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射出座席の編集履歴

2015-07-27 21:08:27 バージョン

射出座席

おめがいれぶんのとも

射出座席とは、航空機の脱出装置である。

概要

仕組み

航空機の機体に異常が発生した際に、乗員を脱出させるための脱出装置の一つ。

ロケットエンジン圧縮空気などにより座席ごと乗員を機外に排出する。

脱出後は座席は切り離され、パラシュートで降下する。


歴史と必要性

かつて航空機の速度が(比較的)低速だった時代は脱出用パラシュートを積んでおき、事故や被撃墜時にはパラシュートを背負ってそのまま脱出するというスタイルだったが、航空機の速度が上がると人力だけで機外に出ることが難しくなってきた。


このため開発されたのが射出座席である。

世界初の射出座席搭載機はドイツハインケルHe280で、戦闘機がレシプロ式からジェット式になり、飛行速度が上がると瞬く間に普及した。戦闘機など小型機に使われることが多いが、爆撃機などの大型機にも採用されることがある。


現在の射出座席

現在のものは高度ゼロ・速度ゼロでも脱出可能なもの(ゼロゼロ射出座席)がほとんどであるが、射出時に15Gもの高Gが乗員にかかる為に五体満足で着地できればマシ、というものであり、射出時に負傷したり、着地時に足を折るなどが起きている。もちろん、この時に脊椎を損傷し、そのまま引退する場合も決して少なくない。


アメリカの場合

F-15F-16といったアメリカ等の西側製戦闘機では標準的に使われているボーイング製ACESII射出座席は亜音速以下での射出が想定された設計になっており、超音速飛行時に射出した場合は最悪死に至ることもある。もちろん生身なら一瞬で血煙と化して確実に死ぬため、これでもマシな方だが。


ロシアの場合

ロシアのNPPズヴェズダ製K-36DM射出座席ではウィンドブラストデフレクター(風よけ)と乗員拘束装置の採用により、高高度飛行時や音速飛行時での射出も可能としている。意外に思われるかもしれないが、射出座席はソビエト時代より盛んに研究されており、これは技術的な問題で軍用機そのものの安全性が高くなく、搭乗員の生還率も低かったため。


射出座席よもやま話

  • F-104の初期型は、鋭利な垂直尾翼に衝突して悲惨な事故になることを警戒し下向きに打ち出す射出座席を採用していた。もちろんこんなものを低空で使うと地面に激突してパイロットが乙ってしまうので、後期型からは普通に上向きに打ち出すタイプに変更されている。
  • 英国機には機体上部のアームで乗員を放り出す、コックピットの下が開いて乗員を放り出すといったトンデモ機構を採用したものがある。
  • 超音速爆撃機B-58の脱出装置は、低速では座席のみを打ち出す一般的な射出座席として機能するが高速では座席をシールドで覆って脱出カプセルとして打ち出すという二段構えとなっている。XB-70では全ての速度域で完全なカプセル式となった。
  • ヘリコプターは比較的低高度を低速で飛ぶので人力での脱出が容易な上、下手に射出座席を使うとローターに乗員が巻き込まれてこれまた悲惨なことになってしまうので採用例は極端に少ないが、ロシアカモフKa-50はヘリコプターとしては珍しく射出座席を採用している。ちなみに脱出前にローターを爆薬で吹き飛ばした後にロケットで乗員のみを引っ張り出す構造になっている。
  • VTOL用のエンジンを別に搭載しているVTOL機はVTOL中に片方のエンジンが故障した際にパイロットが自力で脱出することは難しいため、自動で射出座席を作動させるシステムが搭載されている。
  • ボストークジェミニなどの初期の有人宇宙船でも、大気圏内での脱出用に射出座席を採用していた。
  • 米軍にはキャタピラーズクラブ(芋虫の会)とイジェクション・タイ・クラブという団体があり、共に射出座席でのベイルアウトして生存した者のみが入会できる。
  • エアショーではデモフライト時に時折事故が起きているものの、ロシア機の場合は超低高度、異常姿勢という脱出が難しい状況であっても無事に脱出に成功して射出座席の優秀さを実証しており、「射出座席のデモをしている」と冗談が言われている。
  • 事実、1992年のモスクワ航空ショーでは、後席員が本当に射出座席のデモンストレーションをするはずがエンジントラブルを起こし、しかも観客の面前でパイロットまで脱出するハメになった。低空・低速と条件は悪かったが、もちろん両名とも生還している。(ちなみに機種はSu-9U)
  • 他にもロシア(ソビエト)ではかつて、技術の問題から墜落事故死が多発したため、射出座席の研究は進んでいる。もちろん安全性も高い。
  • ACESⅡ登場以前のアメリカ最高の射出座席はマーチンベーカー社のもので、これは実はイギリスの企業である。射出座席メーカーとしては現在も存続しており、F-35開発にも関わっている。

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