概要
第五代江戸幕府征夷大将軍。
儒教の思想に基づいた政治をすすめ、その治世の前半は江戸文化の代表「元禄文化」が生まれ、善政として天和の治と称えられている。しかし、治世の後半においては「生類憐みの令」と呼ばれる動物愛護政策が町人の非難をあびる。ついたあだ名が「犬公方」であった。
綱吉の治世において赤穂浪士による吉良家討ち入りが起こったが、喧嘩両成敗による切腹という処断には綱吉の秩序重視の思想がよく現れている。が、その一方で自分は気まぐれな大名取り立てと改易という秩序破壊行為も行っている。
擁護
生類憐みの令により暗君と言われる事が多いが、前半の「天和の治」の評価は古来より高く、徳川吉宗も綱吉の治世を目標にしていたという。
また、生類憐みの令についても「戦国の気風を残した世相を、生命を大事にする太平の世へと変革した」と評価する意見も提出されている。
事実、この令が発布されるまでは、殺人や捨て子、動物虐待等といった、生命を軽視し過ぎている行いが、日本各地で当たり前の様に起こっていた為に、これらの問題を改善する為には多少いき過ぎであっても止むを得なかった部分もあるのかもしれない。
また、綱吉の死後に生類憐みの令が廃止された後も、無断な牛馬の遺棄の禁止や捨て子、病人等の保護は継続されている為、綱吉の方針は一概に悪とは言えないのかもしれない。
元禄繚乱では萩原健一の怪演によって癖のある人物という印象を残している。