……が、馬頭観音と同じくインド仏教ではとくに観音の化身というわけではない。
仏典が漢訳される際に、原語の「パーンダラヴァーシニー(白衣母)」が白衣観音とされた。
古くからインドで信仰されていたものが仏教に取り入れられた、という説明が
されることが多いが、同名の神格はインド神話には登場しない。
経典上だといくつかの密教経典で登場するマニアックな神仏であるが、
民間において篤く信仰され、仏画の題材となることも多い。
見た目は一面二臂(顔一つに二本腕)で、在家信者の着る白衣をまとった聖観音と
いったところであるが、より柔らかで女性的な姿で描かれる傾向にある。
漢訳仏教圏(中国、朝鮮、日本)と異なり観音菩薩と同一視はされない。
日本では三十三観音の一尊とされ、観音経における示現のうち、比丘身と比丘尼身に対応すると位置づけられる。