こうやとは、南海電気鉄道の有料特急列車の一つで、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」のひとつ、高野山へのアクセス列車の代名詞でもある。
高野線系統で、難波~極楽橋間を結ぶ。
また、ここでは「こうや」と同じ高野線系統の有料特急列車「りんかん」についても説明する。
(こうや)どんな列車か
こうやは、全席座席指定で、使用される車両は1編成につき4連。高野線橋本~極楽橋間は急カーブや急勾配が多いため、1両あたり17m程度に抑えられており、難波~極楽橋間のロングラン運転をする「大運転」が可能な一般車の「ズームカー」同様、20m級車がゴロゴロ走っている南海の中では異質な存在。普段は4連だが、春や秋などの行楽シーズンには2編成を連結した8連での運転となる。
(こうや)使用車両
30000系
特急形ズームカーなので、愛称は「デラックスズームカー」。
前面は非貫通型で、窓が大きいため、運転台のすぐ後ろからの眺望に優れている。カラーリングは赤と白を基調としており、ポ○モンのラテ○○スを連想させる。
先述のとおり、橋本~極楽橋間は、急カーブ、急こう配、単線と路線環境がものすごく悪いので、対応できるように、1両あたり17m程度の中型車体(南海の標準車体は20m級の大型車体)オールM車、加速度約3.1km/h/s(ズームカー以外は2.5km/h/s)とミニマムながら高性能。
現在4両2編成が在籍。
31000系
通勤ズームカーこと22000系の足回りを流用し、車体を11000系に似せて作った貫通型の車両。4両1編成のみの在籍。11000系との違いは、特急列車の愛称を表示する幕の位置と車体長。
11000系は、正面から見て左側の窓上に方向幕がビルトインされているが、31000系は、貫通扉の上に方向幕がある。
また、31000系は、30000系に合わせてあるのに対し、11000系は、南海の標準車体規格に合わせ、1両あたり20m級の大型車体となっている。
りんかん
「こうや」と同じ高野線系統の有料特急列車。
専用車両に11000系があり、この車両は橋本以遠での運転が不可能なため、また、行楽・参詣客輸送重視の「こうや」と異なり、河内長野や橋本近辺に住む通勤客をターゲットにしているため、運転区間は難波~橋本間となっている。朝夕のみの運用。8連運転が多いが、「サザン」とは異なり、一般車を連結しない。
(りんかん)使用車両
30000系・31000系は「こうや」対応なだけであって、「りんかん」でも問題なく使用できる。
11000系
「りんかん」専用車両。4両1編成のみの在籍。基本的には「サザン」専用の10000系をベースにしているが、前面デザインが大幅に変更されており、側窓も連窓のみとなった。
車両は、1両あたり20mの大型車体のため、小回りが利かず、橋本~極楽橋間には入線できない。
定期検査
南海高野線の特急は、基本的に上記の4編成とも運用されて、予備車がない状態である。毎年冬季に1編成が全般・重要部検査を行ってその期間は運休や両数変更を行う。また、突発的なことで特急型車両が使用できない場合、通勤型車両による自由席特急の運用になる場合がある。
「紀伊山地の霊場と参詣道」へのアクセス列車
「紀伊山地の霊場と参詣道」は、高野山、熊野古道、熊野速玉大社などの熊野古道をはじめ、紀伊山地に点在する寺院などを総合した世界遺産で、文化遺産に分類される。
「紀伊山地の霊場と参詣道」へのアクセス列車としては、JR西日本の「くろしお」や「オーシャンアロー」もあるが、こちらは熊野古道や熊野速玉大社へのアクセスが中心で、「こうや」は昔から高野山へのアクセスを主眼に置いてきた。なので、どちらがアクセスに適しているだとか、そういう類の比較は不可能である。