概要
聖杯戦争の参加資格・サーヴァントのマスターである事の証明。そして、回数限定のサーヴァントに対する絶対命令権である。
サーヴァントは自らの意思を持っているため、必ずしもマスターに絶対服従というわけではない。
中にはマスターと意見が合わず、争ったり殺害してしまうサーヴァントもいる(もっとも、マスターを殺害してしまうと単独行動スキルのあるサーヴァントでもない限り、自身も消滅してしまうというリスクもあるが)。
そんなサーヴァントの暴走を防ぎ制御するために、始まりの御三家の内の一つ「マキリ」が考案した、「3回だけ絶対服従させることができる呪い」が令呪である。
付与・譲渡
聖杯の意思によって行われるが、その選定基準は基本的に「聖杯を求める者」を優先する。
故に始まりの御三家である「遠坂」「マキリ」「アインツベルン」の者には優先的に配布され、それ以外は「開催地域付近にいる聖杯を知る力ある魔術師」から選定される。
ただし、中には衛宮士郎や雨生龍之介のように、魔術回路さえあれば「偶然サーヴァントを呼んでしまった者」にも配布される。
通常はマスター一人につき3画まで配布される。ただし、所有者の同意があれば心霊手術など魔術的な手段で剥ぎ取ることによって他者に譲渡可能で、これにより4画以上まで蓄積されることもある模様。
ただし、対象がマスター(元も含む)か「サーヴァントと魔術的に繋がりがある者」でなければ成立しない。
そうでない相手の場合は「偽臣の書」という書籍を作ることで解決するが、この書の作成には令呪一画を消費する必要がある上に、一画以上の未使用令呪を内包していなければ機能しない。
Fate/EXTRAにおける令呪は「聖杯戦争への参加資格」という意味合いをより厳格に持たせているため、予選を突破しサーヴァントを呼びだした者にのみ付与され、譲渡は完全に不可能となっている。
喪失
例え未使用でもサーヴァントを喪失した場合、令呪もまた剥奪される。
マスターを失ったはぐれサーヴァントが現れれば、聖杯自身の采配によって新しくマスターに再配布される場合があるが、
再配布先の選定は「サーヴァントを失ってもなお存命している元マスター」を優先することが多い。なお、先述した御三家がこの状況に陥った場合、令呪の剥奪を免除される場合もある。
ただしFate/EXTRAにおいては、決戦での敗者は死亡したか否かにかかわらず強制的に消滅させられるため、必然的に残った全ての令呪も剥奪されることになる。
敗戦を経ずとも、3画すべて消費した瞬間、即座に失格となる。
Fate/GrandOrderでは以上の制約が意味を成さない緊急事態にあること、加えて「フィニス・カルデア」が開発した守護英霊召喚システム「フェイト」 の恩恵もあり、
3画すべて消費した際のペナルティは咄嗟のサーヴァント制御権を失う程度に留まっている他、消費された令呪は一日ごとに1画ずつ回復する。
デザイン
参加マスターの体のどこかに3画で構成された赤い紋章の形で浮かび上がり、傍からは刺青のように見える。
紋章のデザインには個人差があり、マスターによってデザインは異なる。
令呪は魔術刻印の変形したものであり、刻印のある部分に出るともされている。
令呪の効果を使用することに1画づつ消費され、紋章が消えていく。消えた部分は消しゴムで消したような跡が残るが、使いつくしたなどで失格になった場合、その跡もすべて消失する。
逆に譲渡や奪取によって4画以上蓄積された場合、紋章が大型化・複雑化する。
『Fate/Prototype』では、天使の羽を模したデザインで統一されいる。(番外位のみ悪魔のような形状になっている)また、羽の枚数で階級が分かるようになっており、一位が7枚羽で階級が下がるごとに羽が減っていく。
効果
サーヴァントへの呪いのようなものに相当し、これを介して命令されると精神的・肉体的にその命令に拘束され、それに反する行動・思考をとれなくなる。
ただし、命令が具体的かつ限定的であればあるほど効果が高く、逆に漠然とした命令の場合は殆ど効果が無い。
サーヴァントを服従させるだけでなく、命令の内容を限定的かつ具体的にすれば、一時的なブーストとして応用することもできる。
マスターの意思とサーヴァントの意思が合致していれば、マスターとサーヴァントと令呪そのものの魔力を合計してできる事ならあらゆる事が可能になり、瞬間移動という限りなく「魔法」に近い芸当も行える。
その為、上手く使えば圧倒的不利な戦況をひっくり返すほどの効果が見込める。
ただし、その効用はマスターとサーヴァントの力量差に左右されうるため、卓越した魔術師であれば通常では不可能な命令もある程度強制させることが出来るが、逆にマスターの能力が低い場合や相手が高位の英霊の場合には、何画使おうと従えることは出来ない。
デメリット
この令呪は非常に強力な魔術の一種に分類される。つまりセイバーのようなAランクの耐魔力、あるいバーサーカーのような高ランクの狂化スキルを持っている場合であれば命令に抵抗する事も不可能ではない。ただ、抵抗には莫大な魔力と精神力が消費されることから身動きが取れなくなる上に、二画以上の令呪にはいかなるサーヴァントも耐えきれていない。
またサーヴァントには「令呪を使用された」という自覚が残るため、マスターの個人的判断によって使用する場合はサーヴァントの反感を買う原因にもなりやすい。
この場合、令呪をすべて消費しマスターの資格=サーヴァントの制御手段を失った場合のリスクは計り知れないものとなる。
一応、令呪を全て失ったからといってサーヴァントとの魔力的な繋がりが絶たれるわけではないため、固い信頼関係を築く事が出来ていれば即座に裏切られることは無い。
もっとも、魔術師も英霊もどちらも一癖も二癖もある偏屈なやつらが多いので、そうした相互理解は中々に難しいのがほとんどである。
特殊な令呪
預託令呪
聖堂教会の監督官が管理している、過去、使われないままに退場し消失したマスターの令呪。
監督官の判断により、自由に譲渡することが可能な他、発生する無色の魔力を利用してマスター側の魔術を強化することも出来る。
なお、この令呪は聖言(暗号・合い言葉のようなもの)によって保護されているため、卓越した魔術師であっても強奪は困難である。
聖杯戦争の統治者であるルーラーは特権として総参加者数×2画分の令呪を持っており、全サーヴァントに対して必要に応じて命令を下すことが出来る。
ただし、この令呪は「サーヴァント1騎につきそれぞれ2回まで」と区別されているため、使用前に脱落したサーヴァント用の令呪を別のサーヴァントに対して転用することはできない。
対応したサーヴァントのマスターに対しては、ルーラー側の対応する令呪を預託令呪と同様に譲渡することもできる。
竜告令呪(デッドカウント・シェイプシフター)
Fate/Apocryphaにて、ジークに発現した青い令呪。
詳しくは該当項目を参照。