1970年代に三菱重工爆破事件に代表される連続企業爆破事件などを起こしたテロリストグループ。反日亡国論、アイヌ革命論などを主張していたことから捜査機関は反日アナキズム思想を持つ極左暴力集団と見なしていた。
メンバー
メンバーは狼・大地の牙・さそりの3つの班に分かれていた。それぞれ班名の由来は狼が資本家に苦しめられている被抑圧民衆を過去に絶滅したニホンオオカミに、大地の牙は国家も資本家もない理想の世界を目標とし、国家や資本家に立ち向かう大地の牙に、さそりは自らの小さな組織の猛毒で大きな建設資本を倒すサソリに由来する。
行動上の特徴
- 内ゲバ的体質の否定
メンバーが元々法政大学のクラスメイトであったことからか連合赤軍を始めとする新左翼に見られた総括などの死を伴う粛清がなかった。また家庭の都合や精神的に耐えられないなどの理由による組織の脱退も認めていた。
- 公然・非公然部門の未分離
昼間は普通の会社員や喫茶店店員として働き、夜間に活動するスタイルを採った。爆弾教本である腹腹時計に記載されている事項によれば、あくまで「善良な市民」を装い、活動家だと察知されない生活を送ることによって周辺の不信感を欺く狙いがあった。そのため職場の労働運動や居住地域の市民運動に参加することはなかった。
また組織としてのアジト・本拠地を持たず、メンバーの生活空間を攻撃拠点としていた。
- 集権的機構の不存在
中央委員会のようなメンバー全員を束ねる組織はなく、各班のリーダーが時々連絡を取り合うだけでメンバー同士の交流もなかった。また思想的立場も微妙に違いがあった。
- 合法的資金源の確保
連合赤軍などが非合法的手段(銀行強盗など)で資金を確保していたのに対し、メンバーは社会人として働いて得た所得の一部を活動資金に投じていた。ただし手段のひとつとして、尚且つ十分に手法を検討した上での資金強奪は完全否定していない。
- 綱領がない
思想上の特徴
マルクス・レーニン主義を掲げて行動を起こした新左翼と異なり、アイヌおよび朝鮮半島への日本による「侵略史」を学習するなかで、独自の「反日思想」を形成していった。あくまでも現在の日本帝国主義の破壊に力を入れており、その後の新社会についてはほとんど言及していない。
また腹腹時計では日本の一般大衆を「日帝本国人」と規定し、「反日闘争」に加担しない一般大衆を「日帝」の成員として断罪していた。
主な事件
虹作戦
未遂事件。1974年8月14日昭和天皇が乗車されたお召し列車を鉄橋諸共爆破しようとした事件。しかし爆弾の設置作業中に人に見られたため未遂となった。
この時爆弾が設置されたのは東北本線荒川橋梁で、この鉄橋は貨物線と旅客線2本が平行して走っており、爆弾が仕掛けられたのは旅客線側だった。しかし当日お召し列車が通過したのは貨物線だったため、仮に事前警備の目を掻い潜って決行されていた場合でも暗殺に失敗していたと考えられる。
三菱重工爆破事件
1974年8月30日三菱重工東京本社ビルで爆弾を爆発させ8名が死亡、376名が負傷。この時使用された爆弾は上記虹作戦で使われる予定だったものを転用したもので、実行犯側の予想を上回る被害となった。
この爆破事件を起こしたのは狼班だったが、これを機に新たに「大地の牙」「さそり」班が合流した。