「どうも、こんちはプリキュアのお嬢ちゃん。悪いけどさ、消えてくんない?」
cv:龍田直樹
概要
第22話から登場する魔人。その正体は終わりなき混沌・デウスマストに仕える配下のひとりである。
ナシマホウ界にある砂漠の遺跡に安置されていたランプの中に封印され永い眠りについていたが、そのランプが壊れた(中から壊した?)ことで外界へと飛び出してきた。
丸々と太った赤い肌の巨漢で、頭には一対の角がある。下半身は「ランプの魔人」のように煙状になっており、体は常に宙に浮いているが、両足はちゃんとあるため、下半身の形を自在に変えることが出来る、あるいは雲のような乗り物に乗っていると思われる。
デウスマストの眷属に与えられた使命は、デウスマストが地上に降臨するまでの間に、脅威となる可能性の芽を潰すこと。
ラブーは元々はプリキュアの存在を知らなかったが、その存在を知った後は排除対象と認定してプリキュアへ戦いを挑んでくるようになる。
「ムホー」と呼ばれる超常の力が生来的に備わっており、宇宙の法則を無視してあらゆるエネルギーを自在に操ることができる。ムホーは魔法のような呪文の詠唱や発動具の杖は一切不要でただ指を鳴らすだけで使える。そして、ムホーの力を使って混沌の怪物「ドンヨクバール」を生み出せる。
これらはラブーだけでなくデウスマストの眷属に共通する力である。
本編での行動
第23話で初登場。
この時はデウスマストの存在は視聴者向けにも一切語られておらず、完全な謎の第三勢力という扱いだった。
ナシマホウ界で復活したラブーだが、自分が眠っていた砂漠のド真ん中に近代的な都市ができているのを見て(モデルはドバイのようだ)、ラブーはナシマホウ界の変化に感心する様子を見せている。
その後に魔法界へ向かい、魔法学校が建っている大樹が健在かどうかを確認。この時「だが、ヤツはお留守のようだねぇ」と意味深なセリフを口ずさんでいる。
そして、大樹の麓に打ち捨てられていたヤモーの尻尾のカケラを見つけ、そこから元の肉体と記憶を再生させ、彼にプリキュアへの復讐の機会を与えた。
ヤモーに声だけで接触して、自分がお前に力を与えて復活させてやったと明かしたが、自身が何者かは一切語らず、その力を好きに使えばいいとプリキュアへの復讐をけしかけている。
第26話をもってヤモーが倒されたため、第27話では自らプリキュアの前に赴き、三人をドンヨクバールで圧倒した。その際は自らの素性を語ると同時に、目的も明かしている。
第30話ではついに戦闘に介入し、フェリーチェのキックを片腕で受け止め、ミラクルとマジカルの必殺技を相殺するなど戦闘能力の高さを伺わせた。
性格
かなりの面倒臭がりで、自身から積極的に表舞台で活動する事は滅多にない。
せっかく万能の力であるムホーが使えるのに、むしろこのムホーを使うこと自体を面倒くさがっている。ラブーにとってムホーは手足を動かすのと同じくらい当たり前に使えるもので体力の消耗もない。だからこそ「近所のコンビニまでいくのが面倒」というような日常的感覚なのだろう。
ヤモーを復活させたのも、ヤモーの尻尾の欠片に残された闇の力に興味を持ち、こいつを再生させれば自分の代わりに働く良い手駒に使えるかもとみなしたからである。ただし、その思惑はヤモーには悟られないようにしていた。
ヤモーがプリキュアへの復讐はラブーにとっても都合がいいものだったため、とりあえずはヤモーのやりたいようにさせていたわけだ。
もちろん、ヤモーがプリキュアを倒した後は自分の手下として支配するつもりだった。
そのヤモーが浄化されてからは、仕方なく使命を果たすために自ら行動することになる。
しかし、基本的にプリキュアよりも圧倒的に強いので、ラブー側は全く緊張感を持てない。
ドンヨクバールが倒されて撤退する時も余裕の表情であり、自分が負けたなんて思っていない。これは「本気になればどうせいつでも倒せるから」という慢心ゆえである。
つまり、ラブーは基本的にプリキュアを舐めてかかっているのだ。人間たちが使う魔法がムホーにかなうわけがないと頭から信じ込んでおり、伝説の魔法つかいであるプリキュア相手でもそれは変わらない。
一方、プリキュア側はラブーとの戦いでは常にギリギリまで追い詰められていたため、闇の魔法つかいとの戦いの時とは比較にならないくらいに緊張感が高い戦闘シーンばかりだった。
緊張感の維持のためか、ラブーとの戦いでトパーズスタイルになったことはない。
最終形態
本腰を入れてプリキュアたちの始末を行うことを決意したラブーが全ての力を解放した姿。
目は瞳の無い赤い目に変わり、体付きや角は更に巨大化して雲を突く程の大きさになっている(なお、下半身は雲のような乗り物(?)で隠れて見えない)ほか、腹部には6つの奇妙な模様がある。
筋肉質になるが、どうもムホーの力で腹の脂肪を筋肉に変換させているらしく、気を抜くといつもの肥満体型に戻ってしまう。もっとも、肥満体型に戻ってもパワーやスピードが変わることはないので、筋肉質になるのはラブーの見栄で外見を変えているだけのようだ。
戦闘能力も格段に上がっており、魔法による全ての攻撃を無力化する程の高い身体能力のほか、頭突きや腕の一振りだけで周囲のもの周囲を吹き飛ばす程の力を持つ(それでも本人曰くほんの小手調べ程度の力だったらしい)。
というか、この「吹き飛ばす」力こそがラブーの戦闘能力の本質で、頭突きやパンチも衝撃風を起こすための動作であり、殴るためではない。プリキュアに対しても最後まで直接触れることはなかった。
ラブーは雲に乗って空を飛んでいる姿から見ても、風の属性の魔人なのかも知れない。
本作のプリキュアたちは物理つかいプリキュアと揶揄されるくらいに近接戦型だが、ラブーに近づこうとすると腕で振り払う動作で暴風が起こり弾き飛ばされる。プリキュア側からすれば相性はすこぶる悪い。そして面倒臭がりのラブーらしい戦闘スタイルでもある。
なお、攻撃動作としては相撲の力士をモチーフとしているようで、四股を踏んで足元から衝撃風を起こしたりもしていた。
末路
「今日はちょっと、張り切っていくからねぇ~」
30話でボロボロになりながらも必死にドンヨクバールを浄化したキュアミラクルの迫力にただならぬものを感じて、いつも余裕だったラブーが初めて屈辱の表情で撤退してしまう。
間の悪いことに、この戦いの直前にラブーの同胞であるシャーキンスとベニーギョの意識体が復活しており、その失態をしっかり目撃されてしまった。
ラブーはデウスマストの眷属に相応しくないのではという2人の不信を受け、流石に焦り始めたラブーは、面倒でも次でプリキュアを倒し切ると決意する。
31話でみらい達がカタツムリニアでナシマホウ界へ帰る途中に客車を脱線させる。
客車が取り残されば場所は、魔法界とナシマホウ界の間にある「はざまの世界」。生身の人間では脱出不可能な逃げ場のないこの世界で、ラブーはプリキュアたちを倒すべく上述の最終形態になって襲い掛かる。
「さーて、そろそろ本気出しちゃおうかなー」
プリキュアたちは本気でそれに立ち向かうが、ラブーの風の力に阻まれて近づくこともできない。銀魔法で状況を打破しようとするが、それを全て打ち破られた。
そしてラブーはその圧倒的有利さにやはり慢心し、なかなか本気でプリキュアたちに止めを刺そうとせずにいたぶり、からかうばかり。
そして、ちょっと力加減を間違えてプリキュアたち3人を遠くへ吹き飛ばしてしまい、3人は散り散りになった。
ラブーは一人一人探しに行かなくちゃいけないと面倒くさそうだったが、当のプリキュアたちはその圧倒的な実力差にほぼ絶望に沈みかけていた。
「ふん、安心しなお嬢ちゃん。 今、トドメを指して仲間のところに、行かせてやるよ!」
まずはミラクルを見つけたラブーは、もうこれ以上遊んでも面倒だからさっさと止めをさそうと腕を振り被る。
だがこの時、ミラクルは一人になってしまったことで、だからこそまたみんなと一緒に帰らなくてはいけないという決意と覚悟が揺るぎないものともなっていた。それは離れた場所にいるマジカルやフェリーチェも同じ。3人の共通する思いの高まりをレインボーキャリッジが受け止めた時、マジカルとフェリーチェは不思議な力でミラクルの元へと転移する。
そしてキャリッジは古えの伝説にはない新たな力・アレキサンドライトスタイルを生み出した。
「ふん、それで? 魔法なんざオレのムホーでぇぇぇぇぇぇッ!」
ラブーはそれでも「けっ、それで〜?」とプリキュアたちを舐めてかかり、まずはお手並み拝見という感じで緊張感を持ちきれていなかったが、その直後に虹色魔法『プリキュア・エクストリーム・レインボー』の直撃を受ける。ラブーがその力の大きさに初めて驚愕の声をあげたと同時に、光に飲み込まれ消滅した。
プリキュアの敵幹部は敗北を重ねる中で屈辱にまみれ最後は本気になって散っていくというタイプが多いが、ラブーは敗北を重ねても「本気になれば勝てる」と思い込んで最後までプリキュアを見下し続け、自分の身に何か起こったかもはっきり理解できないまま消えていった。
最終形態になってさえ、気持ち的な部分で全力で戦おうとするシーンは1秒たりともなく、どこか気が抜けていた。その慢心ぶりは徹底していたと言えよう。
また、プリキュアと対峙したのは第27話からであるが第29話での登場がなかったため、実質わずか4話のみでの退場となったが、ヤモー復活編の暗躍時代を含めると登場回数は8話もある。
同じく出撃回数が4回で退場した歴代の敵に、『Yes!プリキュア5GoGo!』に登場した敵勢力「エターナル」のイソーギンとヤドカーンがいる。
余談
名前の由来は「アラブ(Arab)」と「タブー(禁忌=Taboo)」を掛け合わせていると推測される。
これまでの試練用のエネミーや劇場版を除いて、プリキュアシリーズとしては初となる完全な第三勢力に所属する敵キャラとなった(主を裏切る形で第三勢力となったケースならば前例がある)。
中の人について
担当声優の龍田直樹氏はプリキュアシリーズ初出演。数多くのアニメなどで人外キャラを演じていた氏にとってお得意のキャラといえるだろう。