概要
日本人の体格に合わせてカービン化されていない状態でも小型化され、樹脂パーツを多用し軽量化を施し、パーツ点数もAKを凌ぐほどに少ない点は知られていないが、もの凄く高価と思われているのは周知の事実。
・・・尤も更に値が張る制式採用アサルトライフルや一時はとんでもなく高かった制式採用アサルトライフル、他国製を買ったら納入価格が高価となったアサルトライフル、元から結構高いが改修費用で更に高くなったアサルトライフルも普通にあったりするが。
ちなみにM4カービンの納入価格は約16万から20万円(2008年コルト製)、約8万円(2013年FNH製)程度の模様。
公募愛称は相棒を意味する「バディ」。ただし、一般人はおろか隊員にすら基本は「89(ハチキュー)」としか呼ばれていない。
使用弾薬から便宜上アサルトライフルに分類されるが本来は自動小銃。
実は日本には「アサルトライフル」という武器のカテゴリーは存在しない。
モデルはアメリカ・アーマライト社のAR-18。
そのせいか外見がよく似ている為、中国やロシアから89式小銃はAR-18の亜種と見られているとか(外面が似ているだけで中身はまるで違う)。
開発経緯
それまでは64式小銃を使用していたが「重い」「パーツ多くてメンテ面倒い」「反動デカイ」その他様々な理由で新たな主力小銃を考案する事になった。この当時は世界的に小口径・高初速弾が一般化し自衛隊もこの世界的な波に乗り同コンセプトで新たな小銃を独自に開発した。それが89式小銃である。
改善点としては今まで使用していた64式小銃の重量を約20%削減、弾薬を7.62mmからより反動の小さい5.56mmへと変更、パーツ点数を大幅に削減した事が上げられる。同時に同盟国であるアメリカ軍の使用するM16とマガジン(NATO STANAG 4179)を互換させている。
89式のマガジンには残弾確認用の窓が左側面に開けられているという違いがある。
STANAGマガジンは89式に使えるが、89式用のマガジンは他のSTANAG規格の銃には使えないという一方的互換のみと言われているが、実際にはちゃんと使用が出来る。(使えないとSTANdardization AGreement、標準規格書の意味がない)
ちなみにマルイ製電動ガンでは89式にM16/M4のマガジンの使用が出来るが逆は出来ないため、電動ガン版の互換性が実銃の話に化けたと思われる。
NATOでは共通化のために5.56mmNATO弾用の着脱式マガジンをSTANAG 4179という規格で統一しているものの、製造国、製造メーカーの違いにより細部に差があり、L85で他国製のマガジンを使用するとジャムの一因が消えるように、組み合わせによってトラブルが生じたりするのは珍しくはない。
なので実際に使ってみるとトラブルが起きる、ということも有り得るのである。
運用状況
日本の自衛隊だけでなく警察機関(海上保安庁や警視庁の特殊部隊)にもいくつか使用される例がありその扱いやすさが窺い知れる。が、一丁30万円以上と高価である為(アメリカ軍のM4は十万円弱)に未だ64式小銃を使う組織も少なからず存在する。値段が高いのは年間製造数が少なく、自衛隊が制作元である豊和工業の言い値で買っているからでもある。(とはいえ国内で高性能な小銃を作れるメーカーが豊和一社しかない、他のメーカーは利益が出ないからやらないといった仕方のない部分がある。)
自衛隊が登場する作品には決まって登場するが魔法少女や図書館の司書さんが使用していたりと二次元での運用は非常に広い。FPSでは日本版限定で登場するとか。
お値段に相応しい性能のアサルトライフルではあるのだが、如何せん実際の戦場にて使用された事が無いのでその実力ははっきり言って未知数である。実戦が無いのが望ましいのは当たり前だが、このことが89式への根も葉もない悪い噂を広めてしまっている所もある。
ちなみに、イラク派遣前に米国で行われた実戦訓練にて使用された際、経験豊富な米軍兵士から命中精度の高さや耐久性、バイポッドの取り回しの良さを高く評価されている。
性能
口径 | 5.56mm |
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使用弾薬 | 5.56mmNATO弾 |
装弾数 | 20/30 |
全長 | 916mm |
重量 | 3,500g |
有効射程 | 約500m |
※wikipediaから概値
前述の様に軽反動で高初速・小口径である5.56mm弾を使用している。基本構造は古いものだがそれ故に信頼性の高いものになっておりメンテナンスの容易さと相まって自衛隊員からの信頼は大きい。
ストックは左右非対称となっており右利きの多い日本人が扱いやすい様に考慮されている。対して左利きは当然使いにくい(ただし、自衛官は徹底的に右手での扱いを仕込まれるため、特に不便はないとのこと)。レールシステムに関して指摘が上がることもあるが、そもそもピカティニーレールがSTANAGによって標準化されるより以前に設計された上にバージョンアップがされていない為、標準的に搭載はしていないが各個人が装備を購入する事で使用できる。これによってダットサイトなどの各種オプションパーツを搭載可能。また、バイポットや銃剣などは当初から装着されている(装着できる)。
「ア タ レ」で有名なセレクターレバー(切換レバー)は右手をグリップから放して、直接つまんで切り替えることを想定して作られたため右側のみ(一般的な自動小銃は右手の親指で操作するため左側にある。また形状自体は一般的なものに準じたレバー型。右側セレクターとなった理由であるが、匍匐前進の際地面と接する本体左側だと意図せず切り替わってしまうことを防ぐ為で、正式採用前の社内試作品でも途中まで左側セレクターだった)。珍しいが諸外国ではAKシリーズとその派生機種がダストカバーを兼ねた大型のセレクターを右側に装備しているため、89式だけの特異機構、と言うものではない。
イラク派遣で一時的に、運用部隊からの要望により左方切り替えレバーが追加されたが、これはアンビと言うよりも左手に持ち替えて操作する際も同程度の操作が行えるようにする目的で追加されたものである(つまり左手でも同様にグリップから手を放して操作する)。その後一時的改造から恒久使用へと移行中である。
切換レバーを90度ずつ動かすのはM-16、FNH、 FNC等一部の銃で採用されており、これも珍しいが89式のみが採用しているわけではない。
全長は916mmと長く見えるもののこれはM4のように短縮化されているものではなくM16と同等の位置づけである為、むしろ短いと言える。
空挺部隊や機甲科用にストックを折り畳めるタイプも存在する。
左方切換レバーが追加されたものではレバーがストックに干渉する為、それに対する改良を加えた物へと切り替わっている。
1つ残念なのが引き金のキレが悪いため命中精度が低下してしまっていること。
これを改善すればM16よりも命中精度が上がると言われている。
なお、春にオーストラリアで行なわれているオーストラリア陸軍が主催の射撃競技会であるAASAM(Australian Army Skill at Arms Meeting)に陸上自衛隊が参加した際、2016年では通常はア→レ→3→タとなっている89式のセレクターがア→タ→3→レの順に変更されていることが確認されている。
遊戯銃
前述のように東京マルイから電動ガンが発売。
開発に当たっては訓練機材として採用のために詳細なデータを提供したとの話もあり(真偽は不明)、自衛隊にも閉所戦闘訓練用教材として納入されている。
一般に販売されているモデルや実銃との区別の為に一部部品の色が変更されている。
また、一般に販売されているものは実物の薬莢受けや銃剣等の取り付けが不可能なように一部部品の形状は変更されており、実銃用アクセサリーを購入したとしても無加工での取り付けは不可能となっている。
新規形状のメカボックスと共に機械式のバーストメカを採用しており、同社のSG550シリーズ(SG550及びSG551)に採用された電子式バーストユニットと違いバッテリー電圧等の要因から発射数が変動するといったことを防いでいるが、発射数の変更を行うことが出来なくなっている。
夜間用照準器や空砲発射補助具、銃剣などの部品はガレージキットが販売されている。
過去には有限会社キャロットから東京マルイ製M4カービンを89式風に変更するコンバージョンキットが販売されていた。
実銃にはないアクセサリーも販売されており、レール付きハンドガードやAR15のレシーバーエクステンション及びストックを取り付ける部品等によりカスタマイズが可能となっている。