概説
大河ドラマは、1993年以降、「琉球の風」「炎立つ」花の乱」の3作は、それまでの1作品1年間ではなく、半年から9か月の放送となったが、視聴率的には低迷していた。その中で1年間の形式に戻って、最初の作品となった。
脚本はジェームズ三木、音楽は池辺晋一郎が充てられた。この2人は、かつて、近代路線に変更して低迷していた大河ドラマを復活させた独眼竜政宗のコンビでもある。
舞台は、それまでの大河ドラマが扱っていた戦国や幕末のような動乱期ではなく、太平の世であったが、逆に将軍家のファミリードラマという路線を取り、ベテラン俳優を配する、江守徹扮する近松門左衛門がナビゲーターとして登場する、忠臣蔵や江島事件などを取り入れて山場を設けるといった工夫で、大河ドラマの復活につなげた作品である。また、同じく吉宗を主人公とした暴れん坊将軍と視聴率のみならず出演者やストーリー内容でもいい勝負を繰り広げた。
出演
紀伊・徳川家
- 徳川吉宗(演:西田敏行)…紀州藩主・徳川光貞の四男として生まれ、幼少期は部屋住みとして過ごすが、相次ぐ3人の兄の死に伴い紀州藩主となり、7代将軍・徳川家継の死とともに8代将軍に任じられる。
- 徳川光貞(演:大滝秀治)…第2代紀州藩主であり吉宗の父。幕閣たちが対応に苦慮する高家・吉良義央の屋敷を襲撃した旧赤穂藩の浪人たちを「無頼の徒」と批判、厳しく処断することを主張するなど硬骨の思想を持つ。
- 徳川綱教(演:辰巳琢郎)…光貞の長子、跡を継いで紀州藩主となるが若くして亡くなる。
- 徳川頼職(演・野口五郎)…光貞の三男、吉宗と折り合いが悪かったが、兄・綱教の死後、紀州藩主となる。しかし、兄と同じく早くして亡くなり、吉宗がその後を継ぐ。
徳川宗家
- 徳川綱吉(演:津川雅彦)…江戸幕府・第5代征夷大将軍。目通りした紀州藩主・徳川光貞の四男・吉宗の器量を見抜いた最初の人物。甥である甲府宰相・徳川綱豊(後の徳川家宣)を嫌っていたが、死の直前、後継将軍に指名する。
- 徳川家宣(演:細川俊之)…江戸幕府・第6代将軍。綱吉の養子として将軍職を継ぐ。新井白石を重用し、儒教に基づいた政治を心掛ける名君であったが、理詰めの政治を吉宗に嫌われる。
- 徳川家重(演:中村梅雀)…江戸幕府・第9代将軍。口をまともに聞くことのできない身体障碍者で本人もそのことに引け目を感じていたが、長幼の儀を重んじる吉宗に後継者に指名される。
- 徳川家治…江戸幕府・第10代将軍。幼少のころから英名の質で知られ、祖父・吉宗から将来を期待される。