ピックアップトラックをベースにはしご形フレームを持つ本格的なオフロードカーとして開発されたSUVに対し、乗用車をベースに車高を高めにとるなどして一定の走破性を持たせSUV風に仕立てた自動車のこと。ライトクロカンともいう。
本格的なオフロードカーに比べオフロードでの走破性や耐久性は比べるべくもないのだが、基本的に乗用車であるため乗り心地がよく、燃費もよく、舗装道路での走行性能やハンドリングには優れる。優秀な4WDシステム、トラクションアシストデバイスなどを装備することにより、雪道や濡れた路面ではむしろ本格的なSUVより走りやすい車種も多い。
レクサス・RXやポルシェ・カイエンのような高級車から、スズキ・ハスラーのような軽自動車まで、走破性にこだわった本格志向の車種から、一般的なFFコンパクトカーに大径ホイールを履かせ車高を少し上げただけのクルマまで、幅広い車種が展開されている。
この手の車種の起源をたどると、1972年東北電力の要請で開発されたスバルの「レオーネエステートバン4WD」に行き着く。当時の4WD車はジープやランドクルーザーのような幌付きのトラックタイプの自動車しかなく、冬は寒く騒音や振動も激しく大変な忍耐を要求されるものであった。冬の林道を巡回するのに適した車として、悪路の走破性を幾分妥協するかわりに、乗用車としての快適性を有する乗用車ベースの4WD車への需要が見出されたのである。