る。
アルミサエル戦でレイがシンジに抱いていた想いが流れ込んで、初めて恋心を知り涙が流れ、「好き」という感情への興味が芽生えた結果、10巻で過呼吸になったシンジに人工呼吸にかこつけてキスを施す展開は各方面に衝撃を与えた。
第12使徒・タブリスとしてシンジと対峙した際に、自分を思っているという証を欲して直接シンジの手で死ぬ道を選び、両手で祈るように握られ亡くなった。
新劇場版
『序』『破』の両方で顔見せし、『Q』でシンジと出会う。
しかし、『序』と『破』それぞれのラストでは、まだ面識が無い筈のシンジに向けて「また3番目とはね。変わらないな君は」「今度こそ君だけは幸せにしてみせるよ」と発言するなど、TV版、旧劇場版に登場したカヲルと同一人物なのではないかと思わせる描写がある。
『序』ではキャラクターデザイン貞本義行が原画を描いた為、髪形や雰囲気が漫画版に近い。 『破』ではMark.6でカシウスの槍を投げ、疑似シン化形態となってサードインパクトを起こそうとしているEVA初号機を止めようとした。
『Q』での挙動
綾波レイのMark.9に連れられネルフ本部に戻ってきたシンジの前に現れる。碇ゲンドウはシンジに「その少年と共にエヴァ13号機に乗れ」とだけ伝える(ちなみに第13号機はダブルエントリーシステム)。
孤立するシンジに声をかけてピアノを共に連弾したり、故障したS-DATを直してあげたり、彼に誘われて一緒に寝転がって星を見たり、脆い階段で手を差し伸べたりと友情を深めていく。
ピアノ連弾では、二度目以降カヲルの足が椅子の高さに合っていない事から、カヲルがシンジの背丈に合わせて椅子を調節したことが伺える。
またTV版と違い、「僕は君に会うために生まれてきたんだね」と断言している(TV版は「生まれてきたのかもしれない」)。
シンジには基本的に優しく接するが、真実を知りたがる彼に対して『破』ラストで彼がレイを救うために覚醒した事によって起きた『ニアサードインパクト』による惨状を「どうしようもない君の過去」とも伝える。その上で、「贖罪」し「希望」を見つける方へシンジを促している。
レイを助けられていなかった事を冬月コウゾウに告げられて絶望したシンジに、「セントラルドグマにある2つの槍を手に入れれば世界を修復できる」と希望を教える。またその際に彼に付けられていたDSSチョーカー(≠首輪爆弾)を「元々これは僕を恐れたリリン(旧作における人間)が作ったものだからね」と自らの首に付け替えている。
完成した第13号機でセントラルドグマに降下した際、リリスとMark.6に刺さっていた槍が、2つともロンギヌスの槍である事を怪しんだカヲルは、TV版にはなかった動揺を見せる。だが既に機体のコントロールは彼から奪い取られており、シンジはカヲルやアスカによる必死の制止も虚しく、ゲンドウの目論見通りに槍を抜いてしまう。
カヲルは「まさか第1使徒の僕が13番目の使徒に堕とされるとは…始まりと終わりは同じという訳か」という言葉を漏らし(詳しくは不明)、自身がフォースインパクトのトリガーであると認識していた事からこれを食い止めるため、モニター画面越しにしがみつくシンジの目前で、首のDSSチョーカーが爆発し死亡。
その命をもって世界の崩壊を阻止した。
特筆事項として『Q』のカヲルは、他メディアと違い、一貫してシンジの味方であり、彼の気持ちを裏切っていない。
また『序』の段階から庵野秀明により新劇場版の設定や役割などについてのレクチャーをキャスト陣で唯一受けているという石田彰は、『Q』収録後のインタビューでカヲルについて
「前のサイクルとは違う筈なのに、何度やってもやはり同じ轍を踏んでしまう。それでも線路のポイントを違うところに切り替えてみたい。大きなものの流れに対して、なんとかあがいてみたいという想いがあって、生き残るべきシンジの身代わりになっていくんでしょうね」
と語っている。
よってカヲルは記憶を保持したまま、幾度も世界をループしていると解釈する事も可能である。
『Q』でもMark.6に乗るかと思われたが、これは『破』と『Q』の間にセントラルドグマで槍に貫かれており、実物を見ても「リリンに自立型に改良されて利用された機体の成れの果て」とあまり興味がなさそうであった。
その他のメディアミックス
『新世紀エヴァンゲリオン2』
条件が揃えば仲間になる。ディラックの海に飲み込まれたEVA4号機を呼び出して参戦。量産機との戦いではレイが戦線離脱するため、EVA参号機の鈴原トウジともども貴重な戦力になる。
個別シーンでは、叶うならば将来の夢はメイクアップアーティストだとシンジに告白している。
『スーパーロボット大戦』シリーズ
初登場の『F完結編』における役割はTV版とほぼ同じであり、隠しバッドエンドのラスボスとして参号機に搭乗するが空中には攻撃不可能なため弱い。『新機動戦記ガンダムW』のカトル・ラバーバ・ウィナーの戦死や初号機の暴走などが条件。
『α』『MX』では再起不能になったアスカの代わりに弐号機を操ってセントラルドグマにてシンジ達と対峙するが、敵がカヲル1人しか居ないため実質イベントバトルとなっている。
『第3次α』ではエヴァ最終シナリオで登場。初号機のコピーと量産機を用いて多元次元補完計画を進めるゲンドウに立ち向かうシンジ達に助力。レイの代わりにEVA零号機を借りて1話ゲストで使える(合体攻撃は使用不可)。ラスボス戦では今まで死亡したキャラが主人公達を激励するイベントがあるが、カヲルもシンジを激励してくれる。また『MX』の出来事を知っている節がある。
『L』では新劇場版からの参戦だが、原作再現が『序』と『破』前半までで終了したためイベントキャラ。本格登場は今後の参戦が待たれる。
エピソード・逸話
名前
姓は偏と旁を分けると「シ者」、すなわち使者(→使徒)であり死者。
名前は「オワリ」を五十音順で1字後にずらしたものから「カヲル」。
姓と合わせると「シ者オワリ」→「渚カヲル」となる言葉遊びとなっている。
人気
甘い声とルックス、シンジとの同性愛描写などによって、特に女性からの人気が非常に高い。
TVシリーズでの実質的な登場は第24話のみながら、キャラクターグッズ、フィギュアなどの商品化も昔から多く、栗山千明や沢尻エリカは「理想の男性」として名を挙げるなど有名人のファンも多い。
またパチンコやパチスロでは登場した瞬間に大当り(ボーナス)が確定する鉄板(プレミアム)キャラとなっているため、ギャンブラーからの支持も厚い。
パチンコ用の描き下ろし演出に「第6の使徒VS渚カヲル&四号機」等がある。
量産機
EVA量産機はカヲルのダミープラグで稼働するため、旧劇場版公開時に発売された量産機のフィギュアは雑誌で「カヲル君の魂、入ってます!」などのコピーが付けられ女性ファンの購買欲を煽るものになっていた。
なお量産機の声はEVA初号機の声を林原めぐみが担当しているのと同様石田彰が担当している。
幻の24話
TVシリーズ24話の脚本を担当した薩川昭夫による初期稿が、1996年発行の現在でいうBL誌「別冊JUNE」6月号に掲載されており、「幻の24話」として現在も読むことができる。
没となった初期稿(第1稿、第2稿)では、カヲルが転校生として女生徒にからの気を博し「カヲル様」と呼ばれる・ピアノを弾く・水兵服を着る・自傷癖(手首に幾筋もの傷)がある等の描写が登場する。
またト書きには「ぞっとするような美貌の持ち主」といった容姿についての描写がある。
リンク
niconico動画 【公式】新世紀エヴァンゲリオン-幻の24話 第1稿
文章 新世紀エヴァンゲリオン 第弐拾四話「最後のシ者」(第弐稿)
関連イラスト
関連タグ
作品
新世紀エヴァンゲリオン ヱヴァンゲリヲン新劇場版 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
個別タグ
機体
EVA弐号機 EVA量産機 EVA4号機 エヴァンゲリオンMark.6 エヴァンゲリオン第13号機
グループタグ
カヲシン シンカヲ カヲアス/LAK カヲレイ/LRK カヲルトリオ
その他関連タグ