419系とは、JR西日本の北陸本線において運用される近郊形電車である。本項目ではほぼ同様の経緯・構造を持つかつてJR東日本・JR九州で活躍していた近郊形電車である715系についても併せて説明する。
なお、形式名の違いは419系が直流・交流両用、715系が交流専用車両であることによる。
魔改造
419系・715系は、583系特急形電車を改造した車両である。583系は日本初(及び世界初)の昼夜兼用特急形電車であったが、新幹線延伸に伴い、夜行列車の需要が減少。編成が有り余っていた。
一方、東北本線・北陸本線・長崎本線といった地方幹線においては旧型客車による列車が運行されていたが車両の老朽化や運用効率化、都市近郊での増発のため電車化が求められていた。だが当時の日本国有鉄道(国鉄)は巨額の赤字に圧迫され、純粋な新製車両の投入には限界があった。
この結果、特急形車両を近郊形車両に改造するという驚異の計画が実行に移された。おそらく日本鉄道史上有数の魔改造だろう。
主な改造
扉の増設
種車は扉が折り戸が一つだったが、改造時に後ろに一つ折り戸が追加された。が、近郊車としては前例がないほど狭く幅はわずか700mmである。
戸閉回路の変更
これにより、全ての運転台から扉を操作できるようになった。
一部窓を開閉可能に
種車は開閉不可能であったが、片側3枚を4分割ユニット窓にして、混雑時の換気の面を良くした。なぜ片側3枚のみかというと、元々冷房が付いていたから。
中間車に運転台を増設
種車の中間車の妻面を片側撤去。運転台を溶接し、中間車を改造。しかし、妻面が切妻のまま、元から屋根が高いこともあって、あの食パン列車の異名が付いた。
今は・・・。
基本的に十数年程度間に合わせればよいという構想下での改造であり、ドアの狭さ等から運用に難があったこともあって、現在はJR東日本とJR九州では運用から撤退。JR九州においては581系に戻されて静態保存されている車両もいる。だが、あそこは違った。車両に延命工事を行い、いまだ元気に走っている。…ものの、さすがに後継車両(521系)が登場したこともあり、そう遠くない時期に引退となる可能性がある。
関連イラスト
そしてこの食パン顔である