解説
1992年に公開されたアメリカ映画で、DCコミックスの『バットマン』の実写映画化作品。
1989年公開の映画『バットマン』の直接の続編であり、前作から引き続きティム・バートンが監督を、マイケル・キートンが主演を務め、主要スタッフもそのまま引き継いでいる。
配給はワーナー・ブラザース。
前作以上にティム・バートンの作家性が顕著に反映された作品であり、彼の持つ世界観やフリークス(畸形)への偏愛、美学が込められ、バットマンを狂言回しに配置しヴィラン達に比重を置いた作りとなっている。
その結果、ヒーロー活劇というよりは、バットマン・ペンギン・キャットウーマンの3人の「怪人」を通して、同じ人間でありながら生まれ持った性質や見た目のせいで集団や社会に馴染めずに排斥される異端者たちの孤独と悲哀を描いたダークファンタジー色の強い寓話的な作品として完成した。
当時は実写作品でもまだ珍しかったCGが導入された他、ドルビーの技術を用いた初の5.1チャンネルサラウンド(ドルビーデジタル)作品でもある。
また、ヴィランを二人登場させるというスタイルは以降のシリーズのスタンダードになった。
バットマンのシリーズ関連作品の中でもかなり異色の雰囲気を持つ作品だが、多くのファンや評論家達からは前作以上に高く評価され、商業的にも成功し、第65回アカデミー賞ではメイクアップ賞、視覚効果賞にノミネートされた。
しかし、単純に数字だけ見ればヒット作と言って差し支えない興行成績ではあったものの、最終興行収入が前作に及ばなかったことと、陰鬱な世界観や暴力的で性的な要素が子供向けとしてはふさわしくないとも批判されたことで、続編である『バットマンフォーエヴァー』はファミリー向けを意識した明るい娯楽ヒーローアクション作品へと大きく方向性を転換することになった。
あらすじ
ある雪の降る夜。名家コブルポット家に畸形を持った赤ん坊が生まれた。
赤ん坊の両親は相談し、彼を乳母車ごと真冬の下水の川に突き落とし、捨ててしまった。
両親はきっと生き延びることは無いだろうと思っていたが、赤ん坊は廃棄された遊園地の地下の下水道へと流れつき、そこに住んでいたペンギンたちによって育てられた。
それから三十数年後。
クリスマスを迎えようとする冬のゴッサム・シティでは、ペンギンと名乗る男がサーカスギャング団を従えて大暴れしていた。彼こそがかつて捨てられた畸形の赤ん坊の今の姿であった。
野心溢れる冷酷な実業家マックス・シュレックはひょんなことからペンギンが市民達に望まれるヒーローとして地上へ帰還することを望んでいることを知り、お互いの目的のために手を組むようになる。
一方、シュレックの傍に仕える内気な秘書セリーナ・カイルは彼の目的に気づいてしまったことで、ビルから突き落とされてしまう。雪のクッションで命を取り留め、猫の魔力で甦った彼女はキャットウーマンとして、社会とシュレックに対して復讐を誓う。
ペンギンの真の目論見とシュレックの計画、そしてセリーナに惹かれつつも彼女の悪行を阻止するために、バットマンは戦いへと繰り出す。
関連タグ
バットマン・リターンズ:表記ゆれ
ティム・バートン&ジョエル・シュマッカー版四部作
バットマン → バットマンリターンズ → バットマンフォーエヴァー → バットマン&ロビン